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転移巫女と勇者の二大陸物語(仮)  作者: 煌清
2章 2部
61/82

61.エメラダとエリンvsギル


ガルバル達からすると勿論身に覚えの無い話でチャフがいなくなっていることさえ初耳だったのだ。チンピラ達にはチャフが殺された。とでも伝えていたのだろう。チンピラ達は壁の中の事など知る由もないのだ。

そのホークの声に周りのチャフの直属の部下のチンピラ達も大きな声で怒号を上げ門を蹴り上げる。これを見るとチャフって男はしっかりとチンピラ達を纏めていたのだろう。

暫く叫んでいると少し門が開きしっかり鉄の兜まで装備した男が顔を出した。


「あ?なんだお前ら・・・!?」


ホークはその顔を出した護衛兵の一人の首に剣を当てゆっくりと引いた。その兵は防御力の薄い首筋を斬られ膝を付き前倒しに倒れ絶命した。


「おーし。お前らチャフのかたきだ。なだれ込めー。」


ホークの怒号と共に一斉に東下層のチンピラ達が門から中に入っていく。街の北門は大きな両開きなっていて、1人残ったホークはその門を完全に開き切り俺達に向かい真剣な顔で親指を立てた。


俺とリンダは引き攣った笑顔をホークに向け隣のリンダに話しかける。


「忍び込むんじゃなかったのか?策ってこれなのか?隠し通路的な何かだと思うだろ?」


「私に聞いても知らないわよ。私も流石にビビってるわ。」


俺とリンダ、エリンさんやエメラダさん達も苦笑いしているが直ぐに持ち直し立ち上がり門に向かった。

チンピラ達をホークは選別していた。チャフに近しい悪だ。犯罪を屁とも思わない奴らをしっかりと線引きし選別しこの場に送り込んでいた。言わばホーク的に死んでもいい奴等だ。

酒を飲み怠け者は大勢いるが、気のいい奴らも多い。そういう奴等には留まってもらっている。そういう奴等はチャフに従う事にすら難色を示しているしこの場に率先して行くこともない。

俺達はエリンさんとエメラダさんや兵を残し門の中に入った。俺達が進んだ後に少しづつ制圧していくという案である。


門から中に入ると伸びきって手入れのされていない芝生が左右に広がり正面には石畳が真っすぐ宮殿の下の階下まで続いている。左右の芝生の上にはドーム状の小さな祠のような建物があり中は暗くて見えない。

が、もう入口にも草が生い茂りここ暫く誰かが足を踏み入れていない事が目に見えて解る。真っすぐ石畳には幾つもの東下層のチンピラ達の死体と護衛兵であるだろう死体が重なって倒れている。

死体の数は圧倒的にチンピラの方が多い。チャフのかたきとはいえそこまで命を掛けれるものなのだろうか。ホークは後ろの門を振り向き兵士たちに手招きをして門の中に誘導する。

3人の兵士を門の前に残し俺達が先頭に奥の宮殿の方に足を進めた。

門から宮殿に登る階段までは50mもない。階段も30段程だ。その階段にも護衛兵やチンピラ達の死体が転がっている。

城や宮殿というには小さいつくりでセレブな豪邸という方がしっくりくる建物だ。奥からまだ叫び声や雄たけびが聞こえてくる事から戦闘は続いているようだ。他の兵は3人一組で外周や壁の上の捜索を開始する。

俺達も宮殿から声が聞こえている間は兵達と探索を続ける事にした。ふと後ろの門の上、西の方からエリンさんの叫び声が聞こえた。


「エメラダ・・エリン。」


リンダが南の壁の上を見て叫び走り出そうとする。が、壁には俺の方が近い。

リンダを手で止め俺が壁の方に走った。


「相手はギルよ。ガルバルの片腕なの。急いで!」


俺は全速力で走る。ギルって誰だ?聞いてないぞ。



エリンとエメラダ、それとザックの友人でカシムという年配の兵士が街に隣接している南の壁の階段を登り始めた。壁の上からは剣閃の弾かれる音と喧騒が聞こえる。護衛兵とチンピラ達が戦っているのだ。

階段を登り切りエリンが城壁の上の壁にしゃがみ少し顔を出そうとする。が、カシムに止められた。


「エリン、俺が先に行く。」


「カシムさん。・・はい。お願いします。」


カシムの言葉にエリンとエメラダは頷き場所を変わった。カシムが覗き込むともう戦闘は終わっているようで護衛兵が2人立っている。腕や太腿を斬られているものの重症ではなさそうだ。その足元には

東下層のチンピラ達の死体が5つも転がっている。


「くそ。痛ぇ。・・なん・・なんだ。こいつらは。チャフの部下だろう?」


「そうみたいですね。ギルさん、アイツ等チャフさんのかたきとか言ってましたがチャフさん死んだんですかね?」


「ああ?アイツがそう簡単にくたばる玉かよ。」


カシムはエリン達を見てから鉄の剣を強く握りしめた。

護衛兵達はこちらに足を引き摺りながら歩いてきている。カシムは頭を下げしゃがみ剣を構える。引き摺って歩く足音がもう近くに聞こえる。

階段の方に護衛兵の一人が角を曲がったその時、カシムの剣が護衛兵の脇腹に深く突き刺さった。


「くそがっ・・」


もう一人の護衛兵ギルがカシムの肩に斬りかかる。エリンとエメラダも剣を構え飛び出すが、カシムは首から肩を深く斬られ血しぶきを上げる。意識を朦朧としながらカシムは脇腹に刺さった剣を深く深く差し込んだ。

脇腹を深く刺された護衛兵は膝から落ち項垂れる様に頭を地面に落とした。


「カシムさん!」


エリンが叫ぶ。


「・・・なんだぁ。お前らは!」


ギルが叫ぶ。エリンとエメラダは剣を構えた。

怒りに震えたギルはエリンに向かって上段から斬りかかる。それをエリンは剣を横に構え防ぐ。が、エリンは構えたまま相手の剣の重さで膝を付いた。直ぐにギルは剣をまた振り上げ振り下ろす。

エリンは思わず目を閉じてしまう。ガキンとエリンの上方で剣の弾かれる音がする。エメラダがエリンの後ろから横薙ぎに剣を振りギルの剣に当てた。ギルは少しよろめき振り下ろした剣はエリンの直ぐ横の

地面に叩き落とされた。エメラダはエリンの後ろ首を引き立ち上がらせ2歩程、ギルから距離をとる。エリンとエメラダは剣を構えギルと対峙した。ギルは怪我をしているが、レベル差を少し埋める程度だ。

エメラダはエリンと入れ替わり前に出る。ギルはエリンとエメラダの身体を舐めるように見るとニタリと卑しい笑みを浮かべる。ギルは横薙ぎに剣を振り回すがエメラダは辛うじてそれを対処しエリンが後ろから剣を振る。

ギルの腕に傷が入るがその傷は浅い。エリンは少しずつギルの後ろに回り込もうとするが気付かれ阻まれる。だがエメラダも逆に動き挟む形を作ろうとする。

エメラダは剣を下から上に振り上げ、エリンは後ろから剣を上段から振り下ろした。

ギルはエメラダの剣を横に躱し後ろに目だけを向けエリンの剣を上段で弾き返す。エメラダは避けられた剣は上方に上がったまま少し態勢を崩し、持ち直そうと剣を強く握ったが、もう目の前にはエリンの剣を上段で弾き終えたギルが斜め上段からエメラダに斬りかかった。


エメラダは僅かに態勢を整えるのが遅れ、もう無理だと目を閉じた瞬間、ギルの剣は弾かれた。



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