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転移巫女と勇者の二大陸物語(仮)  作者: 煌清
2章 2部
60/82

60.ホークの案


「そうね。・・・ラナ大陸の上にも大陸があるっていう話もあるのよ。瘴気山ゼストじゃなくて更にその北よ。眉唾物だけどね。」


リンダは相槌を打ったが、直ぐに話題を変える。ゼストという名称を知ってるのに俺は驚く。


「ああ。大陸ジータだな。知ってるぞ。俺の最後の目的地だ。」


リンダは目を大きく、そしてキラキラと輝かせた。そこにホークが現れる。


「済まない。準備できたぞ。さとし、待たせたな。」


「・・お、遅いわよ!いつまで時間かけるのよ。」


リンダがホークに腹を立てた。


「・・あ、ああ。済まない。」


ホークは腑に落ちない顔をする。俺はホークに同情の表情を乗せホークを見た。ホークも俺に苦笑いで返した。


「じゃあ教会に行くわよ。私等は疑われてるんだから急ぎましょう。」


「嫌われてるの間違いじゃないのか?」


先程のお返しとばかりにホークがリンダに突っ込む。


「五月蠅いわよ。行くわよ。」


リンダはパーティションを出る。ホークがそれに続く。ホークは大量の鉄の剣を麻袋に積めて担いでいる。


「さとしのもいれてあるぞ。1本抜いてくれ。」


20本近くの鉄の剣は相当な重量だがホークは軽々と持つ。攻撃力は筋力に相当するのだ。俺はホークが下ろした麻袋から1本の鉄の剣を抜いて自分のベルトに差し込んだ。

リンダとホークの言伝もあってか先程の喧騒はすっかり消え失せていた。俺達は北の壁沿いまで行くと壁伝いに真っすぐ西に向かって歩いた。


「大丈夫かしら。私たち受け入れて貰えるといいのだけれど。」


今更リンダが弱音を吐いた。


「まあ仕方ないだろ。10年以上欺いてたんだ。そう簡単には無理だろうさ。」


ホークはまた苦笑いを滲ませる。


「大丈夫じゃないか?アンタらは西下層の皆殺しを事実上防いだ訳だし、パンの配給もしてた訳だ。それにチャフを殺した事でここの治安は保たれる。少なくともザックさんとエリンさんはそれを解っている。エメラダさんも生きてるしな。あとはガルバル討伐を最優先で成し遂げれば俺は晴れてお役御免って訳だな。」


俺は笑って後を追った。ホークは少し複雑な顔を俺に向けていた。


日差しがオレンジ色に変わり始め教会の前では兵士が集まり地面に座り魔獣を解体していた。その横で女性達は鍋に火を掛けている。

ザックさんがパンを差し入れたお婆さんは教会の横に置いてある椅子に腰かけてにこやかにその風景を眺めていた。

教会に近づくに連れリンダの足取りが遅くなりホークが追い抜く。俺もリンダに笑顔を見せてからリンダを追い抜いた。こういう性格だったか?

俺達が到着するとザックさんとエメラダさんがまず出迎えてくれた。


「リンダ、ホーク。色々あったが・・まあ、なんだ。アンタらの事は解ったつもりだ。今まで済まなかったな。アンタらのお陰で俺達は生きてる。まあ話したんだが皆が歩み寄るには時間がな。・・だが、ありがとな。」


ザックさんがそう言うとリンダは口に手を置き泣き崩れ地面に手を付いた。そこにエメラダさんが駆け寄りリンダを抱きしめる。

俺とホークは互いに目が合い苦笑いを浮かべた。ホークも少し涙目だ。


「おい。ホーク。こっちこい。肉があるぞ。」


と兵士の一人が叫ぶ。ホークはちらりと兵士の方を向き笑顔で頷き少しぎこちない駆け足で兵士のところに向かった。


食事を済ませた俺達は教会の中で会議となった。

会議の内容は早く決まった。俺の提案がほぼ通ったからなのもある。それと壁の中には大商人や貴族などは実際いないそうでチャフが酒を飲んだ時にその話を聞き出したという事だった。

高い北の城壁内はガルバル率いる兵30人がいるだけとのことだ。囚われていた女性達もいたそうだが消息は不明である。

ザックさんの兵達全員で北門と街側南門の防備を硬め脱走兵が出たら捕まえるか、殺害する。

という任と俺達が侵入した後に安全地帯を確保していく任とが与えられた。

俺とリンダとホークは街北門から、城側からすれば南門から侵入する。

城門の開門はホークに策があるそうなので任せる事とした。

始めは酒を飲んで寝ているだろう夜中に決行予定だったが、同じ場所に多く数が集まっている可能性も示唆され明日の朝に決行となった。

明日の朝の決行はチャフのガルバルへの報告日と重なった為、更に次の日に伸ばすのは要らぬ警戒をさせてしまうとの懸念があった。

早い決行に皆は緊張の表情を滲ませていたが俺は少しでも早く解決するのに異存はなかった。一様に話し合いも終わり皆準備に取り掛かる。兵達も早めの就寝に付くようだ。

ホークは東下層へと向かい、明日の朝に門の前で行動を起こすそうで、俺達はその指示に従う。という運びとなった。

俺もリンダとホーク、兵達に干し肉の欠片を1枚づつ渡し俺も眠りにつくことにした。



早朝、ザックさん達が支度を始めていた。エリンさんやエメラダさん達も魔獣装備に鉄の剣を渡される。エリンさん達は参加を断られていたが失敗すれば一蓮托生だ。との事で南門からの参加となった。

俺も着替えを済ませ教会の前で皆が準備をしている様子を見ていた。皆が準備を終える頃にリンダが先に教会を出て背伸びをして青い空を眺めていた。


「まだ早いだろ?どうしたんだ?」


俺が教会の入口の階段に座り尋ねるとリンダが振り向いた。


「さとし。これで私の役目もようやく終わりそうよ。」


それだけ言うとまた空を眺め出した。


「終わらないよ。これからだろ。」


それだけ言うと俺も一緒に空を眺めた。



暫くして完全武装のホークが教会の前までやってきた。


「計画通りいけそうだ。お前らは門から少し離れて待機していてくれ。」


それだけ告げるとまた東の方へ走って行った。


ザックさんは城の北門のリーダーとして参加する。様は脱走者の排除だ。ここに5人を配置する事で決まった。5人は全員しっかり魔獣装備と鉄の剣で武装しているが、全員が大きな麻袋を背負っている。


「行くぞ。」


とザックさんの短い一言で5人は皆に手を振り南に走り出した。彼らは外門から外に出て壁の安全地帯を利用しながら北門の外まで向かう。

残りの兵13人とエリンさんとエメラダさん。俺もリンダもホークの指示通り門の見えるすぐ西まで行き建物の隅に体を隠した。

突然東から喧騒が聞こえだしホークを先頭にモブたちが門に殺到する。ホークは街の北門を叩き大声で叫んだ。


「おい。ここを開けろ。チャフが帰ってこないぞ!お前らが殺したのは解ってるんだぞ!」


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