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転移巫女と勇者の二大陸物語(仮)  作者: 煌清
2章 2部
59/82

59.パルディア



門が開きエメラダさんは感動したのか少し涙ぐんでいた。だが中は、とくに東下層は異質な喧騒を見せている。


「チャフがいなくなってもう4日だ。流石にな。」


ホークは一言呟くと東の方に歩いていく。


「ホーク。」とザックさんが呼びかける。


「少し収めてくる。あとで教会の方へ行くから安心してくれ。」


ザックさんは小さく頷く。


「じゃあ後で。」


とリンダもホークに付いて行った。ザックさんも10年以上敵対してたのだ。複雑なのだろう。


「俺も行くよ。」


俺がそう言うとリンダは振り向いたが少し笑って先に歩き出した。


「ザックさん。後で教会で。」


俺は駆け足でホークとリンダに付いていった。ザックさんは「おう。」と少し安心したような顔を見せ俺に手を振る。


「チャフさんを見かけたか?」


「何処に行ったんだ、あの人は?」


と、モブ達が忙しなく走り回っている。モブたちがホークとリンダに気付く。


「ホークさんお疲れっす。あっリンダさん今日も綺麗っすね。ところでチャフのアニキを見ませんでしたか?」


ホークは首を傾げてリンダを見る。リンダが腕を軽く組み手を顎に当て考える素振りを見せる。


「あー。この間用事があるって門から出ていったわよ。鉱山でも見に行ったのかしら?最近大きな魔獣がウロウロしてるから外も怖いわ。アンタらも外に出たらダメよ。

チャフの事は任されるわ。ちゃんと仕事しなさいな。」


リンダは目を細めモブを少し威圧してモブの顎を指で撫でる。


「そ・・そっすよね。すいやせん。」


モブが足早にここから去ろうとする。


「おい。ガブ。俺達が探しておくからお前らはみんなに伝えろ。」


モブは振り向き頭を下げ、すぐに踵を返し走っていった。


「こいつ等は殺さずに済みそうね。」


俺は後ろからそれを眺めていた。モブではなくガブのようだ。

俺は周りに怪訝な目で見られるが絡まれる事もなくパーティションに到着する。


「さとし。入ってくれ。」


ホークは俺を中に入れると入口の扉を閉める。中は死臭がひどい。


「この臭い、大丈夫なのか?誰かに気付かれたりしないのか?」


俺がそう言うとホークは頷く。


「ああ。扉は閉めてある。それにこの店に黙って入るような根性のある奴はこの東下層にはいない。お前を除いてな。」


ああ。そういう事か。


「ほんと臭いわよ。何よ。死んでも臭いのかしらこいつ。」


いや多分死んだから臭いのだ。リンダは厨房に転がしている腐った死体を更に火の魔法でこんがりと焼いている。俺とホークは目を細めた。が、その件には触れなかった。


「まあ、適当に座れよ。俺達は装備を整える。」


ホークが言う。カウンターの椅子に座り俺はホークに尋ねる。


「ホーク。悪いけど、剣は余ってないかなぁ?」


「ああ。あっちの兵の分だろ?大丈夫だ。ちゃんととってある。」


俺は首を振る。


「違う違う。俺のだよ。俺、剣持ってないんだよ。ナイフ1本でここまで来たんだ。」


ホークは驚く。


「お前は東から来たんだったか?ナイフ1本でよく生きてここまでこれたな。」


俺は笑顔で頷いた。


「ああ。装備もこれだけだったしな。」


俺は着ている防刃服の胸の部分を拳でどうだと言わんばかりに叩いた。ホークは少し笑う。


「そうだな。強い訳だ。」


ホークは呟いたが、俺はそんなに強くない。ここの連中が予想外に弱いのだ。


「ホーク。何してるの?急ぎなさい。私は準備終わったわよ。・・は?何カウンターで遊んでるのよ?」


リンダが喋りながら顔を出し、そして凄い剣幕でホークが怒鳴られる。


「・・ああ。解ってるよ。リンダ。・・ああ、さとし、剣だったな。あるぞ。ちょっと待っててくれ。」


ホークは俺に苦笑いを見せると奥に引っ込んだ。リンダは黒の革装備で現れカウンターの前、俺の横に座った。


トカゲの革か何かか?


――――――――――― 

リンダ  レベル14


剣士見習い 

拳闘士


HP  45/45

MP  30/30


攻撃力   14 + 13

防御力   14 + 34

敏捷性   17 

魔法力   28

魔法防御  11 +  5


装備

鋼のグローブ  攻撃力に+  6 素手時+ 8

魔獣革の鎧E  防御力に+ 14 魔法防御に+ 3

魔獣革の籠手E 防御力に+ 10 魔法防御に+ 1

魔獣革の脛当E 防御力に+ 10 魔法防御に+ 1



スキル

剣術 レベル2

格闘 レベル4



魔法 

火の魔法 レベル3

ファイアボール 


―――――――――――

(グローブは片手攻撃力に変えてます。)


リンダは俺の顔を見る。


「あら、私に見惚れたのかしら?」


リンダが笑う。確かに凄く綺麗だが年齢は30過ぎだ。俺の好みの範囲外だと思いたい・・。


「そ・・そうではなくて、その装備だよ。黒い革装備は初めて見たからさ。」


「ああ。これね?これは昔着ていた私の国の装備よ。みんな着れる訳じゃないのよ?お世話になってるけどこれは流石に差し上げる事はできないわ。」


そこそこにお偉いさんだったのだろう。そもそもサイズ違うから貰っても着れないし。


「リンダは剣はないのか?って言うのも剣術のスキルがリンダは2なんだ。3にして剣を装備した方が攻撃力が上がるんじゃないかな。と思ってな。」


リンダは驚く。


「貴方、他人のステータスが見れるの?」


もう仲間になる訳だし隠してても仕方ないと思ったのだがまずかったかな・・。


「ああ。ごめん。覗く気はなかったんだ。」


リンダは驚いた顔を元に戻し手を振って真剣な顔をする。


「その指輪の効果でしょ?違ってたらごめんなさい。前に国の書庫で読んだ事があるの。」


「書庫があるのか?前もホムラの事言ってなかったっけ?」


リンダは懐かしそうな顔をして頷く。


「そうよ。王国パルディアはラナ大陸の歴史の文献を集めているわ。今は軍事国になってしまったけど、前は古都パルディアとして歴史家や考古学者が集まっていたのよ。」


「そうなんだな。俺も行ってみたいな。そのパルディアに。」


リンダは真剣な目を少し伏せた。


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