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転移巫女と勇者の二大陸物語(仮)  作者: 煌清
2章 2部
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58.帰還



俺は銀の亀の甲羅の先端から遠くを眺めていた。見渡す限りの砂丘の山だが悪くない。


「よう。」


ホークも表に出てきていて頭を掻いている。こいつも苦手なのだろう。そういう手合いだ。


「もう大丈夫そうか?」


「ああ。おかげさまでな。・・・それよりも、すまなかった。」


ホークは深く頭を下げた。俺はそれを眺めてまた景色に目を向ける。


「演技派だな。解らなったよ。途中から違和感を感じたけどな。」


ホークは顔を上げ鼻を掻いた。


「そうか?・・・10年以上もチャフを欺き続けていたからな。ああ・・・全てを・・だな。リンダと2人でずっとだった。お前が変えてくれたんだ。」


俺も鼻を掻いて笑った。


「あの時のボディブローは忘れないけどな。」


ホークは少し笑った。


「あの時からか・・・お前には勝てない気がしていた。俺の感は当たっていた訳だが、少しは効いたのか?」


俺は首を振る。


「いや、全然。ダメージは全くなかったよ。蚊が刺した程度だ。だけどイラっとはしたぞ。エリンさんやレナさんだったらと思うとな。」


「そうか。だろうな。だが俺が西下層の人間に手を挙げる事は絶対にない。今までも・・・勿論これからもだ。」


「だったらアレはなんだったんだ?レナさんを攫いに雑魚が5人もきて、その後お前がゾロゾロ連れてきただろう?」


「ああ。アレか。あいつらは俺の手の怪我を見てポイントでも稼ごうとしていたんだろう。残念ながら逃げてきた2人はもういないがな。

ただレナがまた水の魔法を使えるようになったって聞いたのが、その件でだ。その時にリンダが本気でお前に興味を持ったんだ。・・で、俺達がお前を呼びに行ったって訳だ。ゾロゾロと連れていたのは、その件の直ぐ後だったからだ。・・拾った石を投げて部下の頭を飛ばした時は俺も死ぬかもな。って内心思ったぞ。」


ホークは楽しそうに笑った。こんな顔も出来るんだな。


「そうか。・・それで、あの街でホークはホムラになる気はないか?」


笑っていたホークが吹き出した。


「は?・・それはどういう意味だ?」


「いや、そのままの意味だ。まあこの話をするのは早かったな。まだ昼間だ。早めに街に戻ろう。」


「・・ああ。・・そうだな。」


そう言うとホークは家の中に入っていく。暫くするとリンダとエリンさんがエメラダを連れて現れザックさんが後ろからエメラダを支えて歩いてきた。

エメラダは俺を見ると深く頭を下げた。


「あの・・話は聞きました。ありがとうございます。私はエメラダと言います。」


俺は手を振って答える。


「いえ。大丈夫ですよ。エメラダさん元気になって良かったです。」


魔法の袋から、もう一度干し肉の欠片の入った瓶を出し一枚エメラダさんに見せる。


「ザックから先程貰いました。これは?」


やはり説明まではしてないよな・・。


「これは回復魔法の掛かった食べ物ですよ。MPも回復しますので。ホークとリンダも一枚食べとけよ。」


リンダとホークも近づき瓶を覗き込む。


「凄いものなのも分かるし、とてもありがたいんだけどさー。私等には辛辣よね?言葉使いとかさ。」


リンダとホークは瓶から一枚取る。リンダが顔を顰めて俺に話しかけ俺はフゥと息を吐き回答する。


「仕方ないだろ。アンタらとは敵対してたんだ。文句があるなら食うなよ。」


「いいえ。有難く頂くわ。」


リンダはフフンと笑い、ホークは苦笑いを見せた。エメラダさんはエリンさんに干し肉を見せるとエリンは笑顔で頷いた。エメラダさんが口に入れて咀嚼し飲み込むとポゥと少し光ってすぐに消える。

ああ。これ食べると光るんだよな。それを見たリンダとホークも口に干し肉の欠片を口に入れた。

おおっと食べた皆が声を上げる。気持ちはわかる。


「ところでさ。俺達の足元の亀って魔獣だったんだよな?寿命だったのかな?」


リンダは「ああ。これね。」とつま先で地面を蹴った。


「これは、ホムラが倒したらしいわ。」


「マジなのか?これを倒した奴を俺達は今から倒そうとしてるのか?」


リンダはぶんぶんと手を振った。


「ち・違うわよ。ガルバルに出来る訳ないじゃない。遥か昔の英雄よ。北のバルディアにはいろんな過去の書物があるの。その1つ。伝説の一つよ。龍の槍サラマンドラを携えし女神ホムラ。

私のご先祖様ってとこかしら。火の継承はその女神からって言われているわ。解って頂けたら私をもう少し敬いなさい。」


リンダは腰に手を当て顎を突き出し目を細めて俺を見る。俺は両手を横に出し首を振る。皆も笑いだす。


「ふん。でも・・まあ眉唾よね。」


リンダは溜息を吐き出し尻尾の先のロープを離し亀から地面に降り立った。

焦炎の女神か・・この亀を倒せる程の強さ。半端ないな。地面の赤土が解けて固まっているのも頷ける。風で砂が被っていてもよさそうだがここは一切の風を周りの砂山が遮っている。上空からの風もあっていいはずなのだが。亀の亡骸はドーナツ状の砂山の中心に静かに鎮座している。俺はその亀を不思議そうに眺めた。

俺達は来た道を帰り何の問題もなく夕方には街に到着した。魔獣はリンダ、ホークが青を狩りエリンさんとザックさんが狼を狩っていた。俺はひたすら革を剥ぐ係に徹している。

エメラダさんといえば狼に襲われるも「あらあら。」と避け掌底で狼の眉間に一撃を繰り出し軽く狼を屠ってみせた。


遠くに街が見えてくる頃には疲労のせいかザックさんとエリンさんは語ることをしなくなっていた。

魔獣のせいではなく、この足元の砂漠のような赤砂のせいだろう。



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