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転移巫女と勇者の二大陸物語(仮)  作者: 煌清
2章 2部
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49.ホークとのやり取り


「あぅぅぅぅ・・」


と、叫び声を上げたのが最後でそのまま倒れ意識を飛ばした。死んではいない。

HPは半分も残っている。この世界では意識を手放したが最後。

待っているのは死だけなのだ。・・俺も気を付けよう。

一瞬の出来事に周りは静まり返り、俺と倒れている巨漢を交互に見て驚愕していた。


「今のは、俺は悪くないよな?先に手を出したのはそっちだし。」


ホークは倒れているガズという大男を一瞥し俺を睨みつけた。


「ああ。そうだな。だが立場は考えろ!俺達はギルド側でお前は最下層の人間だ。・・・許されると思っているのか?」


ホークはちらりと高い壁の方を見た。俺は目を細める。


「許される?今まで許されてたのはアンタ達だろう?さっきも聞いたよな。教会に何の用だったんだ?さっきは話してる途中でデカい雑魚に邪魔されたけどさぁ。」


ホークは黙って俺を睨みつけている。喋る気はないようだ。

・・俺は落ちている石を拾い整列しているモブ達に投げつけた。


「あぎゃ・・」


モブの一人の頭が破裂する。しっかり投擲スキルが見に付いた。

ホークも破裂した部下を見てから、またこちらに顔を向けた。


「俺は実際、関係のない人間だしね。だけど、ギルドだっけ・・目に余るよ。

本当にイライラするんだ。・・・只のチンピラのコミュニティじゃないか。」


ホークはフゥと息を吐いた。


「教会の件は・・・お前への嫌がらせのつもりだった。・・それでどうする?」


俺への嫌がらせ?レナさんを攫う事がか?・・今思いついたような回答が返ってくる。

・・まあ、いい。大体の数や編成もわかった。あと2人が他を束ねているんだろう。


「いや。それだけだよ。レナさんが怪我をしたんだ。お詫びはこれでいいよ。」


俺は倒れている大男の鉄のグローブを左右とも剥ぎ取ってポケットに突っ込んだ。更に俺は言葉を続けた。


「まだやるのか?」


ホークは鉄の剣を掴んだが、手を放し俺を睨む。


「ボスが・・・お前に会いたいそうだ。」


ボスがいるのか。3人のうちの1人だろうか。本当に嫌だ。


「俺は会いたくない。と、伝えておいて欲しいんだけど。」


ホークはフンと鼻で笑い、黙って踵を返して東へと戻っていった。元々争う気はなかったのだろう。俺は何故かそう思った。


・・あー怖い。と俺も踵を返し、ザックさんがいるだろう兵舎の方に向かった。


俺は兵舎に辿り着くとザックさんと後2人が木剣を持って構えていた。


「おお。さとし君。エリンは兵士2人を連れ教会に動ける者を運んでいる。

それと残りの兵も奥の家の周りに散り散りに配置した。

皆にもスキルのレベルを聞いて木槍と木剣を選ばせた。

で、戦闘はどうなった?いつ攻めてくる感じだ?」


俺はザックさんに頭を下げた。


「すみません。ザックさん。今日は戦闘は多分、もうありません。

ですが・・・もう避けられないと思います。」


ザックさんは首を振った。


「・・・そうか。今日は大丈夫なんだな。・・いや、さとし君はよくやってくれている。

それに感謝してるんだ。アンタがこなければこの西下層は終わっていた。緩やかに・・だがな。

それにエリンが剣を持って走る姿がもう1度見れたんだ。もう俺はアンタに命を掛ける事も厭わないさ。」


大袈裟なんだが、とりあえず少しの時間稼ぎは出来た。


「ではザックさん。兵をみんな今から教会に集めて貰えませんか?」


「ああ。分かった。」


ザックさんは大きく頷いた。


教会では元気に動き回る襤褸ぼろを着た女性たちがせっせと働いていた。

兵たちは少ない水を持ち寄り教会に集める。動けない子供たちは干し肉の欠片さえ口に入らない。

かたや東下層では毎日浴びるように酒を飲んでいる姿を見る。・・酒はどこで手にいれるんだ?


「あ?さとしさん無事だったのですね。」


エリンさんが俺に声を掛けてくれる。マリンはエリクの横に寝かされている。

今、だいたい21〜22時頃だろう。日が落ちて2時間ってところだ。


「はい。無事でした。今日は安心していいと思います。」


エリンさんはホッとしたように息を吐いた。


「あの・・・エリンさんにお願いがありまして。」


エリンさんはコクコクと頷く。


「はい。なんでもおっしゃって下さい。」


俺はエリンさんを見て、このいい人達を地獄に落としたホーク達ギルドに改めて怒りを覚える。


「では、明日の朝から門の外で今日の朝にした訓練をしましょう。明日は兵士18人とエリク、マリン、レナさんもです。」


エリンさんは驚く。


「マリンもですか?」


俺は頷いた。マリンも強い子なのだ。


「俺がエリクとマリンと出会ったのは、ここの街より何キロか東の岩山でした。」


エリンはまたも驚く。聞いていなかったのだろう。俺は話しを続けた。


「エリクとマリンは貴方の為にと赤い宝石を探して夜の岩山に登っていたんです。

俺も驚きました。聞くと街まで何キロもあるじゃないですか。子供が2人でですよ。

本当に強い子供たちです。俺は暫くしたらこの街を出ます。

旅を続けなければなりませんから。・・将来、俺はこの街をあの子達に託したいのです。

よそ者の俺が言うのも変ですよね。」


俺は笑った。エリンさんは真剣な眼差しで頷いた。


「はい。あの子達は強い子です。ですが岩山の事は初めて聞きました。岩山にさとしさんが居なければと、思うと寒気がしてきます。」


エリンさんは笑った。あのゲッソリしていたエリンさんとは想像もつかない。

俺はこの笑顔を壊したくないと思った。この状況はひと時のものだ。

下層の改善点は見えている。上層はそのあとだ。


「悪いようにはしませんよ。エリクとマリンは安全な壁沿いから石でも投げていてもらいます。とどめもお願いしますけどね。」


エリンさんは頷く。俺は続ける。


「エリンさんには兵の方をお願いします。」


エリンさんと話していると兵士達が続々と教会に集まりだしザックさんが俺に話しかけた。


「さとし君。みんな揃った。内容を話してくれ。」


俺はザックさんに頷き、先程のホークとの会話の話しをした。


「そのホークは俺とボスに引き合わせるという話しでした。それはまあ・・俺が話しを付けたいと思います。俺はよそ者ですが、この西下層の事で妥協はしないと思います。

それで・・戦争に発展するかもしれない。という事を皆さんにお伝えしとかないといけないと思いまして。ザックさんに皆さんを集めて貰いました。」


ザックさんが言葉を継ぐ形で話し出した。


「俺たちはさとし君に救われた。エリンもレナもだ。兵士達も今満足に戦えるだろう?さとし君のお陰だ。どうだ?みんな。死ぬ気だったんだろ?今回は満足に精一杯戦って死ねるぞ。

悔いも残さずにな。大進歩だ。文句のある奴はいねぇだろ?」


兵士のみんなは拳を振り上げ口々に声を上げる。


「ああ。こんな良い死にざまはねぇ。」


「もう犬死にじゃあないんだよな。」


「餓死が避けれただけでも儲けものだ。」


等々意見は様々だが、みんな戦死にポジティブなのに少し引く。


俺は死ぬ気もないし殺す気もない。出来る事はある。生存率を上げる方法だ。


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