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転移巫女と勇者の二大陸物語(仮)  作者: 煌清
1章 1部
35/82

35.巫女のカルナック領


「オセロの黒に染まっちゃう感じね。」


うん。そうだ。そうなってしまう。


「めぐみ様、今日、風の魔法をお与え致します。スラッシュは使えるように修行もしていきましょう。」


お母さんは真剣な顔で頷いた。私も笑顔を向ける。


「あくまでもこれは私の感なんだけど、たぶん早く手を打たないといけない気がするんだよね。」


「じゃあ、カルナックさんの出番じゃないかしら。」


「そうだね。」


お母さんの言葉に私も相槌を打つ。カルナック兄ちゃんも真剣な顔をこちらに向けてくる。そこで地面から黒騎士君が出てきた。


「戦闘は終わっておりミラン殿に魔獣の革の件をお伝え致しました。」


みんな一様に驚いた顔をする。


「ミランは無事だったの?」


私は一番にミランの無事を問いかけた。


「・・・はい。・・・ミラン殿より言伝です。・・魔獣全滅成功したが森の瘴気は晴れず。・・との事。」


それだけ言うと黒騎士君はスゥーっと地面に消えていく。


「そっか。無事だったかー。」


サランはホッとしたように上を向いた。一番心配していたのはサランだろう。


「よかったね。サラン。」


サランは恥ずかしそうに後ろを向いた。


「だっ・・だから大丈夫って言ったじゃん。」


みんなで一頻り笑いあう。本当に良かった。


「じゃあ、みんな、気を取り直して本題に入るよー。」


そう言うとみんな机に向かってくれる。お母さんは皆の分のお茶を準備してくれた。


「私はエリアドルさんに魔法を教わってもいいかしら?」


お母さんがいきなり会議離脱の発言をする。


「えー!いい事言おうとしたのにぃ。」


私は不貞腐れる。


「私は構いませんよ。サラン、兵は全権お任せ致します。どうせ私はこの塔から暫くは出れませんので。」


エリアドルさんとお母さんは席を立ち階段を降りて行った。


「まあいいではありませんか?カルナック領、領主の私と塔の兵の全権を握ったサラン殿、それと巫女である友紀様が今ここに介してる訳ですから。」


私は腕を組む。


「私はお母さんの意見は欲しかった。」


「友紀様に全部任せるって事だよ。いいんじゃない。」


サランがニコニコと笑う。


「じゃあ・・オホン。カルナックの兄ちゃんはさっきの瘴気の件はどう思う?」


カルナック兄ちゃんも直ぐに真剣な顔になり腕を組んだ。


「先程の皆様方のお話を頂きまして私なりに考えますと、カルナックの森の件、ウエストウッド、更にはリンドバル侯爵領の死の森。全ての関連性を考えました・・。」


カルナック兄ちゃんは恐る恐る私とサランを覗き込む。


「そうだね。私もそう思う。じゃあ何をしようか?サラン。」


サランはビクッとこちらを覗き苦笑いを見せた。


「え・・っと、まずは・・瘴気の調査隊の派遣・・かな?」


私はうんうんと頷く。

瘴気は魔素と違って目や身体の五感で調べる事が出来る。薄暗かったり寒気がしたりと現地の人がおかしいと判断できるという訳だ。


「私は早速、カルナック兵と塔の兵と共同でカルナック領の現地確認を行いたいと思います。異存はあるかね?」


「異議なし。」


「い・・・異議なし。」


カルナック兄ちゃんが挙手をして直ぐに賛同する。サランもそれに続いた。


「まあ・・だけど、私はこのカルナック領の村々の数を把握してないんだよ。編成をするにしても距離や村の数を教えてよ。」


カルナック兄ちゃんは頷く。


「はい。このカルナックには8の村が点在しております。小さな集落を入れるともっと多くなるでしょうが、税金を納めている村と把握すれば8です。」


私はサランの方を向く。


「サラン。この塔に今残ってる兵数は?」


サランは腕を組み上を見る。


「塔の兵は私とミランを除いて20名。含めると戦力は22名。ウエストウッドにミラン、ゲオルグ含め6名を先遣で出して、更に5名の増援を送ったから11名・・だね。」


私はまたサランからカルナック兄ちゃんに目を移す。


「カルナック兵は?」


「はい。カルナック兵は現在、全兵、約700名です。歩兵500 弓兵100 騎兵70 魔法兵30です。」


「その8つの村に隣接した森とか林?・・魔獣やモンスターが出そうな所はあるの?」


「はい。全ての村々に森や雑木林、川は隣接しております。恐らくですが集落もです。」


「そっか・・200くらい出そう?カルナック領から。それと塔から、まず8名出そう。」


「友紀様・・・カルナック領から各村に20人くらいずつだすの?」


サランが不思議そうに話し出す。


「ん−ん。森って村の周りだけじゃないでしょ?街道沿いも普通の道の周りにもあるし、これだけ瘴気が出てきてるのに村以外も出るんじゃない?」


「うん。わかった。カルナックあんちゃんに8人塔の兵を貸すよ。隊長にでも任命させて送り出すといいよ。塔の兵は随時交代で周囲探索させながらこちらから出すから。」


カルナック兄ちゃんは頷く。


「ありがとう。サラン殿。では友紀様、村に常駐する兵を募るといたします。」


私は首を振る。


「違うよ。カルナック兄ちゃん。・・・何て・・いうのかな・・・エリアを作るんだよ。

常駐してるだけだったら小さな村にそんなに兵士置いても邪魔になるだけだから。

例えばね?10の村があればカルナック領を10当分するんだよ。・・土地をね。国も領も分れてるでしょ?領の中も分けるんだよ。ナントカ村領みたいにして、そこの隊長にそのエリアを任すの。」


サランもカルナック兄ちゃんも目を大きく開ける。県の中の市みたいなものなんだけどね。


「なるほど。では20人単位でその領を管轄させるという事ですね。」


エリアね・・


「そっか・・・強い魔獣や多く数が出たらこちらから人数を回せばいい訳だね。」


サランがいう。


「そこまで成ったらカルナックの街からは定期的な交代要員だけでいいんだよ。だって隣村から兵士を増員出来るじゃない?それとね、これは全員のレベルアップが目的だからね。必死に湧いてきた魔獣やモンスターを狩って狩って狩りまくるの。兵数700人で1人の兵が5人倒せたら3500人の兵に匹敵するんだから。死者数も減る。兵は数じゃないって事をこのカルナック領から始めようか。」


湧くかどうかも分からない現状。でも予感はあった。恐らく魔獣やモンスターはもっと増えるはずだ。


カルナック兄ちゃんは目に涙を浮かべ嬉しそうに跪いた。



カルナック領だけではなく大陸ジータを覆う瘴気は少しずつだが増えていくこととなる。

友紀は味方や多くの兵と自分たちのレベル上げを目的としながら、まずは風の塔とカルナック領を統括させられていくこととなる。












1章 終了です。

次話からさとし編2部です。

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