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転移巫女と勇者の二大陸物語(仮)  作者: 煌清
1章 1部
33/82

33.ミラン 黒い大鬼戦



人間を屠るか瘴気を多く吸い込んで成長した成長種といわれる魔獣やモンスターから魔法防御が発生してくる。ちなみに黒色以降からだ。

小鬼や大鬼は魔獣ともモンスターともつかない。見た目から魔獣ではないが死体は残る。

なのでモンスターでもない。との判断だ。

ミランはサランと共に旅をしていた頃、小鬼の黒い成長種と青い大鬼の成長種に何度か遭遇したことがあった。

だが成長種で格上は黒なのだが青い大鬼と黒い小鬼の実力は殆ど拮抗していた。


つまり生まれながら大鬼である時点で小鬼の上位種なのである。



ミランは左右の壁に向かうようゲオルグ達に指示を出した後、自分の腰から下げていた革の水筒に精霊の水を一杯に注いでいく。

少しでも生存率を上げる為にカルナック兵の積み荷の馬車より借り受けた予備の籠手と膝当て、ローブの下に鎖帷子を装備していた。

ミランは門の前に立ち「スゥーハー」と一度深く深呼吸をする。


「門を開けて下さい。僕が通れる分だけで構いません。」


門をくぐると正面20m程先の黒い大鬼に向かってミランの頭上をビビアンとソニアの炎の魔法が怒涛の如く飛んで行くのが見えた。

雑魚たちは既に一掃されており正面に残るは黒い大鬼だけであった。

その黒い大鬼に今まさに炎の連弾が届いていた。

黒い大鬼はその炎達を素早く躱し、棍棒を振り掻き消しながら少しずつ前に歩みを進めていく。

が、物凄い数の連弾が容赦なく降り注ぎ肩や腕にぶつかってダメージを与えていく。

手に持つ棍棒も轟轟と燃えだし堪らず棍棒を投げ捨てる。

ソニアより若干MPの少ないビビアンが巫女様お手製のエリクサー?の瓶の蓋を親指で飛ばし一気に煽り顔を顰める。


「ちょーー不味い!」


だがMPまでしっかり回復したことに驚いたビビアンだがすぐさま瓶を投げ捨て、炎の魔法を黒い大鬼に向かい放とうとしたその時・・


「ビビアン!ストップストップ。」


ビビアンはソニアに引き止められ慌てて黒い大鬼の方を向くとミランが黒い大鬼の方を向きながら左手を挙げ、魔法の停止を求めた。


連弾による土煙が晴れていき、こちらを睨みつけている黒い大鬼が露わになった。

肩や腕、太腿などに火傷の後からジュージューと音を立てている。

ミランは一歩また一歩と黒い大鬼の方に歩みを進めていく。右手に握ったロッドを強く握る。

ビビアンとソニアの魔法連撃は黒い大鬼の敏捷を図るうえで役に立ったと言えた。

魔獣やモンスターは成長種といえど決して高い魔法防御性能を持っていない。

だが全て避けて然り、運よく1、2発当てれば音の字とまで思っていたのだ。

もしミランが倒れても、ビビアンとソニアで削り取ってくれると託す形で余力を残させ魔法を止めさせた。

ミランにしてみれば本来、ビビアンとソニアが魔法を打ち尽くした後に行く予定だった。

だがミランはその状態で自分が敗北した後の村の未来を考えたのだ。

村を生かすならこちらだろうと。

ミランの歩みは駆け足となり更には全力の疾走で駆け黒い大鬼に肉薄していった。


ソニアも門の上で巫女様特製エリクサーを飲み干し、黒い大鬼と走っていくミランを真剣に見つめ息をのんだ。

ミランは疾走しながら少しだけ飛び右手で大きくロッドを振りかぶり構えている黒い大鬼の顔面に向け横薙ぎに叩きつけた。

ロッドを振るった風圧で周りの草が一斉に空を舞う。だが黒い大鬼は左腕で顔面を庇う。

傷1つ入らない黒い大鬼の腕を一瞬確認し、黒い大鬼のお返しとばかりに振られた右腕のフックを避け2−3歩下る。

ミランは黒い大鬼を睨みながら何の未練もないように手に持つロッドを自分の後ろに放り投げた。

分かってましたと腰を低く構え両手を左右に広げた。両の掌がポヮーと緑色に光り出す。

黒い大鬼の眉がピクリと動いた。

黒い大鬼はミランに向かい走り出し鋭い蹴りをミランに放つが敏捷を底上げする風のローブを纏ったミランは黒い大鬼の振られた足の下に潜り込み、下から脹脛に手を添えスラッシュを繰り出す。

だが脹脛ふくらはぎに手を添えてからスラッシュが発動するまでのコンマ何秒のタイムラグで黒い大鬼は膝を曲げるだけで回避した。

真下から上へ掌から放たれたスラッシュの魔法は空へと消えていく。

避けられ1歩下ったミランに容赦ない拳のラッシュが放たれるがミランはそれも避けてカウンターを狙い自分の手をクロスさせ黒い大鬼の左右の腕に魔法を放った。

黒い大鬼は右手を引いたが左手の上腕に深く傷を入れ血が吹き出る。

ミランも避けているとはいえ拳の風圧で顔や腕に浅くない傷が入っていく。

1度は離れ黒い大鬼は自分の左の腕をちらりと見た。

腕を見ていた黒い大鬼はゆっくりとクラウチングスタートの態勢を取った。

ミランは体当たりを警戒して3〜4歩下り警戒するが・・ミランも深く構え両手を前に出した。

身体と両の掌が緑色の魔力で満たされていく。

黒い大鬼の足の脹脛からブチブチという音がしてくる。自分で筋繊維を破壊している様にしか見えないが地面を蹴る足のつま先が地面にめり込んでいく。

左腕から地面に向かい緑色の血液が流れているのが見える。

暗がりで黒い大鬼と目が合う。そこでパーーンと音が聞こえ黒い大鬼が顔の前で腕をクロスに構えミランに向かってかなりの速度で飛んできた。

ビビアンとソニアもしっかり目を開けて見ていたが黒い大鬼の加速は全く見えなかった。

次の瞬間ダーーンと音がして門の横の壁に何かがぶつかり壁を破壊した。

ソニアは壁を走りすぐ下の壁を覗き込んだ。壁にめり込んでいたのはミランだった。

パラパラと瓦礫の砂を落としながらミランはフラフラと起き上がる。


「ミラン様・・・。」


ミランは手探りで巫女手製のポーション瓶を取り出そうとしたがポーション瓶はもう既に無かった。

逆の手でポーチを探ろうとしたが腕が折れて使い物にならない。

「ふぅ。」と息を吐き使える手をまわしポーチを手探り丸薬を取り出し口に放る。

黒い大鬼のいる場所も土煙が風によって晴れていく。

黒い大鬼は立っていたが左腕がだらんと下がり肘から下はかろうじて繋がっている状態だった。

ミランは丸薬をゆっくり咀嚼し飲み込んだ。


「これは甘すぎ・・・ですね。友紀様。」


そう一言呟くとニコリと微笑んだ。


黒い大鬼の捨て身の体当たりをまともに受けようと考えたミランはお守りとばかりにもう一度自分に重ね掛けできないウィンドバリアを使い両手を前に出し左右の掌にスラッシュの魔法を直ぐ出せる状態にまで魔力を高めた。

確かに早かった黒い大鬼の体当たりは実はミランにはなんとか躱せる程には見えていた。

相手のクロスした前側の左腕にミランは少し後ろの飛びながら両手を添え魔法を左右の手から2発放ったのだ。

更に飛ばされる瞬間にもう2発、ただ防御が間に合わずそのままの態勢で背中から壁にぶち当たった形となってしまった。

最後に使ったウィンドバリアのお陰か中に着こんだ鎖帷子のお陰かもしくは両方か。

その影響もあってか一命を取り留め意識も繋ぐ事ができた。

黒い大鬼はミランを睨みつけてはいるようだがボタボタ左腕からの流血が多かった。

ミランは全回復し追い打ちとばかりに黒い大鬼に迫り風の魔法を発動させたが黒い大鬼はミランの早い風の魔法を半分も避けることは出来なかった。


そのうち体中が切り刻まれ意識が朦朧としだし遂には膝を付き前倒しに倒れ口や傷口から瘴気を吐き出し動かなくなった。


この正面の戦いでミランは2つ。

ビビアン、ソニアは2人共レベルを1つずつ上げこの戦いを終結させた。




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