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転移巫女と勇者の二大陸物語(仮)  作者: 煌清
1章 1部
30/82

30.ウエストウッド



村には民兵がいる。自警団みたいな感じで村の若者達が自主的に見回りなどを行い取り締まっているのが現状だ。レベルも2〜3程度。今の状況だと少し心強い。


「俺達は何をすればいいでしょうか?」


「民兵の方々ですね?弓を使えるのは何人いますか?」


「5人しか戦える者はいませんが4人が弓を使えます。レベルは低いですが・・。あとこの娘が風の魔法を使えます。」


「それでは・・・・」


ウォォォォォォ―――。と遠くから地響きがするような雄たけびが聞こえた。


「・・・皆さんはカルナックの馬車に急ぎ防具と弓を借り受け塀の上に陣取りなさい。矢は多く持って行きなさい。ウィンドバリア。」


民兵達がホワーと青く光り出す。


「防御魔法を掛けておきました。お守り程度だと思って下さい。大鬼は避けて押し寄せる魔物を狩ってください。僕も直ぐに向かいます。」


「ありがとうございます。おい!急ぐぞ。」


最後に魔法を使えるというエルフの長い髪の少女が頭を下げて走って行った。僕らと同じエルフか・・殺されて欲しくないな。ミランは心から想った。

ミランは空き瓶に精霊の水を補充していく。空瓶全てに精霊の水を満たして行く作業だ。

手伝いをしてくれる村人に精霊の水だけを満たしたポーションを2瓶渡し負傷したカルナック兵に飲ませるよう指示を出す。


「それ以外のポーションは負傷して村に戻った兵たちに飲ませてあげて下さい。」


ミランはそれだけ話すと門の方へ急いだ。幸い戦闘はまだ始まっていないが橋の向こうに魔獣の群れが確認できた。


「ゲオルグ。」


「ハッ。数は100〜120といった所でしょうか。橋の向こうにご丁寧に集結しております。」


数が多い。がホーンラビットやファング、小鬼が大半か・・。

一番奥に黒い大鬼、その前に青色の大鬼が2体。大鬼が5体。

確かにご丁寧に雑魚を前衛に配置している。森の前の篝火で陣形が分かりやすい。

「早馬は出しましたか?」


「はい。もう既に発ちました。」


ミランは頷く。

恐らく雑魚から突っ込んでくるだろう。統率した魔獣や人はそういうものだ。

・・・魔獣?・・人?・・・友紀様やめぐみ様ならどう考えるだろう。


「ゲオルグ、急ぎ村人達に出来るだけ多くの松明を集めて持たせなさい。」


「・・・松明ですか?」


「そうです。急ぎなさい。」


「はっ。リック、ウォード。話は聞いたな?急ぎ松明を集めろ。」


ゲオルグの部下のリックとウォードは戦士系の塔の兵士。リックは金髪の小柄な槍使いでウォードは真逆で黒髪大柄の剣使いだ。彼らは走り村人たちに松明を集めさせるよう号令を出す。


「ビビアンとソニアは塀に登り民兵達の左右に。僕たち6人が落ちればこの村も落ちます。」


ビビアンとソニアは神妙に頷く。

サランに着いていったリズベットとは飲み仲間のようだ。

この金髪のくせ毛のビビアンと紫髪の泣ボクロの美人は同じ魔法使いで女性なので気が合うのだろう。

その彼女らに友紀様から頂いたポーション瓶を2本手渡した。


「魔力が切れればこれを飲みなさい。友紀様が作ったエリクサーです。それと民兵の中に魔法使いがいるようです。これをその彼女に。」


チョコボールを1粒取り出しビビアンに渡す。


「これは?」


「これも友紀様の使いの黒騎士様から届けられた回復薬だそうです。

ゲオルグ、リックとウォードにも1粒ずつ。」


「分かりました。ミラン様。」


「リックとウォードにも必ず手渡します。」


ミランは頷く。


「では僕は先に行きます。」


ゲオルグ達はその言葉に驚いた。


「ミラン様どちらに?」


「友紀様やめぐみ様ならあの橋を利用しろ。とおっしゃりそうではありませんか?ですが色々と考えようとすると頭の中に白い靄みたいなモノに覆われるのです。不思議ですよね。」


「はぁ。私には巫女様たちの崇高なお考えはよくわかりませんが・・・。」


「崇高ですか・・・?確かにそうですね。松明が集まったら火を灯し村の中で待機させなさい。」


ミランはそこまでいうと門から橋の方へ1人歩き出した。

僕の残りの丸薬も1粒、友紀様のポーションが1瓶。なんとかなりますか。

ミランが橋の前に辿り着く。村を見ると壁の上に人影が見える。村の壁から橋まで100m程しかない。村を取り囲まれるとヤバいという認識はある。だけれどそれ以上考えると頭の中に白いモノが現れる。


「僕も友紀様やめぐみ様の元で勉強が必要ですね。」


ミランが橋の前で暗がりの中、両手を天にかざすと小さな風が吹き始めた。

ウォォォォォォ―。橋の向こうで雄たけびが聞こえてきた。気付かれたか。

一斉に魔獣たちが橋に目掛けて走り出す。だがミランの魔法も完成しつつあった。


「間に合うか?」


風は強風となり一気に橋の向こうに収束し始める。ミランは上げた両手を一気に前に出す。


「トルネード。」


中竜巻が橋の向こう、走り出した魔獣たちが直径3mの橋に集合していく正にその地点に天高く巻きあがった。魔獣たちは塔より高く舞い上がり地面に叩き落とされていく。

それだけでは終わらない。またすぐさまミランは上空に向けて手を上げ竜巻の消える間を与えず強い風を起こしだす。


「トルネード。」


更にまた一つ竜巻を発生させ次々に魔獣たちは空を飛び重力で地面に落下し骨が砕け散り潰されていく。村の塀から見ていた民兵や塔の兵士ビビアン達ですら口を開け初めて見るミラン1人の闘いに驚き胸を熱くした。


「僕では2発が限界か・・・。」


ポケットから瓶を取り出し友紀が作った茶色のモノがフヨフヨ浮いた薄茶色の液体を見ずに一気に煽る。瓶を投げ捨てたその時ファングの牙が目の前に迫っていた。

ミランは気付いてましたとファングの顔面を右手で殴りつけた。ドパンと音と共にファングの頭が弾け飛ぶ。

更に次から次へと集まってくるがミランは落ち着いて1匹また1匹と殴りつけ葬りながら後退し対処する。


「スラッシュ。」


「スラッシュ。」


「スラッシュ。」


「スラッシュ。」


ミランは下りながら橋の向こうに更に牽制で魔法を放ち生き残った小鬼やホーンラビットに追い打ちをかけた。

サラン程の大きさはない三日月状のスラッシュだが小鬼やホーンラビットを2匹横に真っ二つに切り裂き3匹目の身体に重症を負わせるくらいには攻撃力がある。


「ミラン様、門の中へ。」


ゲオルグの声がする。とミランの頭上をソニアの炎の魔法が通り過ぎる。

ミランは踵を返し門に向かい走り出した。門に到着し扉を閉める直前に目に見えた1体の大鬼にスラッシュの魔法を飛ばし門を閉めた。


「弓を放て。」


ゲオルグの言葉が壁の上に届く。

だが弓隊は4人だけ。大したダメージを与えられないと思っていたが民兵は麻痺毒を矢に仕込んでいた。

いつも獣を一撃で狩る為少量の麻痺毒を塗るそうだが今回は10倍以上の濃度で塗っているそうだ。

ありがたい誤算である。貫通せずとも傷を付けさえすれば毒は効く。雑魚は1撃で動かなくなっていく。

ミランのお陰で半分ほど削った魔獣達。だが残り半分ほど残った魔獣達が門の前に殺到する。

が、小鬼やウサギではどうすることもできない。だが大鬼が辿り着けば戦況は一変する。

民兵の弓では大鬼達に小傷すら入らないだろう。


「松明隊は壁を登り松明を魔獣に投げ込んで下さい。」


地面にポトリと落ち踏まれて終わると思われた油のたっぷり付いた松明は小鬼や大鬼以外の魔獣をよく燃やしてくれる。


「ギャウギャウ。」とのたうち回る魔獣達。

だが8体の大鬼達も橋を渡り切りゆっくりとこちらに向かってきていたのが見えた。


「大鬼が来たわよー。」









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