閑話 彩葉視点
気が付いたら、私は実の弟を好きになっていた。
そのことに気が付いたのは、私が中学1年で彼が5歳になる前の時だった。
弟に対する気持ちが周囲と多少、異なっていることに気が付いた私はこの気持ちは何だろうと考えた結果、恋心を抱いていることがわかった。
思い返せば、無邪気な笑顔ややさしい声に惹かれていたのかもしれない。
しかし、日本の社会的にそれは許されていないので自分との気持ちと社会的論理の間で、激しい葛藤が巻き起こってしまった。
弟は、恵介君はそんな私の気持ちを知らずに無邪気な笑顔を見せ続けてきた。
そんな彼が、変わり始めたのは小学校に入った時からだ。
理由は、お母さんが初めての男の子である恵介君に対して大はしゃぎをして色んな教育を与えたため、遊ぶ時間が大幅に減らされたからだ。
本来であれば、遊び盛りの彼にとってそれは迷惑な話で良くお母さんに対して反抗していたが、能力をうまく使いこなせない上に八岐大蛇に対する能力を使って、お母さんは恵介君の反抗をものともしなかった。
そしてその内、恵介君は反抗をやめたけど笑うこともめっきり減ってしまい、笑ったとしても死んだ魚の様な目をした笑顔しか返してこなくなった。
お母さんに対して、私や琴音ちゃんからもいろいろと言ったものの彼女は聞く耳を持たず、自分のやり方の固執していった。
その上、中学に入ってからたくさんのことを知っていると言うだけで頼りにされたものの、その在学期間中に何度も性的暴行を受けたため、中学3年生になる頃には笑わなくなっていた。
そして、高校受験はうまくいったけど中学を卒業してからついに事件が起きた。
“恵介君が階段から転落した”
その報告を受けた時、私は自分の縄張において仕事中だったために居ても立ってもいられなかったけど、お母さんから普段通りにしていろと言う指示が出たのでその日は何とかやり過ごした。
その日の夜、今で私や妹達の他にも何人かのメイドさんが心配そうに待っていると、お母さんが帰ってきてこう言ってきた。
「数針、頭を縫ったが1週間程度で帰ってくるそうだ」
その報告と同時に、私達の緊張も解けて深くため息を吐いた。
それからは、家族の間で話し合いを続けていって高校を卒業するまではバックアップをするけど、それからはあまり干渉しない様にしようということになった。
それだけ、お母さんにとって衝撃的な出来事だった上に恵介君を今、失ってしまうと今後20~30年も能力を持った男子がいないことになり、組織的に空中分解する可能性が高まってしまう。
そのため、今後はこう言った出来事を押さえるために過剰とも言える干渉は避けて、彼の好きな様にやらせることになった。
怪我をして1週間後、恵介君が退院して家に帰ってくるということで私達は家の玄関で待っていると、恵介君が乗っている車が庭に入ってきて本人は何事もなかったかの様に降りてきた。
「恵介君、大丈夫!?致命的な怪我をしてない!?」
そんな彼を見て、居ても立ってもいられなかった私は彼に駆け寄ってそう言ったのだけど、彼からは意外な答えが返ってきた。
「恥ずかしながら無事に帰ってきました!」
それを聞いた瞬間、頭が真っ白になったけどすぐに冗談を言っていることに気が付いたので、恵介君に怒りながらツッコミを入れると恵介君は昔の様に無邪気に笑った。
その顔を見ただけで私の心拍数は跳ね上がり、昔の彼が帰ってきたのではないかと考えてしまうぐらいだった。
恵介君が退院してからしばらくは、彼に家の中でのんびりする様に伝えて観察することにしたけど、とある疑問に行き着いた。
それは、恵介君の人格が変わったのではないかということだ。
普段の生活を見ていると、以前なら何に対してもやる気がなさそうに見えたけど事故後は、自分がやりたいことに関して積極的に行動する様になった。
そして、人格が入れ替わったということが明白にわかったのは遊園地での告白だった。
それまでだったら、女性に対しての嫌悪感から観覧車の様な密室に入ることすら毛嫌っていたのにすんなりと入ってくれたし、告白してもすぐに断っていたのに戸惑いながらも受け入れてくれた。
予想ではあるけど、事故の時に何かしらの弾みで変わったのではないかと思う。
その結果、姉弟から恋人になったのだけど特にこれといって劇的に変わるという訳でもなく、普段通りの生活を送っている。
そして今日、ちょっとした事件が起きた。
「きゃー!どうしたの、恵介君!?」
恵介君の顔に、痣ができていて制服も少しやつれて帰ってきたのだ。
そのため、メイドさん達もかなり慌てて救急キットなどを持ってきて対応してくれている間、恵介君から事情を聞くとこうなる。
クレー射撃で取材を受けたけど、その雑誌の発刊日に聖華高校の人気者である高崎誠と、そのツレである不良グループにカツアゲされたらしい。
その時に恵介君が抵抗して、喧嘩になったけどカツアゲをした高崎と言うやつと不良グループを、社会的に再起不能にしたとのこと。
正確に言うと、合計5人の男の象徴である股間の棒と2つの玉の内、両方の玉を潰したらしい。
その上、今までにやって来た悪事を学校側でばらしてくれるとのことだったので、恵介君に罪が被ることはないらしい。
これは、恵介君が独自に彼の伝手を使っての情報をかき集めたものなので、私達の組織と無関係であると言ったものの彼が傷つくのは嬉しいことではない。
そのため、私は恵介君にこう言った。
「次からはちゃんと私達にも言ってね~?すぐに駆けつけるから~」
「おぅ、すまんすまん」
私がそう言うと、恵介君は済まなさそうにそう言ってくれたので今回は、このくらいで我慢しておきましょう。
彼は時折、無茶なことをしちゃうだけだからね。
ニア「レスター!ジェバンニ!今夜中に書き上げる様に八雲を拘束しておいて下さい!」
――「何をするー!やめろー!」
と言うことで何とか、書き上げました。
話数を定期的に書くっているのは結構、大変ですねぇ・・・




