第5話 雑誌の影響力
5月下旬 教室
「大変!大変!」
いつもの様に、ホームルームの時間までの時間で自由にお喋りをしていると、クラスメイトの1人が慌てた表情で教室に入ってきた。
何事かと思い、教室にいたメンバーは入ってきた生徒に視線を投げかけると、息を切らしていた生徒は呼吸を整えてこう言った。
「東京スポーツにうちの学校の生徒が載っているの!」
「「「「「えぇ!?」」」」」
少しの空白の後に教師にいたクラスメイトの内、女子のほとんどが驚きの声を上げて入ってきた生徒が片手に持って良いた雑誌に食いついた。
「表紙やトップページじゃないんだけどね・・・」「クレー射撃ってマイナーよね?」「男性でやっている人、見たことない」「クレー射撃って?」「飛んでる的を撃つ競技だよ」「それで誰が載ってたの?」「黒澤恵介君なんだよ!」「えええええええ」
集まった女子達が一通り、騒ぐと俺に目線が集中してすぐに質問攻めに遭った。
「恵介君って射撃部に入ってたの!?」
「そうだぜ」
「てっきり、無線部に入っているのかと思ってた」
「掛け持ちしているからな」
「クレー射撃って結構、大変?」
「撃つだけだったら、慣れちまえば難しくはないぞ?管理は大変だけど」
「射撃部に入れますか?」
「入部期間は終わっちまったから来年になっちゃうけどそれでもよければ」
「銃ってやっぱり、危険なもの?」
「危険なことこの上ないねぇ、特にやり始めてから数週間ぐらいしてからが1番怖い期間だな」
「銃を撃つのに免許って必要ですか?」
「撃つだけだったら免許はいらないな、所持するには必要だけど」
とまぁ、こんな感じでホームルームが始まるまで質問攻めが続いたが、昼になるとさらに騒ぎが大きくなった。
~~~~~~
昼休み 中庭
「東京スポーツってかなりの人が読んでいたんだねぇ・・・」
「そりゃ、当然よ。男が少ないんだから」
入学してから2ヶ月近くが経ち、話をするメンバーが固定する時期なのだが東京スポーツの一件で再び、他の生徒達の注目を集めることになった。
その上、今回の件ですぐにファンクラブができたというのだから驚きだ。
と言っても、一過性のものだと思うのであまり気にしない方が良いだろう。
変に気にして余計な注目度を上げる必要はないし、上げてしまって実家のことがバレてしまっては元も子もない。
今の俺が1番、恐れているのは裏稼業に従事していることがクラスメイトにバレて友達が1人もいなくなることだ。
折角、2度目の人生を歩んでいるんだから高校生活ぐらいは充実させたいのが今の俺の願望だし、そうするように努力しているつもりだ。
少なくとも今後、2年ぐらいは平和に行きたい。
そう思いつつ、珠緒やなのはやまどかの他に新たに参加する4人のメンバーと一緒に昼食を取っているのだがその反面、他の男子生徒から来る嫉妬の目線がひどいことになっている。
男子生徒といっても、聖華高校全体で15人しかいない上に多数の女子生徒からの視線もあるので、特にこれといって大きな問題は起こらないだろう。
起こるとするならば、学校一の人気者から妨害工作に合うぐらいだろう。
そのため、それを逆手にとって彼の人気を一気に落とそうといろいろと準備を始めたところだ。
来なければそれはそれで良し、と考えているので気楽にやっていくつもりだ。
東京スポーツの件から数日後、俺の予想通りにそいつは俺をボコボコにしようとして体育館裏に呼び出して来た。
~~~~~~
数日後 体育館裏
「黒澤よぉ、最近調子に乗ってねーか?」
「逆にどこが調子に乗っているのか、聞きたいぐらいですね」
(まさか、ここまで早く手を出してくるとはね。準備万全だけど)
俺の背には体育館の壁があり、そんな俺を囲む様に学校一の人気者とそいつが連れ込んだであろう不良が数人来ていた。
恐らく、クラスのほとんどの生徒が俺の話題をしているのに対して気にくわなかったのだろうが、だからと言って不良生徒を呼び込んで叩き潰そうというのはリスキーなことだ。
喧嘩で返り討ちに遭えば、不良を呼び込んだという噂が学校全体に流れてある程度の評価を落とすことになるし、場合によっては学校からの罰則も適用される可能性がある。
無論、俺がボコボコにするだけでも問題が発覚するため、恐らくはカツアゲを目的とした示威行為なのだろう。
大抵の男子生徒は、今回の様な不良相手に萎縮してしまうからな。
作戦自体は、うまくできているが生憎、俺はその最上位互換とも言えるヤクザもんだ。
裏稼業を営んでいると、この程度のカツアゲだったら見慣れた風景だし、運動がてらにやっている近接格闘術だってそこら辺にいる素人相手には簡単に勝てる自信もある。
そのため、俺は物怖じせずに受け答えを続けていく。
「そんなことはどうだって良いんだ。取りあえず、金出せや」
「どうしてです?」
「良いから出せよ」
「理由を聞かないと話になりませんねぇ」
カツアゲに全く動じない俺を見て、そいつは苛立ちを隠しきれなくなってきた。
「良いから出せって言ってるダルルォ!?」
「だから理由を聞かねぇと出せねぇってば!」
そんなやり取りが数分に渡って続いた後、そいつはついに行動に出た。
「野郎ぉ、張り倒してやら―!」
「「「「おぅ!」」」」
そんな訳で、喧嘩が始まった訳だが彼らはカツアゲをしたことを後悔することとなった。
~~~~~~
同日 校長室
「早速、やらかしてくれたな」
「すみません、取材を受けてしまったために」
俺が人気者のそいつと喧嘩をして、決着がついた直後に校長に呼ばれたので行ってみると、校長先生と教頭先生が部屋にいた。
そして散々、嫌みを言われたので俺は停学や退学処分でももらうのかなと思っていると、教頭先生から意外な発言が出た。
「こう言っていた反面、君がボコボコにしてくれて感謝しているのだよ」
「は、はぁ…」
その発言に、俺が戸惑っていると校長先生は真面目な顔でこう言ってきた。
「実は君が喧嘩をした相手―――高崎誠は常日頃からバックにヤクザがいるぞとか、イケない奴らとつるんでいるとかで女子学生からお金を巻き上げているらしい。この事について、黒澤君は何か知っているかね?」
「…」
(なるほど、本題はこっちか)
聖華高校は都内の私立高校でも有数の難関校なのだが、そこに裏稼業でも名が知られている黒澤家の子供が入学するのに対して、学校側から難色を示された。
そのため、俺の母親が自ら学校に出向いて直接交渉をした結果、高校受験においてトップ5に入るぐらいの成績を収めない限りは入学させることはできないと言われたらしい。
と言っても、中学生の間に高校の授業内容を教え込まれた俺にとっては難なく、トップ5に入ることができた。
その時の書類は表向きの社名などを使っているため、俺や珠緒がヤクザの子供だと知っているのは校長先生や教頭先生ぐらいだ。
そのことから、俺は現在までに知り得た情報を彼女らに伝えた。
「―――なるほど。つまりは彼自身の嘘だった、と」
「はい。こちら側で把握している限りでは彼や彼の家族のバックにヤクザはいませんし、いたとするならばある程度の追跡は可能です」
「となれば、高崎君には黒澤君への暴行でそれ相応の処罰を与えるべきだと思います」
俺がそう言うと、教頭先生が校長先生にそうアドバイスをしたため、俺に対しての尋問はそこで終了した。
学校生活とヤクザでの生活を両立させるのって意外と大変ですねぇ
いずれはヤクザ生活がメインになりますので、その下準備と言うことでオナシャス




