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第三十五話 過保護なのは国民性

 


 さて、この『カナタ』という人物はここから遠く離れた東の国で様々な調味料を開発し味噌と塩麹、みりん、す、日本酒などを作り上げ一般人も使えるようにと奮闘し、そのいくつかは今でも細々とその国の一部の地域では作り続けられているらしい。

 これは推測……といっても確信に近いのだが『ショーガヤキー』は生姜焼き、『ミソスープ』は言わずもがな味噌汁のことだろう。『ニギイメシ』は握り飯またはおにぎり、『チーハン』は炒飯を意味するのだろう。つまりこの料理はラフィーネに米が存在している証明なのだ。お米バンザイ。お米ってスバラシイ。はやく食べたいですお米様!! 東の国にいるんですねわかりました。私は大きくなったらまず東の国に向かおう。お米様と調味料を探すのだ。その他にも調味料がかなりありそうなのだ。今から楽しみである。特に味噌と醤油だ。

 なぜなら味噌汁のレシピが残っているらしいからだ。レシピがあるんなら当然材料もある筈である。つまりまだ味噌が生産されている可能性が高い。そして醤油も味噌の進化系なので期待できる。

 つまり私がそれらをもとめても何ら不自然ではないしうまくいけば城に仕入れて貰えるかもしれない。このあたりは外交を担う黄部隊にでも要相談だ。なんでも彼らは城の備品や消耗品の類の仕入れも一手に担う部隊らしいのだ。食料庫の食べ物ももちろん彼らが仕入れている。彼らの仕入れ先に東の国があるといいのだけれど。

 

 因みにこれらは全てカミルさん情報である。さすがカミルさん。打てば響くような神対応ありがとうございます。私がなにを聞いても必ずなにかしら意見や情報を答えてくれた。知らない、分からないなんて一言も言わなかったしそんな素振りも全く見せなかった。すごい知識量だ。

 カミルさんは私がスコーンを食べる合間に挟む会話としてそれらの情報を落とすのでどうしても話に夢中になってしまう。そして話に夢中になっているとどうしても思考が疎かになってカミルさんがあーんと言うと反射的に口を開けてしまうのだ。何だろうこれすごい無限ループするんだけど。

 食べている間は口を閉じているし話の途中は口を挟めないしスプーンを差し出されるとどうしても口が空いてしまうし。もしかして私ってば餌付けされてる? どうやら私には目の前に差し出された食べ物に食いつく習性があるらしい。何とかせねば。

 


 「はい。フィー、あーん」


 「あー」


 「もういいですよカミル。……彼のものを癒せ、治癒(ヒール)


 「もう終わったんですね」


 「んあっ?」


 

 もういいですよ、とロンドさんに声をかけられたカミルさんが、咄嗟に私の前からスコーンをもつ手を引いた。食べる気満々だった私の口はうっかり空振りして何も無いところでパクリと口を閉じるはめになった。どうして急に手を引くんですかカミルさん……。


 

 「うぅ……」


 「あ、ごめんよフィー。はい、あーん」


 「あー」


 

 今度こそカミルさんの差し出したスコーンにしっかりと食いつくと2人が微笑ましそうに私を見ていた。えぇい、見るな! 私は動物園のパンダじゃないんだぞ。食べにくいったらありゃしない。

 


 「おあったって、にゃにが?」


 

 まだ戸籍も作っていないしギルドについてもそうだし、むしろまだ何も始まってすらいないと思うのに一体何が終わったというのだろうか。

 コテンと首をかしげつつロンドさんを見れば彼の手に握られているのは血液の入った注射器。終わったって、もしかしてあの血は私の!? い、いつの間に……。

 

 自分の鈍さに驚いて目をぱちくりさせているとロンドさんがクスリと笑って説明してくれた。

 


 「採血ですよ。戸籍を登録するには血液を媒介して情報を開示する必要があるのでどうしても必要なのです。もしかしたらフィーは注射は平気でしたか?」


 「あい、へーきでしゅ」

 


 前世では大して病気もしなかったので病院にはめったに行かなかったが、受験の時には流石にインフルエンザにいったしハガキが届いたので子宮頸がんやらの注射はちゃんとした。大して痛くも無かったはずだしそこまで痛みに弱い訳では無いので大丈夫だ。バッチリ大丈夫です。こちらの注射針も前世──地球のことだけど面倒臭いので前世でいいか。私は1度死んでいるはずだしね。うん、前世であってるだろう──とたいして変わらない太さに見える。

 


 「フィーは偉いですね。70歳になるまでの子供は注射(コレ)を嫌がる子供が多くて……。そのせいで国では70歳未満の子供に注射をする場合は何らかの方法で子供の気を逸らすことを義務付けているんですよ。暴れられて体内で注射針が折れても困りますしね」


 「へぇ~」


 「結婚ややむを得ない事情で戸籍に変更がある場合、本人が亡くなった場合は本人の身体の一部……髪や爪等を遺族などの縁者が国へ届け出ます。結婚の場合は夫婦となる2人が届け出て再度採血して変更します」


 

 なんていうか、管理が大変そうだ。魔術が発達しているこの国だからできることなのだそうだ。なるほど、国民性というか種族特性があるこそ可能なのか。

 

 

次回、説明回……にしたいなぁ。

二つに分けるとなんか凄く収まりが悪かったので三つに分割。そしてさらに追加で追々投稿します。この章がおわったら真面目に章のサブタイトルを考えてちゃんと章を分けよう……。サブタイトルってネーミングセンスがいりますね……(げっそり)

あちこちに細かく設定を盛り込んでそれが細かく作用して……ってお話を書く人を尊敬する。無駄に描写が多くて長文製造機(話を書くのが早いとは言っていない)の私にもいつかそんな才能がアップデートされないかな……。

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