第三十話 フレンチトーストと蜂蜜とお兄さん
食事の描写に凝ってみました。
時間的に飯テロかも知れませんが。
……上手くかけてますかね?
「ふんふーん、ふふんふーん♪」
鼻歌を歌いながら、朝食にフレンチトースト、レーシャとトートのサラダ、ミルクティーを用意して、一昨日に食料庫の警備のお兄さんに貰った、お土産の蜂蜜をだして、フレンチトーストにとろーりとかける。
とろん、と艶のある黄金色が、いい感じに焼けて薄らこげ目がついているフレンチトーストにかかって甘い香りが食欲をそそる。
いれたばかりのミルクティーがゆるりと湯気をたててこれまたいい香りをたてるものだから、昨日の夕食を食べた限りのお腹が私を急かすようにぐぅ、と音をたてた。
「いっただきまーすっ!」
フレンチトーストをナイフで一口サイズに切って、フォークでさして口に運ぶ。
口に入れるとふわっとバニーニという地球でいうバニラにあたる木の実の香りがふわりと香る。
昨日から染み込ませた甘い卵液のおかげでパンは舌で押せば崩れるほどに柔らかく、蜂蜜と良くあっていて自分で作っておいて言うのは何だが、かなりおいしかった。
「んー、ぜいたくー……」
こくん、とフレンチトーストを飲み込むと次はレーシャとトートのサラダに手を伸ばす。
この城の専属のバイヤーさんが、農家から直接買い付けてきたという今朝摘んだばかりのレーシャとトートは瑞々しくシャキシャキとしていて、甘くなった口をサッパリとさせてくれた。
「んん、これもおいしぃ……」
ミルクティーとフレンチトーストの組み合わせに舌鼓を打ちつつ、時々サラダを口に運んでは野菜の食感を楽しみつつ……、と朝食を満喫しているとトントンとノックの音がした。
んん? 誰だろう?
「はぁーい、どちらしゃまで……んん?」
ガチャリ、とドアを開けると目の前には、人の脚。
……ん?
「……? ………えれんしゃん??」
数歩後に下がって見上げてみると、どうもテオ兄様とフェリ兄様付きの白部隊隊員である(らしい)エレンさんと目が合った。
「おはようございます、フィオーネ様。本日、テオドール殿下とフェリドール殿下がこちらでフィオーネ様の作られる昼食をとった後に遊びたいとのことなのでご連絡に参りました。大丈夫でしょうか?」
エレンさんって、仕事中は凄いかしこまって敬語使うんだよなぁ。
テオ兄様とフェリ兄様の反応みてるとこの性格が素では無さそうだし、時々うっかり取れてるし。
私みたいな子供になんて敬語使わなくてもいいのになぁ。
別に偉い人の子供ー、とかでもないしね。
「あい、だいじょーぶでしゅ」
「それでは、お願い致します。それから、これからはテオドール殿下とフェリドール殿下が食事に参られる時は食料庫の警備をしている隊員から連絡が参ります。午前10時までにそちらに来られないとその日は予定があるとみなしてその日は参りません」
「あい、わかりまちた」
「それと、材料がこれ以降は増えると思いますがお気になさらないでください、との事です」
「……わかり、まちた」
ん、んんん??
なんかお友達ができたーって思ってただけだったんだけど、存外大事になってないか?
なんか私の中の常識が音を立てて崩れていってる気がするんだけど。あるぇー??
「あ、えれんしゃん、わたちにまで、けーごをちゅかわなくちぇも、いいでしゅ。さすがにたくしゃんのひちょのめがあるところでは、だめでしゅけど」
「……あぁ、助かるよ、フィオーネ」
うん、やっぱりこの方がいいね。
年上に敬語を使われるのは慣れないから助かった。
「あい。えれんしゃんたちのごはんも、どくみがてらちゅくっておきましゅね。ごえいは、きょうもふたりでしゅか?」
「いいのか?」
「さんにんも、ごにんも、てまはかわりゃにゃいでしゅ」
「……じゃあ、頼む。相方にも伝えておく。楽しみしておくな」
「あい!」
返事をすると、わしゃわしゃと頭をなでられる。
そのまま身を任せていると、不意にエレンさんの視線がが私の頬で止まった。
「あぁ、悪い。食事中だったのか」
「え?」
「頬にシロップ……蜂蜜か? ……が付いてるぞ」
「えっ」
おぅふ。
やらかした。
高校生になってまで―――身体は3歳児だけど―――顔に食べ物つけて食べるとか。
あまつさえそれを付けたまま来客に応えるとか、何やってんだろう私。
身体は3歳児でも精神年齢は高校生でしょう恥ずかしすぎる。
「フィオーネ、ほら、とってやるからこっち向け」
「……あい」
少し目元が下がってわずかに呆れたような笑みを見せると、エレンさんがポケットからハンカチを取り出す。
「動くなよ?」
「ふぁい〜」
さすさすと頬を布がなでるような感覚がして、しばらくすると、ハンカチが顔を離れる。
「……よし、とれたぞ」
「あいあとうごじゃいましゅ」
「別に、これくらいどうってことないさ。俺にも弟がいたが、あいつはもっと酷かったしな」
「おとうちょがいるんでしゅか?」
子供の扱い手馴れてるなぁと思ったら、本当に弟さんがいたらしい。
「いるぞ。ちょうど100才下にひとり弟がいる。俺が今250才だから、弟は150才だな」
「……ひゃくさい…………。おにいちゃん、でしゅ」
もっと年下……私と同い年くらいかと勝手に思ってたら、全然年上だった。
「そうだな、フィオーネにとったらそうかもしれないな。まぁ、そういう訳で年下の子供の世話には慣れてるんだ。フィオーネも困ったら何か言えよ。力になってやる」
「っ、あいあとでしゅ!」
そういえば食事中だったな、それじゃあまた後でな、と私に声を掛けてからエレンさんは戻って行った。
何あれ男前。
エレンさん、さらっとイケメン発言して帰ったんですけど。
……さてと、腕によりをかけて作ろうかな!
結論︰兄貴なエレン男前。
今回の描写がフレンチトーストだったのはこの前パン屋さんで買ったフレンチトーストが美味しかったからです。
メイプルシロップがなかったから蜂蜜をかけたら凄く美味しかったです、まる。
完全に作者の好みです悪しからず。
最近はスープを作ることにはまっています。
そろそろ自分でコンソメ作りたい。
大きな鍋が欲しい今日のこの頃。




