第二十四話 国宝ができました(白目)
久しぶりの更新。
お待たせいたしました。
部屋の中で腕を組んで胡座かいて地べたに座り込んでうんうんと唸りながら大粒のキラキラと光る宝石を見つめる幼女がひとり。
……つまり私だ。
あれから、実は三日もたち、当然のことながら魔石のことを図書館でいろいろと調べてみた。
曰く、魔石は一般的に魔力総量が五百あればいい方で、三千もあれば上級貴族が住むような家がひとつが買えるぐらい。
五千あれば国宝級。七千で大国の国家予算に匹敵する。
ちなみに私のつくった魔石は鑑定してみると魔力総量1万あった。
ぶっこんだ魔力=魔石の魔力総量っぽい。
……つまりですね、大国の国家予算を軽く凌ぐレベルの魔石をつくっちゃったっぽいです。
あれだ、取り敢えず攻撃できないように治癒系特化の魔石にできないか試してみよう。
ギュッと魔石を握りしめて治癒特化になれー治癒特化になれーと念を送ってみる。
しばらくして手をパッと手を開いてみるとそこにはほんのりと白く光る魔石が。
鑑定してみると、とんでもないことになっていた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
魔宝石《光・治癒》 魔力総量︰12,000
光属性の治癒魔法に特化した魔石。
攻撃魔法を付属することには適さない。
製作者の願いをうけ使用後は消えずに宝石となる。
製作者︰フィオーネ・レンジア
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
注目すべきは魔力総量。
12,000ですよ12,000。
……増えてるよ!?
どうしてこうなった!?
取り敢えず、何かもう色々と手に負えないのでカミルさんのところに行こうと思います。
……面倒くさくなったから押し付けるわけじゃないからね?
ほんとのほんとだからね?
✳✳✳✳
《カミルside》
「……はぁ、戻りたくない」
あんな変人ばかりの仕事場になぞ、誰が好き好んで行くものか。
それでも行かなければいけないものだと割り切って、急ぎの書類を提出して仕事場に戻る。
仕事場は黒部隊と青部隊――通称魔術班と呼ばれる部隊であり、変変人の巣窟である――の共用の研究室であり、いるだけで常識人は『スルースキル』という滅多にないユニークスキルをお手軽に習得できる阿呆臭い……ごほん、面白い場所である。
そんな仕事場に戻る道すがら、めったに見ない顔を見つけた。
その子は、最近ジェイドさんに拾われた幼子で、まだ30歳になるかならないか、というような歳で魔の森に捨てられていたらしい。
魔の森には、C級の魔物――1匹いるだけで小さな村なら1つ壊滅させられる程の力を持つといえばどれほど恐ろしいものか理解していただけるだろうか――がうじゃうじゃいる。
そんな場所にまだ30歳になるかならないかというような幼子をひとりでほっぽり出すなどまかり間違っても人間のする事じゃないし、もし意図してやったのならそれは正気の沙汰じゃない。
そんな場所に捨てられたせいか、彼女にはそこに捨てられる以前の記憶が全くといっていいほどない。
物の名前などを知らないことや常識もないことからみても、あってもどうせろくなものが無いだろう。
ただ、全く私たちの知らない魔術や魔法、高度な技術を必要とする魔法を、いとも簡単に無詠唱で行使してしまう規格外でもある。
また、魔力量も多く、おそらく天才と呼ばれるカテゴリーに属する人であり、将来が魔術班の隊員のようにならないかと、とても心配している。
お願いだから、今の純粋無垢な性格のまますくすくと育って欲しい。
間違っても魔術班の隊員の様になってくれるな。
そんな彼女が魔術班の研究室の扉の前でなぜかうろうろとしている。
一体こんな場所に何の用があるのだろうか。
「フィオーネちゃん……? こんなところでどうしたの?」
バッと振り返った彼女は何故か物凄く不安そうな顔をしていた。
…といっても余り表情が表に出る子では無いので、ほんの少しの変化でしかないのだが。
そんな彼女がそれ程までに不安そうにするなど一体どうしたというのだろうか。
まさか、隊員どもが何か変な事をしたのではあるまいか。
「フィオーネちゃん? 大丈夫?」
僕をみて、ボロボロと涙を零しはじめる彼女にますます不安が募った。
✳✳✳✳
いやぁ、子供の身体は感情の制御が難しくて困るね。
いざとなって、こんな事言って大丈夫か、とか、これが悪用されたらどうしよう、とか考えちゃって、怖気づいてドアの前でうろうろソワソワしてたら後ろからカミルさんに声をかけられた。
見知った顔を見つけて安心しただけなんだけど、何故か号泣してしまった。
くそう、あれもこれもカミルさんの神対応のせいだ……!!
いや、自業自得なんだけどさ。
わかってます。完璧に八つ当たりですすいません。
そんでもって、カミルさんは狼狽えることなく、泣き出した私を抱き上げると、よしよししてくれながら部屋の中に入って、さらにその部屋の中にあったなんか書斎っぽい部屋へ連れてきてくれた。
部屋に備え付けられていたソファに降ろされると隣にカミルさんが座って背中を一定のリズムでトントンして宥めてくれる。
まさに、神対応。
暫くしてなんとか泣き止むことに成功したが、泣きつかれたからか、襲ってきた急激な眠気に敗北した私はその部屋のソファで眠ってしまった。
……最後に物凄ぉく暖かい目でカミルさんにみられていた気がするが、夢だ……と思いたい。




