第十七話 正反対な双子
あれから、お昼寝して現在午後2時前
これからおやつを作ろうと思います。
作り方は簡単。
アプルとベリゴをそれぞれお砂糖を入れてじっくり火にかけてコンフィチュールにする。
……因みにコンフィチュールとジャムってものは同じらしいですよ。コンフィチュールがフランス語でジャムが英語なんだそうです。ジャムっていうよりコンフィチュールっていった方がオシャレに聞こえるのはなんででしょうね?
お昼にお砂糖を入れて冷やしておいたクレープ生地を取り出してお昼ご飯の時と同じ手順で焼いていく。
焼けたら牛乳と生クリームをボウルに入れて泡立てて完成。
名前をつけるなら『林檎と苺のクレープ~生クリームを添えて~』ってかんじかな。
お皿に盛り付けてさぁ、いただきますっ……!!
……というところでトントンッと無情に響くドアのノックの音。
誰だ!? 私の至福の時間を邪魔するのは!?
「はぁーい」
半ばやけくそにバンっとドアを開けると、そこにいたのは………………。
この国の王子様のテオドール様じゃナイデスカヤダー。
……。
…………。
……………………。
……あああああ、あぶねぇーっ!!
私この国の王子様に帰れって、この野郎って言おうとしてた!
危うく死亡フラグがたつところだったよ!
ドアを開けてピシッと音がするくらい急停止した私偉い!!
よし、ここはにっこり笑顔で流しましょう……って私笑えないんだった。
がっくり膝から崩れ落ちて四つん這いのあの格好になりたい衝動を抑えながら、テオ兄様に向けて、こてんっと首を傾げてみる。
笑えなくたって三歳前後の子供がするのだ。
武士の情で見逃してもらえないかな。
「ておにーしゃま?」
どうしてここにいるのですか?と暗に匂わせながら名前を呼んでみる。
ほんとに、どうしてこんなところにいるんだ。
君、一国の王子様だろう。
そして、今気づいたのですが、テオ兄様の後ろにひっつく…というか隠れるようにテオ兄様と同い年くらいの同じ背丈、同じ髪型、色違いの同じ服、同じ顔立ちの、色彩を除けばよく似ている少年がいた。
ただし、真正面にたっている私からみて左眼を長い前髪で隠しているのですがね。
テオ兄様が金髪碧眼だが、その少年は銀髪に金色の瞳と対照的な色彩をしている。
……これはアレですか?
このふたりは実は双子設定なのですか?
もしかして、性格も正反対で月と太陽的な二つ名がついちゃったりしませんか?
……しませんよね、乙女ゲームじゃあるまいし……。
「昨日言った通り遊びに来たぞフィー!」
「あい!」
とりあえず、私の数少ないお友達候補な訳ですし、歓迎して迎え入れよう。
私のおやつも甘んじて分けよう。
照れてるんじゃないですよ?
前世、今世含めて初めてのお友達(候補)だから浮かれてる訳じゃないんですからね?
……ホントですよ?
「ちょころで、ておにぃしゃまのうしろにいるおにぃしゃまはだれでしゅか?」
「うん? あぁ、オレの双子の兄だ。来たいって言ったのフェリなんだから、自分で自己紹介くらいしろよ?」
「うぇぇっ!?」
かなりキョドってるが相当引っ込み思案なのか、大人しいのか、人見知りが激しいのか。とりあえずフェリ君(仮定)はあまり人と話すのは得意じゃないのだろう。
テオ兄様はあまり物怖じしないみたいだからやっぱり真逆だ。
取り敢えず、このタイプの子は話の主導権を誰かに握ってもらう方が話しやすい。テオ兄様が話の主導権を手放した今、私の方が先に自己紹介した方がいいだろう。
「はじめまして、ふぃおーね・れんじあでしゅ。ておにぃしゃまもよんでいるのでふぃーってよんでくれてかまいましぇん」
「うぇっ……、はじめ……まして。……えっと、……フェリドール、っていいます…………。フィー、って呼ぶから、フェリで、かまわないよ……?」
なんか行間が多い方で……げふん。失礼しました。失言でした。
「ふぇりにぃしゃまでしゅね!」
「……うん……」
「それじゃあ、ておにいしゃま、ふぇりにいしゃま、おへやにあがってくだしゃい! ちょうど、くれーぷっていうおかしをつくったところだったんでしゅ。いっちょにたべまちょお!」
「……エレン、食べてもいい……?」
「あ、あぁ。いいか、エレン?」
テオ兄様とフェリ兄様は少し残念そうにエレンという名前らしい護衛の人をみる。様子からしてダメだと言われることが大半のようだ。まぁ、王子様だし、普通ダメだわな。
毒見をするなんて私はあなたを信用してませんって言うようなものだから気軽に言えないし。
つまり、ここは私がそれを申し出るべきところだ。
「残念ですが殿下……」
「それじゃあ、どくみがてらごえいしゃんにもくれーぷをおだししましゅ。どくがないことがわかりゅし、それならしょくむいはんにもなりゃないのではないでしゅか?」
「でも」
「なんならおさらのなかから、すきにきじをえらんでたべてくださってもけっこうでしゅよ。もともとおさらからじぶんのぶんをとってたべるので。なんならわたしもどくみしましゅよ。あぁ、あとげどくまほうもかけまちょうか」
私が援護射撃でそう言うとしばし考えたあとがっくり肩を落として、はぁ、とため息をついた。
どうやら否定する理由が見つからなかったらしい。
まぁ、3歳の子供に気を使われて、私を信用しなくてもいいですよ、とまで言わせたんだし。
すいません、内心複雑でしょうね。心中お察しします。
元凶の私が何言ってんだと思うけど。
「……エレン、だめか?」
「……しょうがないですね」
「……本当?」
「本当かエレン!!」
「えぇ。ただしちゃんと私達が毒見をし終えるまでちゃんと待ってくださいよ。それが守れないなら食べてはいけません。いいですか?」
「わかった! 絶対守る!!」
「……わかった、守る!」
グッとサムズアップして約束しているふたりを見て、あ、なんか行動が似てるわ、と気づいた。
やっぱり二卵性双生児でも、行動は似るもんなんだなー。
……食べ物で簡単に釣れたけど、本当にそれでいいのか王子様方、護衛の皆様方。本人がいうのもアレだけど、3歳児の料理だよ?
フィオーネは食いしん坊で食べ物に目がない子です。
でもそれ以上に友達が欲しい子です。
食いしん坊で食べ物に目がない子なのは、私自身食べることが大好きだったりするからです。
美味しいものは正義だと思うのですよ。
……私だけですかね?




