7話
入れなかった…。でも次で入れる。訓練描写いらなかったかな?
秋人が入団してから一ヶ月経ったその朝食時、団長キジンから予定が発表された。
「今日は月一の集団訓練とする。6人1組で集団戦だ。コンビネーション等は各自で決めろ。あー、俺とエルとエスタは3人で組む。坊主はそこらで小便でもしてろ。」
「するか!ってか、おっさん動けたのか…」
「あん?動けなきゃ団長出来ねえだろうが。馬鹿だねえ。あとおっさん言うな。団長だ。」
「いやいや。いつも仕事しねえでボーの様子見たり、そこらうろついてるだけじゃねえか。」
「情報収集だよ。収集。ボーの調子見るのだって仕事だ。事務作業だってあるんだよ。どこぞの坊主と違って、やることが違ぇんだよ。」
にやにやしながら答えるキジン。大人げない団長である。だが、秋人は反撃の札を持っていた。
「事務ねえ。それ全部エル姉がやってんじゃねえか。情報をまとめてるのもエル姉だし。おっさんは他の女性とこにセクハラしに行ってだけじゃねえか。どこぞの雑用とは違うねえ。貢献度が特にさ。なあ?団長・さ・ま」
「な!セクハラじゃねえよ。あれはコミュニケーションじゃねえか。そのついでに情報も集めてらあ!」
「ふーん。どうせ集められるのは女性の3サイズぐらいだろ。あと苦情がチルデルにちゃんと伝わってるから。そろそろ、だな」
「え?ええ!」
<ちゃんと>の部分を強調して言う秋人。焦るキジン。まだ傭兵団の男全員が鮮明にバレットの結末を覚えていた。そこに丁度通りかかるチルデル。
「お、お、おめえらよぉ。あ、あれは情報収集であってだな…。けっしてやましい気持ちはないからな。な。」
どもりながらも説明をするキジン。だがチルデルは白い目を向けるだけ。チップルの一匹は目を合わせようともしない。
「おいおい…。一緒に坊主を起こす仲じゃないか。な?な?」
小動物を拝む大柄の団長。シュールであり、みじめ。そしておもむろにデップル(♀)が一つのビンを取り出した。中には土が見えるが、時折動いている。中に何かいるようだ。少しだけ見えたのはミミズのような生物。
「お、おめえら?な、な、なにを…」
一匹が仰向きになるとビンを持ってる奴がバケツの水をぶちまけるような動作をする。どうやら布団にぶちまける予定のようだ。そしてまだまだ出てくるビン。どれもビンいっぱいに敷き詰められており、やはり動く。そしてチルデル達は拳を首元に持ってくると横一線。死刑宣告、いや忠告である。次やったらやるぞ!…と。キジンは顔を青ざめながら、ゴクリと唾を飲みうなずく。秋人は爆竹よりどっちがマシかと考えていたが、ふとあることを思い出す。
「訓練があるのは解ったけどさ、3人って不利すぎね?大丈夫なの?」
「はっはっは。こいつらに負けるような団長と福団じゃねえよ。」
「本当はここにバレットも入れて、連携の手ごわさ、重要さ、やり方を身を持って習うんだけどね…」
キジンが笑い飛ばし、エルが苦笑気味に答える。一週間では、治らなかったのだ。恐るべしチルデルの男性蔑視。
「へえ。俺は見学?自由行動?」
「どっちでもいいわよ。見るときは結構離れて見てもらうけど…。でも夕方までやるから、もしかしたら暇になるかもね。」
「んー、じゃあ見てて暇になったらこの町を散策するよ。」
キジンが大剣を横に一閃する。それ見て3人が飛び跳ねて避けるが剣から雷光が三又に飛び出し一人にあたる。
「がああああ!」
感電し、倒れる団員。意識はあるものの、体がしびれて動けない。
「おいおいおいおい!手札知ってて避けれねえのか!あ!」
体に電気を帯びながら凄むキジン。紫電が迸った瞬間、今度は一人の真後ろに現れ頭を一掴み。体中に電流がはしる。その間に一人が魔法で拳大の火の玉を5つ放つ。が、またも紫電が見えたその時。目の前にはいかついオッサンの姿が。二ィと笑い一言。
「まあ、この速度についてこれたらすげえな。囮の考えはいいが、時間稼ぎが出来てないから意味なかったな。」
「降参です~」
力が抜け、地面にへたり込む最後の一人。
「さて、残りはどうなってるかなっと…」
エルがを棍棒で、ティエスタが大剣で2対3の状況で相手している。ロングソードによる攻撃をティエスタが大剣で受け、すぐにはじき返す。体制が崩れた所にエルが飛び込み一突き。突き飛ばした結果を見ずに、棍棒を頭上に水平に構えた途端に剣が来る。予期していたため、あっさりガードするとエルは二ヤリと笑うと蹴りを放つ。ガードされた場合を想定していたのだろう。相手はすぐさま後ろに下がり蹴りを避けた。
「チッ。」
「いやいや、舌うちとかやめてくださいよ。金的とか死活問題になりかねませんから!」
「入団当初は面白いくらいに入ったのにねえ。さすがに覚えるか。」
「そりゃあもう!あんなの簡便です!」
軽く会話している間にも戦闘は続く。剣士の体が淡く光るとスピードを上げてエルに襲いかかる。
「身体強化ね。相変わらず面倒だわ~」
「どうせ、なら、鞭使っていいんですよ、っと」
「いやいや~、Mっけがあるとは知らなかった。キモいから使わないよ」
「違います!んな趣味ありません!」
まだまだ二人とも余裕そうだ。最初の一人も立ち上がり参戦してきた。その頃ティエスタは女団員と戦っていた。相手はダガーで牽制、シミターで近距離でティエスタを抑える。
「ん、面倒」
「はははw。まだまだエスタにはやられないさ~」
投げられるダガーを避けながら接近を試みるもすぐさま距離をとられる。大剣で防ごうにも視界が狭まり攻撃を食らい、大剣で薙ぎ払えばその隙に接近されシミタ―で切られる。防戦一方になってしまう。時折投げられたダガーを掴み、投げ返すも…
「ん…お返し」
「あたらないよ。そんなんじゃ」
簡単に避けられ、さらに投げ返されるおまけ付き。じれったくなりティエスタは勝負に出る。半身になり、大剣はほぼ上段の構え。そしてダッシュで近付く。当然ダガーのお迎えが来るが籠手で弾いていく。リーチに届くと縦にたたき切ろうとするが横移動で避けられる。
「ん。想定済み」
「え?ちょ!」
大剣が途中で軌道が変わり、横ぶりに。大剣の腹で吹き飛ばされる。だが、上手く衝撃を逃したのだろう。すぐさま立ち上がる。
「あっぶね。今場合によっては真っ二つじゃん!」
「…手首返す間に避けてた。」
「いやー、それは過大評価かな。スキル<剛力>は、伊達じゃないからね。」
「力より……手首の硬さの問題」
「軌道が変わるだけでも脅威何だがね。しゃあないこっちもスキル使いますか」
「ん。ばっちこい」
「自信あり…か。ちょっちむかついたよー。本気出しますか!」
「エリ。…大人げない」
「訓練さ!。年齢関係ない!」
ダガー投げられるが、空中で止まる。浮いたままで落ちない、動かない。だが、エリと呼ばれる団員はどんどん投げ、空中にとどめる。ティエスタもただ見ているだけじゃない。接近し攻撃をしかけるが、大剣にエルの手が触れた途端。動かせなくなる。急ブレーキがかかるように止まる大剣。持っている身としては手首を痛めかねない。すぐさま手を離すも、エルが攻撃を仕掛けてくる。
「ん。ずるい」
「はっはー。大剣に手を当てる事にリスクがある事。忘れられちゃあ困るね。下手したらスパンさ~。これくらいの優位が出来なきゃ困るさ。そしてチェ~ックメイト!」
気がつくと顔に周りには空中に固定されたナイフが刃をこちらに向けている。スキル<座標固定>手に触れた物を一時的に固定し、再起動出来る。つまり今ナイフが動けばティエスタの顔が串刺しであった。しかしティエスタがその位置に着いた瞬間、エリが余裕をかましていたその瞬間、黒い点が近づきエリの頭に直撃する。
「ふぎゃあ!」
黒い点。それはえらく長い黒い棍棒だった。
「これはチームだからね。途中参戦するよ。」
「ちょ!エルさんス、スト、うっ、グッ。あう!」
連続突きをくらいダウンする。
「全く勝負に急ぐんじゃないよ。このバカ娘。相手の方が上なんだから時間稼ぎが普通だろうに。挑発までしおって…」
「むう。勝てる…はずだった。」
「場数が違うよ。このお馬鹿。」
頭を軽く叩くエル。不満気の顔のティエスタ。
「魔法があれば勝てた…かも」
「あんた制御もできないのに何言ってんだい。ここいら火の海にして自分は酸素欠乏で終了するだけよ。エリだって魔法使ってないじゃないか。」
「加減されてた?」
「まあね。今頃全身しびれて、エリに好き放題されてたよ。」
「むう…」
戦闘を一通りみていた秋人は近くの傭兵に聞く。
「エル姉さんのって如意棒なの?」
「なんだって?ん~悪い最後が翻訳されてねえ。」
(如意棒って概念、名前がないのか?なんていうんかね)
「魔法具なの?あれ?急に伸びたけど…」
「あれはエルさんのスキルだな。<伸縮自在>そのまんまだな」
「ああ、道理で。でも…強いの?」
「じゃなきゃ副団長には就いてねえさ。工夫次第だな。」
チームが変わるがわる勝負していく。三つ巴や2対1による差が出来ている状況もやるらしい。最後は全員でキジンに挑むらしい。
「おっさんのってずるいね。」
「だよな~。でもなアキト。アレより上って何人かいるらしいぞ。」
「うっそだ~。……嘘だよね?」
「団長のは<紫電>って名前なんだがな。<雷帝>ってのが上位種にあってな。それは傷の治療やら、空間跳躍やら何でも出来るらしい。」
「電気で?」
「噂だから信憑性がいまいちなんだがな」
「世の中が滅茶苦茶だって覚えとくよ。」
「ははは。そうだよな~」
実際は電子までコントロールできる<雷帝>。自分を分解し再構築する事まで出来る。上には上がいるのだ。
見応えがあるが、何戦か見ると飽きていた。まだ戦闘の基礎すら知らない、更には参加できないので接戦以外は盛り上がれない。さらにキジンによる無双が秋人にとって不満だったのだ。町を歩く秋人withチルデル。町には騎士の姿もある。王国故に騎士を雇用している。未知なる部分があるためハンターが集まりやすく、その分騒動が多い。それを抑えるのが彼らである。ハンターと騎士による合同訓練が半年に一回は行われる。魔物による町の襲撃を想定した場合の訓練である。戦争の場合はハンターには要請されていない。傭兵ならば依頼が降りるため判断によって決められる。これがハンターと傭兵の違いである。チルデルが薬草を届ける薬屋を尋ねてみる。
「こんにちわー」
「はいはい。いらっしゃい」
歳の行ったおばあちゃんが出迎えてくれた。チルデルはカウンターの上に移動する。
「おやおや。チビちゃん達。来てくれたのかい。うれしいねえ。」
「なんか餌まで貰っちゃってすいません。」
「かわいいもんさ。孫がいるみたいさ。あんたは学校行かないのかい?」
「うーん。周りが必死すぎて行く気が起きないんだよね。」
「ある程度の勉強は大人になると必要だよ。」
産業国ウラハはト―レを見習い、学校という施設を設立。国が10歳までは無償で受けられるようにした。曜日によって授業の科目の時間が変わる。一つの科目は一週間同じ物を取り組むため、受けたい時に受けることが出来る、自由参加型。数学は商人、店に関わる子がとり、歴史は政治に関わろうとする子がとるようだ。家の仕事を手伝っている子にも受けられるようにした。騎士道もあり、男子はこぞって集まる。ただしこれは週2回のみ行われる。騎士とて忙しいのだ。話していると店に客が来る。ギルドの受付嬢のマミルだった。
「こんにちわ。おばあちゃん元気?アキト君とチビは…大丈夫そうね。」
「こんにちわ。今日はどうしたんだい?」
「こんにちわ。」
キキッ
「ちょっとこずかい稼ぎに採集の依頼受けたのよ。で、採るための道具貸してくれないかな?久々に受けるもんだからどこに置いたか忘れちゃってさ。」
「はいはい。いいよ。ちょっと待ってなさい。」
店の奥に消えるおばあちゃん。いい人や。
「採集って難しいんですか?」
「全然。言ったでしょ。こずかい稼ぎよ。休みなんだけど、暇なのよ。」
「俺にも出来ますか?」
「そりゃ、できるけどさ。受けないんじゃなかった?」
「……暇なんですよ。今日は。」
「あらら。親元の許可がないとさすがに受諾できないと思うわよ。」
「よし!おまえら!足止め頼む!」
キキ!敬礼するチルデル。それを見た途端走り出す秋人。ベースに向かって行った。呆れ顔でマミルが呟く。
「誰も連れて行くなんて言ってないんだけどなあ…」
「キキ!?」
必死で身ぶり手ぶりで何かを説明するチルデル。しかしマミルには通じない。
「踊り?」
がっくり肩を落とすチルデル。デップルの一人がおもむろにペンを取り出し一筆。
ひ
ま
「き、器用ね。歪ながらも読めるわ。誰が教えたのかしら?」
実は秋人の勉強中に覚えていた賢いやつである。おばあちゃんが戻ってきたのでもう一人分追加してもらう。目を輝かせるチルデル。
「許可貰えたらの話よ。」
ウインク一つ見せるマミルだった。




