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影として…  作者: フォト
1章
10/19

8話

あっさりと許可が出たため、採集に向かった一向。向かったのはイーストの東に大人が歩いて20分のところにある森。子供がいるため、30分ほどかかっている道中、今まで秋人は気になっていた事をマミルに聞いてみた。


「あの、マミルさん。本人がいないところでなんだけどさ…。エス姉ってさ、なんでキジンのおっさんの所に?その…ご両親は?」


「ん?ああ、お元気だと思うわよ。たまにしか連絡来ないからその懸念は仕方がないかもね。二人はハンターというよりも科学者ね。生物学と植物のね。


「それなら、なおさら傭兵団に残すのか理解できないんだけど…」


「二人とも未知の領域に探索で行ったまんまでね、研究でエスタの相手が出来ないってのもあるけどベースが何回も襲わてるから置いてくことも出来ないらしいのよ。傭兵団の理由は、キジンさんの強さと信頼が理由ね。」


「でも危ないじゃん。現に依頼まで受けてさ。」


「女が戦うなって意味かしら?」


「そうじゃないよ。危ないからって理由で遠ざけたのに、結局今の現状になるなら本末転倒じゃんってこと。」


「その歳でそういうこと考えられる…賢いのね。理由はね、どこにいても危険は付き物なのよ。鍛えておくに越した事はないの。ただ未知か既知かって言われたら既知の方が断然安全だし、教えるのは自分たちよりキジンさんの方がいいと判断したのよ。」


「そういう事なら解るんだけどさ…。そこにエス姉の意思はあったの?」


「さすがにそこまでは知らないわ。」


「そっか…」


それから黙り込んだ秋人をマミルは気になったものの目的地に着いたので、とりあえず作業に移す。3種の薬草を15枚ずつの採取とのこと。3種とも違う場所に生息しているため時折、移動する。注意点はマミルから説明されているので気をつけながら採る秋人だが、チルデルは明らかに秋人より早いペースで採っている。たまに各自で見せつけてくるのでいらいらし始める。ミスが出始めたので気を落ち着かせるためにマミルに話しかける。


「マミルさん、この世界には物や人を呼び寄せる魔法ってないんですか?んー、召喚っていう感じですかね。」


「空間跳躍のスキルならあるけど…自分か物体を飛ばすならあるけど他人を呼ぶは聞いたことないわね。でもなんで?」


「うろ覚えなんですけど、世界の危機にどこからか勇者を呼び出して元凶である魔王を倒すって物語を思い出して。あるのかなーっと。」


秋人は自分がこの場所に来た原因をラノベ的展開を期待し、帰る手掛かりを求めてぼかして聞いてみたが、どうやら期待薄のようだ。


「勇者の物語はあるけど、そんな設定あったかしら?」


「アレンジされたのかもしれません。マミルさんが知っているのはどんなのですか?」


「手を動かしながらなら話してあげる。……この世界にはずっと前からスキルと魔法があって、一人の少年が<想像具現>を発現させたのが切っ掛けよ。」






それは昔々の話。一人の少年は小さな村で元気に育っていた。彼は両親の手伝いをしたり、村のみんなに遊んでもらいながら生きていた。小さな村でも彼にとっては幸せだった。だが幸せな日々は壊された。ある日の事、怪我人が町に訪れたため、気前良く治療し、もてなした。だがその日の夜、怪我人は家の住人を殺害し家に火を付けた。家を出た後に笛を鳴らし、仲間を呼んだ、そして始まったのは蹂躙。彼らは盗賊だった。食糧などは保管しつつ村を焼き払った。生き残ったのは親によって逃がされた一人の少年。彼は見てしまった。殺される村のみんなを。笑いながらみんなを殺していくあいつらを。決してこちらを見ず必死で抵抗し逃げる時間を稼ぐ両親の背中を。そしてその貴重な時間のおかげで少年は生き伸びた。

  

  他の町で保護された少年は知る。盗賊たちは戦争によって逃げ延びた元兵隊だったと。2つの国が小さな綻びで起きた戦争の巻き添えだったと。少年は復讐を誓った。盗賊どもはもちろんのこと、ちっぽけな理由で巻き込んでくれた国を襲ってやると。そのためには力が必要だった。彼は狂うほど願い、そして叶った。それはイメージを具現する力。思いつく限りの狂暴な力を想像した。そのために動物を真似た物から、オリジナルの生き物たちを。作りだした生物は作者に従順だった。こんな武器があれば負けないと想像した物を使い、最初に盗賊を、次に彼は2つの国を蹂躙し滅ぼした。だが彼は世界中から危険視され、魔王となった。襲いかかって来るものはやり返した。世界中の人は願った。絶望を打ち砕く光を。魔王を倒す勇者を。そこで一人の人間が名乗り出た。勇者は生物をことごとく倒した。武器や兵器などもすべて破壊した。そして勇者は魔王に辿り着く。そして勇者が魔王を倒した。勇者は英雄となった。彼のスキルは<現実直視>。まさに魔王の天敵だったのだ。彼はのちに言った。


「魔王のおかげで俺は勇者になれた。俺は触れた人間の夢、将来、精神を破壊するただの害虫扱いだったよ。でも今や英雄だ。魔王には感謝している。」……と





「こんな感じかな。」


「む、報われねえ。何を伝えたいんだ、それ?」


「あら、それは自分で考えなきゃだめよ。学ぶってそういうことよ。少年。」


「はい。精進します、マミル先生。」


「よろしい。」


「実はまだ続きがあるのよね。」


「へ?どんな?」


「<言葉使い>が現れたのよ。その言葉のはモンスターも従うの。だから第2の魔王じゃないかってね。彼は疑われても人を救うことに専念したわ。 でね魔王疑惑はあったものの人に信じられたの。結局生涯疑われ続けたんだけど、彼のスキルはまだ現代でも確認されているの。キラ教のトップが<言葉使い>なのよ。でねモンスターの原因じゃないって証明する熱気が生まれたのよ。」


「確認って最初のスキルは?えーと、想像実現?とかそこらへんのは。」


「<想像具現>ね。勇者のスキル共々まだ見つかってないのよ。だから物語扱いなのよ。」




そんなことをしているうちに揃う薬草。確認作業中それは起こった。




グイグイグイと秋人の裾を引っ張るチルデル。


「おいおいおい、なんだ?なんなんだよ一体。」


引っ張り続けながら違う場所を指さしながら震えている5匹。マミルの方にも同じことをやりに行ったがマミルの反応も薄い。震えと顔色からなにかしらあると見た秋人はマミルに告げる。


「マミルさん、こいつら何か訴えてる。なにかまずいやつっている?それとも町に危険とか?」


「この森じゃあそんなのそうそうでないはずだけど…」


「こいつらが嘘つくには震えすぎだと…。いったん移動したらどうですか?」


「うーん、今動いても特に問題ないし、そうね。チビちゃん達に従いましょうか。」


人間達が動いたと分かる矢先、全力で走り出すチルデル。これはやはりなにかあるとついていくと地面が揺れた。


「地震か?(こっちにもあるのか!)」


「いえ…。これは……大型…モンスター」


「え?」


一瞬日影が浮かび、また震動する。秋人は見た。大型の四足歩行の物が飛び上がり、日に重なった瞬間を。それが採集場所付近に着地した事を。足が震えだす秋人。


「あ、あ、ああ、あれか。こいつらがブルってる原因は…」


「シルバー…ライガー…モンスター化してる…」


「な、な、ななんすかそれ。」


「本来はDランクの動物よ。人前には滅多に出ない。毛皮が特徴的な動物。でも、今、目が赤くなかった?それに体が大きくなってる…。多分モンスターになったのよ。」


「マ、マミルさんもハンターですよね?ランクは?」


「Cだけど、残念なことにチームでCまで上がったの。今は見ての通り一人と半人前の状況だし。さらに悪い事に…」


「さらにモンスター化してるってことですか…」


「見た感じだけど…BBはあるかも知れない。」


(絶望的じゃないか!?)


ライガ―。それは本来では虎とライオンが組み合わさった雑種であり、でかい縞模様のある雌ライオンなのだがこちらは違うようだ。4Mくらいのはずが7Mほどになっており、鬣がある。そして白い毛色に、銀の縞模様。尻尾は馬のような毛で、背中に鳥のような翼。口には何かが咥えられており、血がしたっている。


「羽あんの?どういう進化形だよ、ポーといい、あいつといい…」


「意味分かんないけど、シルバーライガーの羽はもっと退化してて、滑空しか出来ないはずよ。モンスター化の影響ね。」


チルデルがまた引っ張りだす。そして気がついた。ライガ―がこちらを見ている事に。走り出す一同。


「まずいわね。飢えてるし、振り切れそうにない…」


「ど、どうすんですか!」


「町の方角は、解る?応援を呼んできて。…チビちゃん達が解るようね。いい?飢えているからイーストにくる可能性と今後の被害が膨大になるってこと、モンスター化していて推定BBランクの事。これをしっかり伝えて。ベースに行くんじゃなくて先にギルドに行く事。これは絶対よ。私のカードも証明のために持って行きなさい。新人じゃあ信用されないかもしれないから。」


「は、は、はははは。時間稼ぎするつもりですか?無理なんでしょ?村まで往復で1時間ですよ!」


「いい?やるしかないの。伝えられなかったら、私達を心配して来た人まで被害が出るの。やらなきゃいけないの。時間稼ぎは…最初の採取場所でやるわ。みんなを連れてくるのは最初の場所よ。いい?」


「も、もし死んでたら、どこぞの魔王みたいに動物と、魔素?だか元凶刈り取りますからね、いいですね?」


「んー、少年よ、魔素は無理だと思うぞ?」


「いいの!生きろってこと!」


「はいはい、さっさと行った!」


「はい!!」


「「「「「頼むぞ、少年」」」」」


走り出した途端、声が掛かったが、返事する間も惜しんで走った秋人だった。森を出たところで気づく。チルデルが1匹ずつ計2匹しかいないことに。


「おい!他のは?」


キキッ としか言わないが焦ってない事からどうやらマミルさんと残ったようだ。狩り名が森の番人なのだ。それなりの自信があるのだろうが、秋人は数の力であると思っているため信用出来ていない。


「ああーーー、もう。マミルさんの邪魔だけにはなってるなよ!あっの、馬鹿!」


人の命が掛かっているため、ペース配分もなくただがむしゃらに走る。朝練のおかげが15分ほど走り抜いて町に着いた。門番に問われる。


「どうした!?魔物に襲われたか?」


「緊急で!!森にシルバーライガー。BBランク。ギルドに!これ!マミルさんの!!」


「待て!BBってシルバーライガ―はDだ。」


「モンスター化!飢えてる!町に来る!」


焦りのため言葉が纏まらず片言になっていたが伝わった。それを聞き、門番は秋人を担ぎ走り出した。この人も強化系スキルだった。そんな中街中でエルを見つけた。


「待って!待って!」


「ダメだ!」


走り続けるので叫ぶ。


「エルさーん!!マミルさんが!マミルさんがーー」


どんどん遠のくエルの姿。そこで秋人をは別に頼みごとをする。


「お前ら!字!書けたよな?行け!!」


要点を掴み、ベースに向かうデップル。チップルは応援を呼ぶための道しるべとなるように残っていた。勢いよくギルドの扉を開ける門番。


「緊急だ!東の森でシルバーライガ―がモンスター化!推定はBBランクの事!飢えているため、町にまで来るそうだ!こいつが報告した。」


「おいおい、ガキンチョじゃねえか、推定BBだああ?信じられるか。」


秋人を見るや、呆れ出すハンター。激昂する秋人とチップル。


「ふざけんじゃねえ!!早くしないとマミルさんがやべえんだよ!うだうだ言ってねえで早く来い!これが証拠だ!!」


マミルのギルドカードを見せ、男に投げつける。が、見向きもしない。


「ああ?クソガキ、アホ言ってんじゃねえぞ?」


「待て!本当に嬢ちゃんのカードだ!」


「はああ?受付の嬢ちゃんだろ?んなもんただのEとk…ってC!」


「お前より上だな。そりゃナンパに乗らねえはなあ。」


「な!おま「んな場合じゃねえんだよくそがあああ!!」


呑気に喋り出し始めたので切れた。


「今あの人は一人で時間稼いでんだ!あの人は!マミルさんは応援が来るのを信じて待ってんだ!早く行ってくれよ!」


「早くって言ってももなあ、場所が「こいつが覚えてるし、俺も解る!ええーー、と!!フタバ草の採集場所!」


「だあ、早く言えよ!あんたは騎士団呼んできな!」


「当たり前だ。町の警護はまかせろ!」


門番がまた走っていく。秋人は置き去りだ。


「BBか。CC以上のみなさん、集まってください。数で倒すしかありません。報酬は打つ取ったものに素材、参加者には町から報酬を。C以下は村人の誘導と…」


慌ただしく動き出すハンター達。それを見て一旦安堵するが、マミルが心配でソワソワする秋人。そして待っていられず走り出した。向かうは東の森。何もできないと解っていても動いてしまった。役目がこれで終わり、人任せが悔しかった。


(馬鹿!馬鹿!行ってどうする?あほか!でも、でも…)


頭で解っていても動いてしまった。そんな風にがむしゃらに走っていると着いた。木を抜け、視界が開けるとそこには


「あ。 ああ    」






何かを咀嚼するシルバーライガーと






「あ     あ     」




地面に立つ、下半身だけのマミルだった。





名前という名のフラグ…


途中からシルバーからホワイトになってた;; 誰か教えてよ…

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