5話
続きがあるけど きりがいいとこまでうp
二人は街中を歩いていく。秋人はペンダントのおかげで街中の人たちの会話が解るようになった。だが分からない事もあった。
(言葉は解るようになったけど、文字が読めねえ。あの店何屋だ?)
「エス姉、あれ何売ってんの?」
「ん、薬屋。毒消しとか、ポーション。みんな先生たちには無料で提携してる。」
「せ、先生?」
「ん、おばあちゃんがそう。他にもいっぱい。」
秋人が出会った中でおばあちゃんに当てはまるのは一人のみ。すぐに理解出来た。
(医者が先生ね。俺達でもそう呼ぶ人はいるな。あー、思い出したら一発馬鹿笑いの分殴ってねえ。そこ!指さすな!)
街中で注目を集めるチルデル。だが、人通りが少なくなってくる。いるのは装備で体を固めた傭兵ばかり。街角を曲がると視界が広がった。そこに見えるのは緑が多い運動場。しかしそこで運動しているのは子供や青年ではなく多くの傭兵たちだった。が、突如視界がふさがれる。真っ暗で臭い。
「な、なんだこりゃああ!」
叫ぶと反響する声。ガパッっと音と共にティエスタの顔と視界の端に見える伸びる液体。秋人は呆けているとティエスタによって体を引っ張られて”何か”から脱出する。振り返るとドアップに見えるのは鳥の顔。ついつい後ろに下がるとそこには黄色く、光によっては金にも見える大人に並ぶような大きさの鳥。色は違うが並ぶ三匹。黄色のやつには一人、短髪のオレンジ頭の厳ついおっさん。
「がはははは!悪いな!普段はこんなことしねえのに、お前を見た瞬間に走り出して食らいつきやがった!ははははははは!」
大爆笑。気がつけば頭にいたデップルは避難していたらしく指さして爆笑している。涎でべとべとになり、臭い秋人。残りの二匹が近づいてくると舐めてくる。妙に気に入られたようだ。
「だああ!臭いからやめい!やめろちゅうねん!」
「ボーに気に入られる体質みたいだな坊主!そりゃスキルか」
「知らん!ってボーってこいつらか?スキルって何!」
(スキル!スキル!いい響きだな。魔法ありに、スキルあり!ファ~ンタジ~って感じだな。ボーって見たまんま、チョコ○だよな…。色があるってことは特性が違ったりすんのかね!夢があるな!)
大興奮の秋人。なめられ続けいるが眼中にない。チルデルは爆笑中である。
「ああ?ギルド行って来たんだろ?確認してねえのか?発現すらしてねえのかこの坊主は」
「…すっかり忘れてた…」
答えるティエスタ。だが重要なことも忘れている。なんとか舌から逃げ出し、ティエスタに聞く。
「このおっさん誰?」
自己紹介である。
「あ?それすら聞いてねえのか。ったく相変わらずだなうちの姫様は。よーく聞けよ坊主。俺はキジン・ハーゲンだ。こいつの叔父にあたるし、さらに!傭兵団のトップでい。記憶したか」
こめかみに人差し指を置くモーション付きである。
「ん、何で後ろ?」
「てめえの探索用だ、バーロォ。迷子ってたらある程度の人数がいるからな。準備してたら、マミルから連絡があって戻ってきたんだよ。ったく地図ありで迷子ったあ、さすがはうちの姫さんだよな。他の連中なら買い物してから帰るってよ」
自分の名前すら言えない秋人であった。町で注目を集めていたのはチルデルであり、秋人はただのおまけ。とことん影が薄い秋人である。またもや笑いだすチルデル。完璧に状況と人の言葉を理解している。チルデルに意識するとボー達3羽が寄って来るため、うかつに動けない状況になっている。
「ん、仕事した。迷子違う。この子に困っただけ。」
まさかの責任転嫁である。
「いやいやいや、森に二日はいたからね。あいつ倒した後に!地図持って!2日間!」
ようやく喋る秋人。
「だ、そうだよ。姫さん。嘘はいけねえな~。周りの重要さがわかっただろ。」
「ん、迷っていても生きていけるから大丈夫。」
「そうじゃねえよ!ったく、どうしてこんなに頑固になっちまったかねえ。はあ。とりあえず、ベースに行くぞ。さっさか乗れ。」
乗馬の経験すらないので乗り方が分からない秋人。ティエスタが秋人を抱えようとした時、キジンが殺気と一緒に喋る。
「坊主!こっちに乗りな。な。」
急いでキジンのボーに寄る。ボーは足を体にしまうように体を下げる。秋人がキジンの後ろに乗ると妙に揺れながら立ち上がり、歩き出す。
「坊主。アキトでいいんだな?」
「な、なん、で、知ってん、の」
揺れになれず片言になる。
「マミルから聞いた。どうやら訳有りらしいな。まあ、傭兵なんてそんなもんが多いから気にすんな!」
「そりゃ、たす、助かり、ま、す。でも、傭兵、になる、か、は、ちょっと。」
「あ?どういうこった?なるからうちに来たんじゃねえのか?」
「何が出来るの、か、わからない。商人か、むら、人A、かもし、れない。」
「かぁ~。めんどくせえな、おまえ。体も臭えしよ。」
「それは俺の、せいじゃ、ねえ!」
そうもう一度書くが、唾液まみれで臭いのだ。チルデルは余ったボーに乗っている。器用な奴らである。乗っているとある事に気がつく。
「なんか、体軽いんだけど?」
「ああ?そりゃボーの種族スキルだろうよ。」
「そんなの、もあるのか!じゃあ、あいつらのは?」
「あ?チップルはグロウ、デップルは収納だろ?そんなのも知らねえで連れてんのかよ。」
「か、ってに、ついて来た、んだよ。てか、チップル?デップルってなんだ?」
「デブいのがデップ、細いのがチップだ。あいつら、種族は別だぞ。」バシッ
「うべっ!そうだったのか」
デブと聞いた途端、デップルがまたも緑トマトを投げてくる。はじくキジン。それにあたる秋人。ボーのスキルは重量操作。体に触れているものでも操作できる。敵に襲われた際には足に重量を置き、支点と力点とし、回し蹴り。かなりの威力が出る。体を軽く、羽に置くと飛べる。すごいやつなのだ!
「また臭いに磨きがかかったな!臭いから今後近寄んなよ!」
「てめえのせいだろうが!」
てんやわんややっているとキジン傭兵団のベースにつく。簡易テントがいくつか並んでいるだけだが、これが彼らの仮住まいなのだ。下りてる途中で女性がベースから出て、近づいてくる。黒に近い茶髪、眼帯を左目につけており、出るところは出て、引っ込む所は引っ込んでいる、大人の女性だった。
「なんだい。はやいじゃないか」
「すでにイースト内にいたからな。やっぱり、迷子になってたとよ」
「ははは、そうかい。で、そのぼ「ぱっくん」坊や大丈夫かい?」
ボーから下りた瞬間、また黄色に喰われる秋人。頭丸かじり。曰ば、マミッている(マミルさんじゃないよ)。ティエスタにより、すぐに救出される。
「……体洗いたい…。俺アキト。アキト・トオヤマ」
「風呂場は近くにあるよ。連れていくよ。エスタも来な。私はエル・フリークスだよ。」
唾液まみれの体を首の上から脇の下に腕を入れ、秋人を抱えながら歩き出すエル。それを見ながらキジンが一言。
「エルってよ、ロリコンだったよな。たしか。でも8ぐらいが限度じゃなかったか?」
「そう。でも周り傭兵。むさいのばっか。枠が緩くなってるかも。行ってくる。」
「そ、そうか…。お前は一緒に入るんじゃねえぞ!エルならいいけどな。わかったな?」
「?」
首をかしげながら風呂場に向かうティエスタであった。
風呂場前。
「この子と話す事があるから、エスタ先入ってな。」
「ん、一緒に入ればいい。時間の無駄。…それに臭い。」(グサッ)
「エスタは人気だからね。覗こうとする輩がいるのさ。見張りだよ。この子がいれば遠のくだろ。臭いもあるしね。それに歳の近い子と入れるのもなんだしね。」(グサッグサッ)
秋人の精神に突き刺さる矢。
(臭いあるなら先入れろー。ううっ役得すらないし…。理解できるけどさ。やはり神はいなかった…)
またも変態化している秋人である。キジンの判断は間違っていなかった。先に入るティエスタとデップル1、チップル2匹。
「残りは、オスだったのか…」
「みたいだねえ」
うなずく残り組。が、すぐに目の前の扉が開く。そこにはちっこい泡のお化けが3匹。ビシッとおのおのポーズをとると扉の向こうに戻った。
「な、なんだ~いまの?」
「あははははは。入ればわかるよ。」
首をかしげる秋人と残り、笑うエルであった。しばらくすると髪をちゃんと乾かして出てくるティエスタと先組。湯気でちょっと色っぽい。
「さ、入るよ。」
と、また担ぐエル。
(おお、おおおおお!神がいた。いらしゃったぞおおお)
変態化再び。さっさか服を脱ぎ、ネックレスは付けたままで風呂場に向かう。そこには広い浴場があった。傭兵がそこそこの人数がいるため、まとめて入るためにも広く設計されている。シャワーが見えないが風呂は見える。さすがにいきなり飛びこむ真似はしない。そこに桶にタオルをいれ、裸のエルが入る。鼻血だす寸前の秋人であった。
「ん?まだ浴びてないのかい?」
「や、やややっやりかかあたわかん、ない。」
「ん?ちょいと来な。」
どもっており、もはや何を言っているのか分からないが、最後で理解するエル。椅子が置いてあり、紋章をがある。文字と図形により、できた紋章。触ると何処からかお湯が降ってくる。
「おおおお!これも魔法か!」
「そうだよー。見たことないのかい?これくらいならどこにでもあるだろうに…。ほら来なさいって。」
「お、おう。」
髪をぬらすと石鹸のような物を少し削り、手で泡だて始める。そして秋人の髪を洗い出した。背中に当たる感触が刺激的で思考がぶっ飛び始める秋人。
(おおおおお、これが生か、生なのか。服がねえええ。のぼせる。これだけでのぼせる。)
そんなことを考えているうちに頭が終わる。体はというと液体を数滴両腕につけるのみ。首をかしげているとそれは起きた。
泡爆発。
液体が震えだした瞬間。ボッと腕が泡でおおわれた。腕はピリピリ、チクチクする。こそばゆいし、かゆい。しかも泡が動き出し、体中を駆け巡る。
「お?おお!おおおおおおおおおおおおおお」
と声を上げて楽しんでいるとまたボッと後ろから音が。振りかえるとそこにはさっきの泡のお化けが2匹。
「さっきのはこれだったのか!てかこれ何!う、動くぞこいつ!」
「何って垢舐めさ。洗ってくれてるんだ、掻くんじゃないよ」
同じように泡をまとったエルが答えてくれる。とある妖怪はこちらでは微生物であり、どこぞの魚の位置にいた。
「風呂いらないじゃん!」
「はははw。まあね。でも世の中には微生物が纏った後、そのままでいる事を嫌う人がいるのさ。」
「ああ。考えるとたしかにそうかも。」
「だろう?」
泡が動かなくなったのを見ると、紋章に触り、洗い流す。そして風呂に向かう。チルデルの泡はまだ動いているのでまだ待機。外の生活が長いため時間がかかるらしい。エルは秋人を抱きかかえる。すぐに顔が真っ赤になる秋人。休むに休めないでいる秋人は尻を撫でられている事に気がつく。
「ん~。少し筋肉がつきはじめているね~。やっぱり、もう少し幼い方が弾力があっていいね~。」
「ん、んなこといわれてもですねー。」
「お!ちゃんと男が反応してるじゃないかい。」
「う、うわあああああ。」
反応を見て楽しむエルと息子を手で隠し、逃げようとする秋人。立ち上がり風呂から出ようとすると、自ら紋章に触り、泡を落とした2匹にとび蹴りを食らう。息子に。手の上からだったが衝撃はそこそこあったようだ。風呂に沈んでいく秋人と風呂で泳ぎ出す2匹、それを眺めて楽しむエルであった。
ベースに戻ると先ほどより人が大勢集まっていた。ボーはこの場にいないのを見て、ほっと息をつく秋人。視線が秋人に集まっている。チルデルにも集まっているが、あきらかに秋人が中心だった。そこでキジンが喋り出す。
「そこにいる坊主が今日からうちで世話するアキトだ。立ち位置は~、ま、雑用だな。5匹のチビもいるが、まあおまえらなら分かるな。今日はもう自由でいい。じゃ、解散。」
「よろしくな!雑用。」「がんばれよ、雑用。」「よ!雑用」
何人かが頭を雑に撫でながら通り過ぎる。イラッとしていると、ティエスタと同い年くらいのオレンジ頭が近寄ってくる。
「よーし。よく来た雑用!これで俺も雑用卒業だ―!がんばれよ、ざ、つ、よ、う!」
といきがる少年だったが、キジンが後ろを通り、チョップを一つ。
「お前さんはまだまだ雑用だよ。引き続き頑張りたまえ!雑用その1」
「な、なんでっすか!新人来たから卒業でしょ!」
「新人じゃねえ、言ったろ?世話をするって。仲間になるなんて言ってねえぞ。」
「え?ええ!同じでしょ、ってか一人雑用ができるってことでしょ。俺いらねえじゃないっすか!」
「んん?いらねえのか?じゃあ他のとこいってらー」
「いやいやいや。もう…いいっす…」
「キジンのオッサン。俺も聞いてねえぞ。」
口出しする秋人。だがキジンは答えを用意していた。
「ただ飯がいる居場所じゃねえから働きな!」
「チッ」
こうして秋人がキジン傭兵団に居座る事が決定した。




