2話
後ろを向く余裕なく走った秋人は、人とすれ違ったとしても警告すら忘れ逃げる事に必死だった。
(もういやだ!なんなんだよ~。最初のイベントが死亡endか?酒か?未成年飲酒した俺が悪いのか?あれは客が悪いのであって、俺は悪くねーよ!)
アルコールが入った原因は居酒屋でバイト中、客に無理やり飲まされたからだ。仕事終わりにやられたため、時間までバイトをしたが閉店作業等はやらなくていいと理解ある人たちに見送られて帰ったのだ。また木がカマキリもどきによって切られたのだろう。ズーンという音が鳴り響く。何回か音がした時、秋人はようやくある事に気がつく。
(音が遠い?距離が出来たのか!でもなんで?………あれか?すれ違ったやつか?俺がなすりつけた感じか?ゲームで言うMPK?)
感じもなにも完璧になすりつけである。そこに気がつくと罪悪感が生まれる。罪悪感と同時に迷いもまた生まれるのであった。迷いのせいか足を止めて考える秋人。
(やばいな。何にも言わずに逃げたよ俺。戻るか?でもな~、この体で何が出来るよ。足手まといになってPKか?囮も無理だろうし、ていうか絶対お断り)
今までどうにか逃げられていただけであり、真正面から向かい、攻撃を避け続けるなんてものは今まで命を張って事をなした経験がない一般市民には死ねと言っているようなものだろう。迷いに迷った末、考え付いた答えは……邪魔にならないところで様子見。なすりつけといてなんだが、人についていかなければ村の位置すらわからない、食糧問題、そもそもサバイバルできない等問題が山ほど浮かび上がる。つまり秋人の都合上、あの人には生きてもらわなければ困るのだ。
(頼むからまだ生きててくれよー。死なれたら後味が悪いどころじゃないし、普通に死活問題だし)
音がまだ鳴り響いている以上、まだ戦闘中なのだろう。走り続けていたせいか、走る気力はないがなるべく急いで戻っていく。実際はそこまでの距離はなかったが、体が幼くなったせいで逃げた当初と同じような速度しかでなかった。戦闘が見えてきたので、木を何本か隔てた位置にて観察する秋人。全長150cmを超す大剣を赤い髪の女性が薙ぎ払い、時に鎌を迎撃し、そらしている。女性の体は鍛えていると言えるほど太くなく、細身。体にはブレストプレートを着込み、籠手、足鎧、そして額当てを装備してる。体、そしてプレートには傷という傷も見当たらない。攻撃をさばき続けているのだろう。一方、カマキリもどきにおいてはあの大剣で切られたのだろう、片腕が切られ、地面に落ちている。そんな戦闘中カマキリもどきが空中に浮かぶ。
(あそこまでやられたていたらさすがに逃げるか…)
そう秋人が思った瞬間、女性は横に飛んだ。秋人がなんだと疑問を抱く間もなく、女性がいた場所にサソリの尾が素早く通り過ぎ、更には紫色の毒々しい溶解液が発射されるおまけ付き。木の真ん中をあっさり溶かし、秋人の目の前に落ちる溶解液。距離を置いていなかったら人間などすんなり溶かし、骨すら残らなかっただろう。秋人がジュウジュウと地面の草を溶かす液体の前で、声も出せずに腰を抜かした時、決着がついた。カマキリもどきが残っていた鎌で薙ぎ払った瞬間、女性は前転により攻撃を避けつつ大剣で相手の胴体を薙ぎ払ったのだ。ずれ落ちる胴体を横目に女性はため息をつく。そして秋人を警戒の眼差しで睨んでんだ。が、腰を抜かしている子供と気が付き、もう一度ため息。もう一度周りの警戒をするが、危険がないと判断するや、カマキリの目玉、頭の中にある宝石のようなものを取り出した。それを手持ちの袋に入れた後にようやく秋人の方へ歩き出す。ここまで一回を声を出せていない秋人。女性が近づいて来ても呆けたままである。
「ん…… 」
そう言って手を差し伸べてくる女性。秋人は出された手をただただ眺めているだけ。そうして5分ほど膠着状態の中、ようやく秋人が動き出す。
「すみません。どうやら腰がおもいっきり抜けているようで。あははは…」
と、かわいた笑いをしていると女性は首をかしげ、眉をひそめて困り顔である。なにか問題なのか分からない秋人。またも膠着する二人。
(なんだ?腰が抜けている現状に問題か?それとも敵が近付いている?それはまずい。めっちゃくちゃまずい。恐れていた足手まといじゃないか!どうする…)
「えーーと、まずなすりつけてすみませんでした。自分じゃどうしようもなかったんです。えーー、なすりすつけといてなんですが、敵が来ていたら放置で構いません。この通り動けませんし、さらに迷惑をかけるわけには…」
と頭を下げながら、あきらめの境地である。動けるならまだよかっただろう。逃げられるのだから、指示があれば避けれるのだから。でも今は違う。故に捨て置けと。だがしかし女性は秋人の思惑とは違った。そして彼女は口を開いたのである。
「くぁwせdr、ftg。……yふじきお?」
「へ?」
そう。言葉が通じなかった。敵?どこよそれ。何考えてるのこの人。←作者の声
またも膠着状態の二人。秋人にとって全くもって予想外の展開。
(神よ。何故我を見捨てたもうた。…なんかもち上げて、捨てられた感じがするー)
まあ、神によってぶっと飛ばされたのだ。ある意味あっている。本人には知りようがない事なのだが。茫然としていると女性が動いた。正確には自分を指さし、言った。
「ん、エスタ。……エ、ス、タ」
「ん?ん?ああー。エスタね。あきと。あ、き、と」
さすがに何が言いたいのか理解できた秋人。相手を指さし名前を一回。自分を指さし名前を二回。これで通じた二人。言葉が分かりあえないのでは、ジェスチャーを使えど通じる事は少ない。
「ん…」
エスタと名乗った女性はまた手を差し伸べる。座りっぱなしの秋人。今回は理解出来た。言葉が通じない衝撃のせいか足腰は元に戻っていたので、手を借り立ち上がる。立ち上がった瞬間、エスタが手をひっぱりながら小走りで動きだす。つられて動く秋人。混乱しながらも無言でついていく。後方ではガサガサと茂みが動く音が。エスタが鼻を指さした後、カマキリもどきの死体がある方向を指す。どうやら動物が血の臭いで集まって来たらしい。手持ちの袋から(宝石らしきものもこの中)くしゃくしゃの紙を取り出し、一回、二回と回転させ、秋人の手を引きながら歩き出す。どうやら地図らしい。食べ物は野草と狩った動物の肉。水はエスタの持つ水筒と途中で見つけた川。こうして2日間、森で過ごした二人。問題があったとしたら、エスタは秋人を男と見ておらず、手をつないで歩き、寝るときは同じ毛布に包んで寝る。といったところだろうか。エスタはサバイバルに慣れているからか寝ていても、動物が近づいてくると目を覚ましていた。それを知らずにいた秋人は最初の晩はヒヤヒヤしていたが、そんな事全く気にしていないエスタ本人は秋人の肩を枕に熟睡していた。幼児化のせいか、発情すらしなかった。いろいろ自分の体についても検証、生き方なども考えないといけないと多くの事を考える森の中の2日間だった。
書いてて思う。長文かける他作者さんすげえ




