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影として…  作者: フォト
2章
18/19

3話

マミルが到着し、行き先を決めた一同。各国の首都と観光地を2つほど巡り、首都には一ヶ月ほど観光地では一週間程滞在し世界の情勢も学んでくる事で役目を果たすことにした。帝国においては行く事が出来れば赴くことにした。最初に今いる国、ト―レの首都ザナルカンに移動し、順風満帆で進んでいければよかったのだが…


ザナルカンに着き2日目。初日は宿をとり、ギルドに挨拶しただけで終えたのだがさっそくトラブルが起きた。  

  トラブルその1。ティエスタの拾い癖。秋人という前科があり、迷子のような子供を拾ってくる。2日目の朝にはもう拾っていた。マミルが頭を抱えたまま、うめきながらティエスタに聞く。


「どっから拾って来たのよ。つーか、なんで拾ってきたのよ~。」


「ん。困ってた。」


「それだけで拾うな!!元の所に戻してきなさい!親元に帰しなさい!」


「どこの子か知らない。無理。」


「そりゃそうでしょうね~。首都だもの。だから普通はさ、拾うなんて選択肢がないはずなんだけどね?ん?反省してるのかな、エ・ス・タ」


マミルがティエスタを脅している隣では秋人が子供に事情聴取している。


「え~と、名前は何かな?俺は秋人。13になる。」


「アリエはね、アリエルって言うの。八歳。」


「なんでエス姉に着いてきちゃったのかな?」


「しつこいから追っ払ってもらったの。そしたらここに抱えられてきたよ。」


「……。何から追っ払ってもらったのかな?あとお家どこ?」


「大人だよ~。みんなしつこいんだから。人気者は大変だよね?家はザナルカンのどこかだよ~」


「そっか。あ~、大人って色々いるよね。どんな人だったかな?あと家はどこの通り?もうちょっと詳しく、ね?」(誘拐犯からの逃亡ならともかく、兵隊ならまずいぞ。喰い逃げ犯とかじゃ無けりゃいいけど…)


「いろんな人だったよ。お家はね中央通りの近くだよ。それ以上は親しい人しか言っちゃだめなんだよ。常識だよ、お兄ちゃん。」


「そ、そうだね~。常識だね~」(う、うぜぇ。名前しか解ってねえし、どうしよう。)


秋人は話が進まなくなり、困っているとマミルの深いため息を着いた。


「なんで一大事の時にこんな事になってるのよ。つーか全部あのバカのせいよ。」




トラブルその2。金欠。金はキジンから受け取っていた。受け取っていたのだが、初日の夜。バレットが宿から抜けだし、夜の街に繰り出した。そこにあるのは娼館と賭博。賭博にまんまと嵌り、借金を抱えてきたのだ。手持ちの金の半分を持っていき、最初に勝って調子に乗り、気がつけば大負けの借金持ち。今朝に金が減っている事に気が付き、大慌てしていたマミルだが宿の女将が店前に置いてある変態を何とかしてくれと言われ何で自分が、と思いながら玄関を開ければそこにいるのは裸に剥かれたバレット。それだけで全てを察した。部屋に戻り、弁解を聞きマミルの堪忍袋の緒が切れた。土下座していたバレットの髪を掴み、地面に向かって叩きつける。バレットの顔面を迎えたのは地面…ではなくマミルの膝。鼻字のアーチを作りながらぶっ飛ぶバレット。壁にぶつかり意識もうろうとしていた時、マミルは告げる。


「チビども。殺れ。」


敬礼と共に動くチルデル。ロープで逆さ大の字に縛り上げる。窓を開け、つっかえ棒で支えバレットの男の証明(という名の棒)を添える。宿屋で騒ぐわけにはいかないので口には猿轡&タオルを詰め込み叫べないようにした。一通りのセットを終えたので、つっかえ棒を外した。結果は……察してくれ。



金を返しに行ったが、最初に勝っていたせいで足りず困っているのだ。金がいる。ギルドの依頼で得る以外にも何かしら手が必要だった。マミルが告げる。


「ギルドで依頼を受ける。これは必須ね。運よく割のいいが残ってるといいけど。雑用系も全部受けるから。まあそれは馬鹿に任せるとして、討伐をメインに私たちは動きましょう。せめてひと月の利子分は返さないと、あと追加の宿代分も。んで、まずは・・・」


「ふ~ん。大変だね。お姉ちゃん達。」


アリエが口をはさむ。マミルはいらつきながらも子供に当たらないようにしながら言う。


「そうよ~。だから素直に家の場所を答えてくれるとうれしいんだけど。ね、お家に帰りましょう。」


「や~。」


「はあぁぁぁ。私はギルドで受けられる依頼とついでに迷子の捜索願を見てくるわ。あんた達は馬鹿起こすのと、あと母親の呼びかけして。親も探しているでしょうから。ついでに何かしらうまみがありそうな情報も探して。珍しいものでもあれば売って足しにできるでしょうから。」


「は~い。」


「ん。」


「がんばってね~。」


気ままに答えるアリエルに額に青筋が出来たが、大人の対応でギルドへ向かったマミルだった。秋人はもう一人の当事者に聞く。


「エス姉、この子は誰に追いかけられてたの?」


「多分・・・、憲兵。」


「へ?・・・、何で助けたのさ!めっっちゃ面倒くさい事になること丸解りじゃん。つーか、捕まえたら憲兵に渡そうよ、普通。」


「んー、なんとなく?」


首をかしげながら答えるティエスタに対し、秋人は呻く。


「おーい、めんどいぞー。  ん?憲兵にこの子渡せば終わりじゃね?」


「あんなのは、や!」


「ん。やー。」


「エス姉はのるな。アリエルさんよ、何か悪いことしたんじゃないかい?あの人たちはいい子にはやさしい人なんだよ。」


「やってないもん!あんなむさい、臭い、ダサい人は、や!」


「さ、際ですか・・・。はあ、ここにてもなんも変わらないし、人に聞きに行こうか。」


こうして旅の二日目が過ぎるのだった。





次の日の朝。朝食の場にて


「何でまだこの子がいるのよ。」


「昨日の夜にちゃんと報告したじゃないですか。おかしなことになってるって。」


「憲兵に捜索されていないかもしれない、ね。この子は憲兵に追われていたのよね?」


「ん。」


「でも、憲兵に顔を合わせてみても反応なしだったと。この子を憲兵に渡した後に、追っかけてたやつらに見つかったら…か。」


「なんかまずい所を見られたとかそういう類ですよね。きっと。」


「考えすぎかもしれないわ。財布をとられたとか、喰い逃げとか。小さい事だから全員に伝えられなかったとか…と言いたいところだけど」


「服装がきれいすぎですね。質素すぎず、派手すぎずでもいい生地を使っている。する意味がない。」


「憲兵としてではなく、個人的に憲兵の誰かが追っている、と。はあぁぁ、討伐依頼はそんなにないし、色々な事が手詰まりに近いわね。うじうじしてても何も変わらないし、行きましょうか。」


こうしてまた返済のための労働が始まるのだった。



そしてその日の夜。


「エス姉、マミルさん、情報収集してくる。昨日の夜報告したけど、賭博場がやっぱりきな臭い。ってマミルさんは?」


「…お風呂。…アキト、未成年。まだ…入れない。」


「賭博場には入らないよ、酒場で盗み聞きくらいしかないけど、やらないよりマシでしょ。マミルさんにも一応伝えておいて」


「…ん。」


こうして夜のザナルカンを歩く秋人。そして彼は酒場に…ではなく賭博場の近くに来ていた。


(賭博場を検挙させて全てをチャラに、っていうのが一番いいけど証拠が必要だ。調べるにしてもまずは下見から、だな。あわよくば契約書も破っておきたいもんだ)



侵入用に顔を隠し、黒ずくめに服装を変える。モデルは忍者。まず、外観から大きさと窓など通れそうな出入り口と人の流れを調べる。防犯魔法も観測し、警備の穴を探す。賭博場はバレットから聞き、中の配置は調査済みである(あまり信用されていないが…)。中に入る簡単な方法は客として入る事だが、背が高くなったとはいえまだ13の秋人では未成年とばれてしまうだろう。一通り観察した結果、トイレにある窓や、調理場に繋がっているであろう換気口が候補に挙がった。屋上の扉も見つけたが壁をよじ登るのでは簡単に見つかってしまいそうだった。敷地と建物は広く、3階建ての建物の上には警備兵が上から監視していた。まあ、三階まで上がってくる奴や不審人物は上からはさすがにこないだろうと考えているのか、だらけていた(これにより、二階にあるトイレからでも潜入できると秋人は考えてもいた。)。魔法を駆使すれば、よじ登り屋上の警備兵を排除できるが、本番ではない今襲ってしまえば、次の日には強化され、本末転倒となるだろう。

必要なのは賭博以外の部屋の配置とその中身、主に契約書など重要な物を管理している部屋である。さらに噂によれば人身売買ならぬ人身担保をやっているとの話がある。医学技術の進歩状況から、奴隷制度が少ないという点からこの世界ではあまり意味がないように思えるこの噂。誘拐扱いにされるのでマイナス面が多いのだ。だが火のないところに煙はたたない。調べる価値があると秋人は判断した。気配を消し、建物内に侵入するとまず鬼眼を発動させ、視野を確保してから廊下が見え、自分は隠れられる場所を探しだす。そこに隠れ、体内時計で時間を計る。そして小さい紙とペンを取り出し、そこにメモをとる。


(うーん。人の気配は若干あるけど、定期的に動いている奴は一階にはいなさそうだな。見周りはいないっと。解るのは賭博場と食堂、トイレだな。他に部屋がないか探して2階だな)


いざとなれば幻術を使うという手があるため余裕がある秋人。部屋内部に人がいないか音で確かめ、居なければ中を確認していく。もちろん防犯魔法が掛かっていないか確認済みだ。まあ防犯があるかないかで重要度が丸解りなのだが。一階にめぼしいものがないため二階移動すると、人の気配が増えていた(賭博場の人数を除いた数値である)。慎重に進んでいくと、今度は見周りがいた。いたといっても修行3年目の秋人に気がつかないレベルだ。


(なにかしらあるってとこか。契約書はないだろうが、金くらいはあるかな?でもなあ、賭博だろ… 金といったら大量にあるだろうからこの警備じゃ不安だろ)

本職の人間に3年もみっちり扱かれたら本職や本場には敵わないもののチンピラや一般人を少し超えただけの人間よりは技量をもっている。自分のレベルを測り間違えている事を秋人はまだ知らない。一周にかかる時間、人数、建物の構造を把握し、部屋の内部を調べる。2階は主に金周りだった。外部との通信室(電話ではなく、信号機)や会計室、新たなゲームとそれによる金の掴み方、ディーラーの新人研修、会議室。これだけでは何のための見周りか理解できないため、見周りをもう一度観察する。


(会計している奴に見張りがいるな。仲間内じゃないのかね。噂の担保さんか?カジノやってて計算能力ないってどうなのよ…)


そんな事を思いながら三階へ、と階段に足を出したがすぐに引っ込める。三階にいる見周りが秋人が足を出した途端、立ち止まったのだ。見周りのレベルが違うので秋人は本気で行かなければならなかった。つまり魔法の使用。まだ勉強中ではあるものの独学で学びつつ、師匠であるアルトは一般など知らんと行ってスカウト部隊必要な魔法を教えていた。それが”陽炎”である。原理はECSと同じやり方である。つまり透明化。ただし人間とは視界の捉え方が違う動物にはばれてしまうため対人間仕様である。精霊に願えば更に高度な偽装が出来るのだが秋人には

残念ながら精霊の素質がない。さらに秋人の体は成長期であって成体ではない。つまり魔法量に問題があるため長時間は使えないのだ。姿を消しつつ、気配を殺しながらも三階へ挑む。三階の見周り達は時折不審に思うのか秋人がいる方向を凝視するが、秋人は動かない事で対処する。内心ヒヤヒヤしながら、精神と魔力を削りつつ調査を続けるが問題が発生した。魔法による鍵がかかっている扉があるのだ。(部屋内に人がいない状態であるなら)物理的な鍵ならピッキングで開け、見周りがいないタイミングで扉を開け侵入できるのだが魔法の場合はそうはいかない。魔法が張られた際に作られた解除のための”コード”を魔力で形作り打ち込むか、”コード”が埋め込まれた物理的な鍵で解錠するしかないのだ。いくつかある部屋のなかで2部屋に魔法錠が掛かっていた。それ以外はV.I.Pルームや脱出兼立てこもり用の部屋、土地権など経営する際に必要だったと思われる権利書などが保管されていた。目的の借用書や契約書が見当たらなかった。よって、なんとしてでも2部屋の中に入る手段を見つけなければならなかった。自身の魔法量による時間の問題があるため、何回か侵入しなければならないだろうと秋人が考えていると見周りではない、身なりの良い男が問題の部屋に近付いてきた。秋人はこれはチャンスとばかりに男の後ろに近付き、コードを覗き見ようと試みるが鍵を使っての解錠だったためコードは解らなかった。しかし男が扉を開け、部屋に入った時に秋人も侵入する事が出来たのだ。


そこには牢屋がり、中には女性が一人。手足には手錠が掛かっており、足には錘、手には壁と結ばれる鎖も掛かっていた。秋人が女性に気を取られていた間に身なりのいい男は奥にある部屋に違う鍵を使い入ってしまった。見た限りでは牢屋以外には目ぼしいものはないが一応確認していく。すると小さくも鋭い声が秋人にかかる。


「おい!」


「くっ(そ)」(ばれたか!)


身構えつつ周りを確認するが誰もいない。よって部屋にいる有一の人物に目を向けるとまた声が掛かった。


「そこに居んのは解ってんだ。これを開けろ。」


肩以上にまで伸びる茶色の髪、長くから牢屋にいるのか汚れつつも衰えずしなやかな体、頬には小さく十字の傷はあるものの綺麗といえる顔をしている。が、しかし眼にはとてつもないほど力が迸っており、さらに殺気まで出ているため美人だと感心する暇もない。相手は拘束されていても秋人は警戒が解けないでいた。


「おい、開けろっつってんだ。それとも何か?侵入者だって叫んでやろうか?」


「待った待った待った!そんなことしてもお互いになんも利益ないだろ?ちょっと待ってくれ。」


”陽炎”を解き、姿を表し鍵を探す。


「んで、坊主。暗殺でもしにに来たんか?」


「いや、契約書と破りに来た。金も少しぐらいは欲しいかなーなんて思ってる。なあ、なんで解ったんだ?ここまでばれなかったのにさ。」


「はっ、テメーの周りは歪んでるは、そこだけ気配が死んでりゃ普通は気がつくよ。覚えとけガキ。気配は殺すな、なじませろ。」


「ご忠告どーも。ついでに教えてくれ。奥の部屋にはなにがあるんだ?」


そう、秋人の標的が奥にある場合、問題点が増えるのだ。今いる部屋の解錠問題も、もうひとつの部屋もまだ解けていない。


「奥はここのボスの部屋だ。優雅にワインでも嗜んでるだろうさ。目的の物はあそこじゃあないな。紙もって来たやつはほとんどいねえからな。」


「げ、じゃあもう一か所のほうか。」


「つってもここと同じ”コード”だろうな。鍵、2つしかねーから。おい、さっさか開けろ。」


牢屋のカギを見つけた秋人。さらにこの部屋の魔法上の設計図までこの部屋で見つけてしまった。色々と杜撰すぎる組織。こんなのに引っかかった男(バレット)は本当に馬鹿なのだろう。解除コードを探りながら疑問をぶつけてみる。


「なあ、人間担保って心当たりないか?会計士だけじゃあおかしいだろ。」


「んなもんは知らん。鍵あったんだろ?さっさか開けろ。」


「いや、魔法量的にもう一回来ないといけないからまだ駄目だ。」


「はあ!?」


コードを見る限り、次の部屋を開けるために使うと帰りの”陽炎”が持たないのだ。それにただ契約書破って逃げるのはただの不法侵入と器物破損で正当性が全くない。どうせなら犯罪を暴いてついでに(・・・・)契約書を破りたいのだ。


「開けて、てめえがまた来ればいいだろうが。」


「警備が厳しくなったら困るだろうが。」


「んなこたあ知ったこっちゃねえ。」


「こんな杜撰なとこに捕まった間抜けなアンタに従う理由もないしな。」


「てめえだって嵌ったようなもんだろうが。あと俺はここのチンピラに捕まったんじゃねえよ。てめえと一緒にすんな。」


「あっそ。」


「ああ?叫んでやろうか?あ?」


秋人は設計図からコードも解読できたので余裕をもって対応する。


「次来る時さー。ここに用は無いんだよねー。担保の事なんか知らない?」


「……」


「おーい。」


「多分一階だ。目隠しされてどこいらかは分からなかったが魔法でなんかしてある場所を通ったな。」


「え?マジ?」


「おい、叫ばねーし、情報もやった。次って奴はいつだ?」


「ボスがここにいないだろう日だろうね。ばったりなんて可能性は限りなく避けたいし、この牢屋にも防犯らしいのついてるし。」


女は深くため息を吐き、告げる。


「出られるならそれでかまわんよ。」


「その時までには逃走の道筋も考えておくよ。防犯(それ)って警報だけっぽいし。」


そう言って秋人は”陽炎”を発動し帰るのだった。一階にあった仕掛けの確認も忘れずに。



ルビ振りミスにより連続編集しました  アホですみません

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