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剣の王  作者: 今井 蒼月
転入編
15/21

発揮できない力、思い出す過去

 家に戻ったアランは鍛錬に取り掛かった。

 500年も封印されていたため、体がなまっってしまっていた。

 課題としては、一週間でどこまで戻せるかである。

 彼の家には中庭がある。ここなら誰にも見られることなく力を発揮できる。

 早速、剣を抜き素振りをしてみる。一時間ほどある程度動きをこなしていくと、


(やはり、身体面か)


 頭ではどうするかはわかってはいるが、体がついていけない。

 そのため、最盛期に比べ格段に落ちている。


(主に体力と、体幹か)


 ここまで落ちているのはさすがにショックであったが、

 今更嘆いても仕方がない。


(とりあえず、一通り確認したら、筋トレと走り込みか)


 そう決めると、次に能力の確認をする。


(|導き給え。我らの進軍を《グラディウス・プランバム》)


 かつて使っていたものを呼び出す。

 しかし、そこに現れたのは四本のだけだった。


「くそっ!!」


 悔しさのあまり、地面を殴る。

 かつてなら通常最初に十本現れ、必要に応じて増やすように

しているのだが...


(やはり、思うようにはいかないな)


 この流れでは、()()もうまくは出せないだろ。


(アクセス)


 『門』に接続を試みる。


(・・・・・・・・・やはり、か)


 しかし、これは呼び出すどころか、感覚さえ掴めなくなっていた。


(500年というのは恐ろしいな)


 現実に落ち込んだが、あの約束を違えるわけにはいかない。

 気を切り替えると、動きやすい服 (ジャージというらしい)

に着替えると、夜の街に走り出していった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ほお~お前が交流戦に出ると...」


 次の日、アランは学園長室を訪れていた。

 ヴェロニカに相談したいことがあったからだ。


義母(はは)としてはお前が学校行事に積極的に参加 

することは嬉しい限りだが...」


 窓の外を眺めていた彼女はアランの方を向く。

 

「どういう風の吹き回しだ?」


 にやにやしながらアランを見た。


「助けたい人ができた。それだけだ」

「ふーん。隣の女子か?」

「・・・・・・なぜわかる」

「私だぞ?知らないことはない」


 胸を張って答えるヴェロニカ。


「まあ。確かにあいつはギースから不当に借金の利子をあげられ、

家計的にも限界なのは知っている」

「!!。じゃあ、どうして助けない?」

「無理だな。ギースの家は、この国の国政に関わる公爵の家だ。

いくら、迫ってももみ消されて終わる」

「お前の力でもか?」

「そうだな。()()()()()()足りん」

「??」

  

 今の言葉に一瞬違和感を感じたが、アランは無視することにした。

  

「それと、俺は能力が著しく低下していることが分かった」

「ふむ。そうか」

「驚かないんだな」

「予想はしていたからな。通常一か月も剣を振らなければ質が

落ちるところをお前は五百年もブランクを開けてしまったんだ。

当然そうなる」


 ヴェロニカは机に肘をつくと、アランを見つめる。


「とりあえず。戻せるように努力はしている」

「恐らく、三か月は最低でもかかるな」

「やっぱりか」

「昨日はどれくらい走った?」

「5500ヤード」

「ふむ。無難だな」

「あんたが特訓してくれていた時の最短距離でまずは」

 

 アランは知らない。この距離が普通はありえないことに。

 普通はこの距離を無難という人は絶対にいない。

 むしろ、「え?なに殺す気なの?君」というような反応が普通である。

 この時点で、アランが力が衰えていても、それは学園の生徒の上位者の

実力がアランとそれなりにやりあえる程度になったくらいである。

 ヴェロニカは当然、彼が例え力が衰えても実力は上であることを知っている。

 だがあえてだまっている。あえて黙っているほうが、後々面白いと思っているのだ。

 この世界の平均的な身体能力が落ちたのを知るのはまだ先のことである。


「あと、剣は出す数が少なくなるし『門』に限っては接続ができない」

「それは感覚が取り戻せていないのだろう。恐らく全体的に魔力の流れが乱れ

うまく出現に必要な魔力が生成されていないと考えられる」

「そんなものか?」

「そんなものだ。自然に戻るだろうが、手っ取り早く済ませたいなら

方法があるぞ」

「!!本当か?それで方法は?」

「他者から貰う」

「は?」


 一瞬思考が停止した。


「どういうことだ?」

「そのままだ。他者に身体的接触をしてもらうことで、魔力をもらうんだ」

「ええ~」

「具体的にはキスかな?」

「キ、キスか」

「おお?なんだ?顔が赤いぞ?」


 にやけた顔をさらに口角を上げてアランに迫ってきた。


「べ、別にしょうがないだろ?俺だって年なんだし」

「おーおー。初々しいね。経験は?」

「まあ、数回なら」


 先程までのにやけた顔がスッと引いた。声も真面目なトーンになった。


「ほう。彼女とか?」

「誰のことだ?」

「あの勇者としたのか?」

「ああ」

「ほう。義母の知らないところで」

「うるさい」

「・・・・・・・まだ引きずっているのか?」

「・・・・・・・いや、断ち切ったさ」

「そうか」


 しんみりとした空気が流れる。


「もう授業だろ。早く行け」

「ん?そうかそんな時間か」

 

 アランは、ドアの方に向かうと、そのまま出て行った。

 一人になったヴェロニカは、椅子に座ると再び窓を眺め始める。


「私をだませると思うな。引きずっているじゃないか」


 彼の顔を思い出す。あの後悔の念を感じさせる表情かおを。

 

「さて、どうなるかな」

 

 一人しかいないに部屋に彼女の声がむなしく響いた。


評価してくださる皆様に感謝を。

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