少女の事情と願い
学校からの帰り道、二人は無言で歩いていた。
アランは彼女の家を知らない。だから、彼女の後についていった。
「聞かないの?」
ミーナが口を開いた。
「聞いてほしかったのか?」
「え?」
「聞いてほしそうな顔ではなかったからな」
「そうだった?ごめん」
「謝る必要もないだろう」
再びの沈黙。きまづい雰囲気が流れる。
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
両者声を出さないままだった。
しばらくすると、ミーナが足を止めた。
「どうした?」
アランの問いかけにも答えず、俯いている。
「おい」
アランが顔を覗き込んだ。
そこには...
「う。ううう」
目に涙をいっぱいにためて、今にも泣きだしそうだった。
「え、っと」
「ごめんなさい。ぐす、もう大丈夫だから」
「・・・・・・・」
「家、ここ曲がったらすぐだから...じゃあね」
彼女が曲がる先は、狭い路地だった。
「ちょっと待て」
歩き出そうとする彼女の腕をつかむ。
「どうして逃げようとするんだ?」
「・・・・・・・・」
「ここまでは送るだけにしようと思ったが、そんな顔されたら
黙ってられないだろ!」
「・・・・・ごめん、なさい」
「謝るんじゃなくて、まずは事情を説明してくれ」
「!!」
ミーナが顔を上げる。
「どうして?」
「ん?」
「どうして、今日初めて会った私を助けてくれるの?」
「あー。なんつうか。そういう性分でな」
くすりと、ミーナが笑う。
「ふふ。勇者みたいだね」
「ま。まあな」
一瞬ドキリとするが、気持ちを切り替える。
「それで、何があったんだ?」
「こっちに、来て」
彼女に言われるまま、路地に足を踏み入れた。
路地の先には、少し開けた場所があり。その周りに手作りの小さな
小屋が並んでいた。
(貧民街か)
「こっち」
彼女に手を引かれ、アランはその一つに案内された。
「ただいま」
明かりが小さく灯る。小屋の中にミーナとともに入ると、そこには、
布団に寝ている女性がいた。
「おかえり。ミーナ」
「うん。お母さん。具合はどう?」
ミーナの母親のようだ。
彼女はアランに気付いたようで、
「あら、今日はお友達もいるのね?ごめんなさい。こんな姿で」
「いえ。大丈夫です」
ミーナの母親は、途端に咳をし始めた。
「お母さん!!」
ミーナはあわてて駆け寄ると、彼女を起こし、背中をさすりながら、
水を飲ませていく。
「ふう。ごめんなさいね。ミーナ」
「うんん。心配しないで」
「ところで」
ミーナの母親はアランの方に顔を向けた。
「初めまして、ミーナの母のアデラと申します。水ぼらしい姿でごめん
なさいね」
「ミーナさんと同じクラスのあるでアランです」
「あら?かっこいい人じゃない?彼氏?」
「え!?ち、違うよ。彼は、その、k今日転入してきたばかりで...」
「ふふふ。からかいすぎたかしら?」
「もう。お母さん」
二人の会話が穏やかに流れる。
「さて、そろそろ時間だし。お母さん寝るわね」
「うん、お休み。私もすぐに寝るから」
そういうと、アデラはアランに一礼すると、布団に再び
横になった。
ミーナはそれを見届けると、アランに
「外に出よう」
と誘った。
外はすっかり暗くなってしまっていた。
「外に出たり、中に入ってりしてごめんね」
「いいよ。それで、お母さんを見せたのには理由があるんだろ」
ミーナはうなずくと、ぽつぽつと話し出した。
「私。生まれたときにはお父さんがいなくて、ずっと。お母さん
一人に育てられたの」
それから彼女が十五の時に、彼女のために働き詰めだった母が、
職場で倒れてしまった。
過労だった。
それ以降、倒れては、復帰を繰り返すうちに、とうとうアデラは病気に
かかってしまった。
当然それには薬が必要だ。しかし、これまで働いてきたのアデラである。
お金はなかった。
そんな時、とある人物が金を貸すと言ってきた。
「それが、ギース・ユストニス」
「ユストニスといえば、この国の公爵の家か」
「そう。彼は金を貸すと言いて来たの」
当時母を治したい一心だった彼女は、藁にも縋る思い出それを受け入れた。
そのおかげで、母は少しずつだが回復していった。
しかし
「ギースは私に不当な利子をつけて、返すように言ってきたの」
「なんだって?」
「それだけじゃない。無理なら自分の妾になれば帳消しにすると
も言った」
「・・・・・・・・」
「当然すぐには返せない。だから待ってもらえるように何回も頼んだ。
でも...」
ミーナはうつむいてしまった。
「そして今日。一週間後の交流戦で誰でもいいから自分に勝てば
大目に見てやると言ってきて。私、どうすればわからなくて...」
思わず顔を抑えて泣き崩れた。
「お母さんの病気はまだ治ってないの。だからまだ治療が必要になる。
だけど、もうどうしようもなくなって」
その様子を見たアランは、ミーナを抱きしめた。
「え!?」
「お前は偉いな」
「え、え!?」
「でもさ。頑張りすぎだよ」
「な、んで」
涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げて、アランを見る。
その顔は優しく微笑んでいた。
「お前が母を救いたいという思い。ちゃんと伝わったよ」
「え、っと」
突然抱きしめられ、慌てふためくミーナ。
しかも、イケメンスマイルを見けられ、思わずドキッとした。
「その交流戦、俺が出る」
「え?」
「俺がそいつを倒す」
「でも」
「もう言わなくていい。お前は願えばいいんだ」
「願えば...」
「お前は何を願う?」
「わ、わた、しは、助けて欲しい。私を!家族を!」
その言葉にアランは、頷くと
「任せろ」
力強く答えた。
この作品のタイトル。もっと格好いいのないですかね?
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