初配信、そして初召喚
「こんイチワーン!今日からライバーデビューした、サモエドサモナーライバーのイツリハでーす!今日から元気に、世界駆け回りまーす!!」
映し出された配信画面に向けて、元気よく挨拶をする。
最初はこんイチはー!で済ます予定だったけど、サモエド獣人になったわけだし、折角なら犬要素付け足してワンを。
結果生まれたのが、こんイチワン。あれ。もしや僕って天才かな?
「それと、リア友のネクスツーでーす!」
「ネクスツーでーす。こんネクー」
「え、ダサ」
「ハハハこやつめハハハ」
「あ痛たたたたたた!!ギブ!ギブ!イヌ耳引っ張るの辞めて、痛い!!!」
まさかイヌ耳にダメージ判定あると思わなかったよチクショウ!!
『お?』
『新米ライバーだ!囲め囲め!』
『ひゃっはー!新しいライバーだぜぇー!』
『アストラル☆トラベラーが配信された事でデビューする新米ライバー多いな』
お!初配信であるにも関わらず、既にチャット欄にコメントが書かれてる!視聴者数は……4人。まぁまぁ、最初だからこんなもんなんじゃないっすか?知らないけど!
寧ろ、4人も来てくれたことに感謝だね!最初の視聴者だから『四天王』って事にしとこ!プレイヤーネームは……うん、覚えた!
「あー痛てて……コホン。改めまして、今日からデビューしましたイツリハでーす!肩書は、サモエドサモナーライバー!」
「情報量多いな」
「韻を踏んでで良い感じじゃない?サモエド要素は最初無かったけど」
「サモナーライバーで行く予定だったと?」
「ルーレットって、偉大だよね」
さて、前置きはほどほどにして。本題の方に向かいましょうか。
「さ、記念すべき最初の配信でやる事は~…?皆大好き、無償召喚の時間で~す!」
「やんややんや」
『おぉ、召喚か!』
『良いよね召喚士。俺は普通にタンク役するけど』
『サービス初日でガチャ配信するとは……こいつ、さてはバカだな?』
『☆1出てきて♡』
『無償召喚だと☆3以上が確定だぞ。最高で☆5だけど、まだ☆5が出たっていう情報は無いな』
おぉ、コメントが次々に表示されていく……!少ないながらも、見られているという感覚が伝わってくるねぇ……!
「よーし、早速やってくぞー!☆3でもなんでもウェルカムだぁー!」
「……そもそも☆とかって意味あったりするのか?」
「あるに決まってるでしょうが!」
何てこと言うんだ君は!?仕方ない、説明してやるとしましょう!
「☆によってランクが違うのは知ってると思うけど、基本的に数が多い程レア度が高いし、成長も早いんだよ!かといって、じゃあ☆1は完璧に雑魚なの?と言われたらそれも違う。低レアは低レアで、進化する時の進化先は多いし、最終的にはみんな最高ランクの☆8になったりする。つまり、全ては召喚士の腕前次第なのだ!」
「お、おう……すげぇ早口だな。伝わったけど」
『オタクって自分の得意なジャンルの事だと早口になるよね』
『うっ(吐血)』
『うっ(瀕死)』
『それを言ったら戦争だろうが!!!』
『というか、普通にタメになる。召喚で出てくるモンスターって、☆に差はあれど良いも悪いもあるんだな』
ホームページとか事前情報とか色々調べましたからね!ある程度は知ってるつもりだよ!
「そんじゃ、早速召喚しましょうか!まずはインベントリから……」
メニュー画面を開き、インベントリを開く。
初期装備を身に着けた僕の他に、道具が少々入ってる画面だ。その道具の中から、一つのアイテムを取り出した。
【特殊召喚石 モンスターを召喚する為に必要な魔石。☆3以上のモンスターが確定で出現する。詠唱呪文は次の通り―――】
これを使う事で、僕の最初の相棒が出てくる……!あぁ、どんな子なんだろうな!
「モフモフも良いし、カッコイイ系でもいいなぁ……!あ、亜人系も良いな!ワルキューレみたいな戦乙女とか、人型の妖精!昆虫系でも面白そうだなぁ~!!」
「良いからはよやれ」
「うっす」
怒られました。悲しいワン……なんちゃって。
『わくわく』
『☆3が出る事に1000T賭けるぜ』
『ならばこちらは2000Tだ!』
『☆4が出るのに500!』
『うおおおおお大穴で☆5に全額オールベットだあああああ』
おぉ、コメントも中々の反応ですなぁ……。というかゲーム内通貨のTで賭けてるし。どうせならスパチャして……500人登録者いないとダメなんだった。残念。
気を取り直して、召喚していくぞ!
「始めるよぉ~!すぅー………【来たれ、我が従僕!『特殊召喚』】!!」
説明文に書かれてた詠唱を読み上げると、特殊召喚石が青白く輝きだし、独りでに宙に浮き始め、回転し始めた!
「うっほぉー!めっちゃ輝いてるやんけー!」
「これマジであの広場でやんなくて良かった。下手したら無差別テロ並みの輝き」
『おおおおお!』
『キタキタキタキタ!』
『何が出るかな♪何が出るかな♪』
『色んなライバーがやってたけど、良いとこ☆4止まりなんだよな。さて、この新人ライバーはどうかな?』
真弐とコメントの皆と一緒に、召喚石の様子を見守る。
青白い光はやがて色を変えていき、銀色の光りへと変わっていく。
「お、これは☆3演出」
「銀色なんだ」
「SNS反応によると、☆1は黒、☆2は白、☆3はさっきので☆4は金色っぽい」
「ほえ~」
「聞いてないだろお前」
「ごめん、ムッタブラ山崎の事考えてた」
「誰だよムッタブラ山崎!?」
『草。マジで誰だよ!』
『こいつら召喚配信の癖にずっと漫才してんな』
『調べたらマジでいたんだけど、ムッタブラ山崎。一発屋の芸人だってよ』
『草』
『なんでいるんだよ(困惑)』
『軽く放送事故だろこれ』
ハッ!?い、いかんいかん!視聴者を置いてけぼりにするなんてライバー失格じゃないか!
なんとか実況しなくては!
……と?
「き、金色に光った!☆4確定!」
「おぉ~。なら、☆4なのか?」
「だとしたら、あとは召喚石が割れるのを待つだけだね」
いやぁ、楽しみだなぁ!そっかそっか、☆4かぁ~!どんなのが出て……?
…………………あれ?
『……まだ回ってるな?』
『おかしいな、本来ならもう割れててもいいんだけど…』
『……え?まさか…』
『おいおいおいおいおい嘘だろ?』
コメントの皆が困惑し始めてる。
本来ならもう召喚石が割れて、モンスターが出てきてもおかしくないのに……まだ、その気配すらない。
ま、まさか……!?
そう思った瞬間―――――召喚石が、虹色に輝きだした!
「うっそ!?な、え!?うっそ!?こ、これ!?まさかの『☆5確定』演出!?」
「え、これが!?だって、今まで出てきてなかったんだろ!?」
「そうだよ!でもこの演出はもう間違い無いって!金以上の演出が存在してなかった以上、これはもう確定なんだって!!!」
『おいおいおいおい!こうしちゃいられねぇ拡散だ!拡散しろ!』
『切り抜き確定じゃんか!』
『思わずチャンネル登録したわ。これは伝説になるぞ……!』
『俺達は今、伝説を目撃している…!』
虹色に輝く召喚石は、しばらくしてようやく動きを止め……ビシビシと、頂点からひび割れていく!
つ、遂に出てくるのか……!?僕の最初の相棒!
ビシビシ………ッ!
バシャーン!
「ブッ」
つ、遂に出たぁーーーーー!!!僕の最初の……相、棒…?
「ブッ」
『……兎だ』
『小さいな。すごく小さい』
『兎っつーか……ハムスター?くらいだな。ロップイヤーみたいな長い垂れ耳で兎かなってなってるけど』
出てきたのは、手のひらサイズの真っ黒な兎。それも、どっかのゆっくりしてけと促す饅頭みたいな感じの、顔だけの兎。
「随分と個性的な兎だ……。あ、そうだ、内容確認しなきゃ」
「☆5を謳う訳だしな…見た目が小さいだけで、実はとんでもない力持ってる可能性も否定できないしな」
そう思って、目の前でプスプス鼻を動かしてる相棒の兎の詳細を調べると……。
【脱兎 ランク:☆☆☆☆☆ スキル:【逃げ足】【無力】 詳細:逃げることしか取り柄のない兎。正真正銘、ただの雑魚】
………………。
「「ボロックソ言うじゃん」」
『草』
『草』
『大草原』
『悲報:アストラル☆トラベラー初の☆5召喚獣、公式お墨付きの雑魚だった件』




