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緋の少女と学園の朝

前の投稿から一週間たってますね…。遅れてしまって申し訳無いです。


前の二話の文章がグダグタみたいになっていたので、そうならないよう頑張っていきます。


それではどうぞ!

あれから大体の説明が終わり本日は解散となった。時間が余っているので学園を廻ったり、施設を見てみたりと…まぁ自由時間だ。


風音は各施設を把握しておきたいので、一人で学園を廻っている。あの後、クラスメイトの殆どから質問攻めにあった風音は逃げるようにして教室を飛び出した。一人で廻っているのもそれが原因だ。


「……はぁ。これからどうするかな…、早速明日から心装武装を使うみたいだし…」


そんな独り言を呟きながら校舎を廻る。外へと出て、明日の試験会場等の場所を把握しておく。


「…学年は分かれてやるみたいだけど…なるべく一人の時を狙った方が良さそうだな…」


担任教師の渋崎奏世は風音の事をイレギュラー入学者と呼んでいたので、教師陣には風音が心装武装を扱えないのは知れ渡っているだろう。


どうか明日が平穏でありますように…。


風音はらしくもなく天に祈りを捧げる。妹の詩音が今の風音を見れば似合わない~、と笑い転げるかもしれない。

風が桜の話を散らしながら、ゆっくりと風音の頬を撫でる。今更だが学園長の考えが全く理解できない。今から直談判に行ってやろうか?と思う風音だが、生憎学園長はあの性格だ。行っても何も出てこない確率が高い。

取り合えず他の所も見て回ろうか、と思った瞬間、


「ちょっといいか?水無月風音」


不意に横から声が掛かった。風音はそちらへ振り向くと、先程教室で風音を特に見ていた少女が立っていた。


特徴的なのはその燃えるような赤髪。体型はモデルにも負けないほどの身体つきで、雅とはまた違ったタイプの可愛らしい女の子だ。


名前はアリス・ツインフォーレンクルス。


風音のクラスメイトの一人である。


「…えっと…何のようかな?」


風音は表面こそは普通に保っているものも、内心では凄く焦っていた。


「水無月風音…私はお前の実力を知りたい」


やっぱりそうきたか…。風音は心の中で舌打ちをする。あれだけ派手に目立ったんだ、しかも斉天大聖という大物の名前付きで。その中心人物である風音の力を知りたいと思っている人も少なくない。現についさっきの教室でも、どんな心装武装なのか聞かれたくらいだ。


「…知ってどうすんの?」


「…特に何もしない。あの斉天大聖の弟らしいからな……是非一度戦ってみたい…そう思っただけだ」


「……はぁ…、正直俺はあんたの期待に応えられるような実力は持ってない。…先生が言った通り…俺はイレギュラーなんだ」


そう言って風音はこの場から立ち去る。これ以上話し合うことは無い。

アリスはただ、風音の言っていた事がよく分からずその場に立ち尽くしていた。








◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








一年男子寮の一室、外は夕焼けのオレンジ色で埋め尽くしている。

時間は放課後。あれから風音は日常的に使いそうな施設を見て廻り、学生寮の自分の部屋へと戻ってきていた。

基本部屋は一人四人部屋となっているのだが、風音は都合上四人部屋を一人で使っている。ここだけはここの学園長に感謝している風音である。


部屋へと戻ってきてはすぐにベッドへ身体を沈めた。今日一日は特別に疲れたのか、風音はため息を漏らしながら天井を見上げる。


「……疲れた」


風音は目を閉じ今日の事を振り返る。確かに今までの自分が知らない世界である。自分が漫画に出てくるような主人公になった気分だ…、だが、


決して自分が足を踏み入れてはいけない場所へと来た気がした。


「…本当に来てよかったのか…?」


風音は先程の赤髪の少女を思い出す。

彼女は少なからず風音に期待している。それは風音自身も分かっていた。


『実力が知りたい』


そんな事を言われたのに、心装武装が使えない事を知ったら彼女の期待を大きく裏切ってしまう。

元々、裏切る気なんてさらさら無いのだが、周りからして見ればそう言うことになる。


『何でここに来たのか…?』


そう言われることは目に見えている。


「……もういいや…」


風音は考えることも鬱陶しくなりまだ早い時間帯だが、目を閉じそのまま眠りにつくのだった。









◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








一年女子寮の一室。


アリス・ツインフォーレンクルスも自室に戻ってきていた。風音と別れた後、することもないので自室に戻り、自分の荷物を片付けていた。

アリスはヨーロッパの方、フランスからの留学生である。アリス自身日本は初めてではないが、やはり最初は余り馴染めないものだ。

アリスも部屋を一人で使っている。部屋は思ったよりも数があるので、一人で使っている生徒も少なくはない。数人で使っているのは仲良しや中学時代の友達と言った関係の生徒達だけだ。


アリスは風音の事をふと思い出す。

先程は、ああ言われたが彼は何かを隠している…。そう思っているアリスである。


夕焼けの光が部屋を包み込む。ある程度の荷物を片付け終え、出てきた写真を一枚とる。

写っているのは二人、幼少時の頃のアリスとその時の友達だ。

会ったのはこの写真を撮るまでの一週間。アリスにとっては幸福の時だった。

写真を見つめ、机の中に写真を入れる。


「明日は…能力測定」


身体能力測定は入学試験の時とは別物で、ただ単に心装武装を見るだけでは無い。他にも測定する項目が沢山あるので、アリスが気にしてる風音の事も分かる。


「実力は…その時に分かる…」


ただ静かに時間が流れ、時計の時針だけがこの部屋に音を刻んでいた。









◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








燃え盛る炎、崩れ去る街、空には怪物が飛び回り、人々は声を上げながら我先へと逃げ出していく。


またこの夢だ。


ここ毎日ずっとこの夢を見ている。しかもいつもより鮮明に写し出されているようだ。

だが、風音はこの街の事を『知らない』。一体何処にあるのか検討もつかない。


「それはお前が忘れているだけに過ぎない」


ふっと隣から声が掛かる。


隣には銀髪の少女が瓦礫の上に座っていた。


――誰だ?


風音の知り合いにこんな子は居ない。そう思っている風音だが、銀髪の少女は鼻で笑ってきた。


「それもお前が忘れてしまっているだけだ。私はお前の事を知ってるぞ?」


――忘れてる?俺が…?


銀髪の少女は立ち上がり、風音の前に立つ。


「そうだ、お前は私の事を知っている筈だ。あの時、丁度この場所で出会っているだろう?」


そう言われ、周りを見渡す。


「…思い出せよ…私を……私の名前を…。もうお前は知っているぞ?ちゃんと教えたからな」


――君の…名前?……なんて言うの?


「それは自分で思い出せ。私が言ったら意味が無い」


銀髪の少女は風音に背を向け、そのまま向こうへ歩き出す。その途端に今見える世界が崩れ始める。


「…待ってるぞ…。風音…」


最後に笑顔を残した銀髪の少女は夢と共に崩れ消えてなくなった。








◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








風音はゆっくりと目を開けながら意識を覚醒させる。

時刻は午後の10時、どうやらだいぶ寝ていたようだ。


「……また、あの夢…」


同じ夢でも今回は少し違った。

夢の中に銀髪の少女が現れたのだ。それも見たことが無い少女。

頭がおかしくなったか?と自分に問い詰めたい所だが、


「……名前、か……」


確かに知らない少女だった…、だが何故か懐かしさを感じている自分がいる。

風音はもう一度時計に目を向ける。今日はもう今から起きて、ご飯など食う気力が無い。


「明日も早いし…寝るか」


やけに瞼が重い。二度寝になってしまうが、風音は睡魔の力には抗えず、そのままもう一度ベッドに横になり、すうすうと寝息を立て始めた。








◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








翌日。


風音は目を覚ましたのは朝の5時。普通の学生ならまだぐっすり寝ている時間で、起きたとしても二度寝してしまう時間帯だ。

だが、風音は水無月家の家事全般を担当しているのでこの時間にはしっかり目を覚ましている。


「……そっか、作んなくてよかったのか…」


風音は家に居たときのクセで台所に向かったがその台所が無いのに気付き、ハッとなる。


学食は…まだ開いていないだろう。開いてたとしても、食事はまだ取れない。

食堂が開くまでまだ2時間もある。風音は何をしようか考えたとき、部屋に置いてある沢山の荷物に気付く。


「昨日は帰ってきてからそのまま寝たからな…、整理するか」


風音は段ボールを開け、荷物を整理し始める。


この作業が終わったのは丁度2時間後であった。




風音は朝食を取るために食堂へと向かった。食堂は広く、なかなかの人数が入るスペースがある。風音以外にも数十名が食堂へ来ていた。

風音が食堂へ入ると、一斉に視線が風音へと向く。風音は訳が分からず首を傾げる。そして、昨日の事を思い出した。


「(…もう広まってんのか?…はぁ…朝から憂鬱過ぎだろ…)」


ため息をつきながら風音は周りの視線を無視しつつ、用意されている朝食を一つ取る。

適当な場所へ座る頃にはさらに周りの話し声が多くなっていた。

周りを気にせず朝食を黙々食べる風音、するとそこに…


「あの…水無月君、一緒にいいですか?」


朝食を持った雅が話し掛けてきた。


「三木谷?…あっ、いいよ」


雅は失礼します、と言って風音の前に座る。


「助かったよ三木谷…。一人じゃ周りの視線が痛くてさ」


「水無月君の事、相当広まってますね。やはり昨日の事が原因なんでしょう」


雅は少し苦笑いで風音を見てくる。風音もだよな…、と呟き朝食の一品である唐揚げを口に入れる。


「けどびっくりしまたよ。水無月君が十二心将の水無月翠蓮さんの弟だなんて!」


「…義理だけどな」


「……本当の家族じゃないんですか?」


「まぁな。色々あって…」


風音が寂しそうな顔をしたので、雅はそれを見て何かあったのだろうか?と考えるが、すぐに元の顔に戻った。


「…すみません。失言、でしたか?」


「ああ、気にするな。悪いなこっちも…。そんなつもりは無かったんだけどな」


アハハと笑う風音を見て雅は安心半分、不安が半分だった。会って少ししか時間は経っていないが、雅は風音から何かを感じ取っていた。


「(…水無月君…大丈夫、なのかな?何か元気が無いような気がするけど…)」


雅は昨日の風音と比較すると今日は昨日と違い、元気が無いように感じられる。


「どうした?三木谷」


「あっ、いえ…なんでも無いです」


風音は不思議そうに首を傾げる、すると風音の所にもう一人生徒がやって来た。


「隣いいか?水無月風音」


「…えっ?」


風音の目の前には昨日の赤髪の少女が立っていた。


「えっと…アリス、さん?」


「アリスでいい。それと、隣はいいか?」


「ああ、別にいいけど…」


アリスは風音の横に座り朝食を食べ始めた。


「えっと…アリスさん…ですよね?」


雅が少し乗り出してアリスに近づく。アリスも食べ物を口に含んでいるので、言葉には出さないが頷き返す。


「やっぱり。『緋の剣姫』アリス・ツインフォーレンクルス。私、三木谷雅っていいます」


「…よろしく。私の事はアリスでいい、私も雅と呼ぶから」


「はい!よろしくお願いします。アリスさん」


二人は会って一分足らずで仲良くなった。風音はこれが女の子のコミュニケーション能力なのか…と驚いていた。

後、一つ気になった言葉が出てきた。


「…うん?『緋の剣姫』?」


「あれ?知らないんですか、水無月君」


「…ああ、実はそう言った方面には疎くて…」


実際余り興味が無いからな…と心の中で付け加える。


「アリスさんはヨーロッパの方じゃ名の知れた心装武装の使い手なんですよ。実際入学試験もパスしたと聞いてますし」


「…へぇ…」


「それに『緋の剣姫』って言うのはアリスさんの心装武装から由来しているそうです」


雅の説明を聞いていると、アリスが隣からつついてくる。


「…どうした?」


「今日の能力測定、楽しみにしてる」


それだけ言うと持ってきていた二つ目の朝食に手を出した。それを見ていた雅は、よく食べますね、と驚いており、風音は風音で厄介な人物に捕まったな、と思っていた。








◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








「……『緋の剣姫』……」


少女は風音達から少し距離を置いた場所で朝食を取っている。にも関わらず話の内容を一文字残さず聞き取っていた。


「……私の標的じゃないけど……」


チラリと少女はアリスの事を一瞥する。


「…邪魔するようなら……、







―――――――排除しなきゃ」
































どうだったでしょうか?


誤字脱字、おかしい所がありましたらご指摘お願いします。


また読んでくれたら嬉しいです。それでは_(..)_

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