食堂のおばちゃん。
土曜日の朝、今日も晴天。
春ってだけでもやばいのに、気温も高いとか論外だ。
何がやばいって眠気を誘うこの日差し。
校庭に向かう途中にこんな罠が仕掛けられていたとは…。
本当なら授業は休みなのに、約束破ったから罰を受けないとだめらしい。
あの頃の自分殴ってやりたい。
そう言いながら殴らないのが私です。
「ふあぁ。」
本日26回目のあくび。
今日中に軽く50回突破できるなぁ。
「美羽ーっ」
先に着いていたらしい姫が少し離れたところから手を振っている。
「姫ー。 おはよ、…って…………っ!!?」
あれって……マジで!?
姫、今めちゃくちゃ笑顔だよね!?
あんな全力の笑み初めて向けられたし、初めて見た!!!!
やっぱり今日はデートの呼び出しだったってこと!?
どおおしよおおおおおおお!!!!!!!!!!
普通に制服で来ちゃったし!!!!!
今日の姫の服装は、外見にしてはちょっとあれな、上品っぽいイメージがある白のワンピースだっ
それにいつもよりなんか大人っぽい雰囲気醸し出してる気もするんだよ!!!!!!
ついに私も、季節的にじゃなくて自分自身に春が………?
「頼む!! 勝負服だと言ってくれええええ!!!!」
「何馬鹿なこと言ってんのよ!」
瞬殺。
はいはい、そんなことちょっとしか期待してなかったよーだ!!
だ、だから……傷つい…てなん、か……
あれ、変だな。
目から水が流れてる。
「じゃあ早速、今からこの校庭の雑草抜きをしてもらいまぁす☆」
「やっぱスルーなんだね。」
たまに出てくる『自称アイドル姫ちゃん』。
今日は予想以上に機嫌がいいっぽい。
「って雑草抜き!?」
「そ。」
「まさかとは思うけど範囲はーー」
「校庭全部よ!」
周りをチェックする。
うーん…。
校庭全部って、広くない?
機械を使えば意外とすぐに終わるものなのかな。
「はい、これ。」
手渡されたのは一本のスコップ。
「草刈り機みたいなのは!?」
「無いわよ。 あっもうこんな時間だわ!!」
時計を見ると体を180度回転後ろに向ける。
えっ本当に無いの?
この広さをスコップだけでなんとかしろと?
いやいや、無理だよね。
「ふふふ。 これで仕事が減ったわ。誰が自分の手を泥まみれにさせるもんですか。」
「それってどういうーー」
「はっ」
さっきまでの悪い顔が慌て顔に変わった。
「そ、それじゃあがんばってね☆」
慌ただしく門の方に走って行った。
すぐに姿が見えなくなり、私一人校庭に残された。
もう一度周りを見渡す。
「はぁ。」
27回目。
。。。
「終わんないなー。」
土をスコップで掘り起こして根から処理する。
朝の9時に呼び出されてさっき12時だったから、かれこれ3時間ぐらいこの作業をしている。
なのに、まだ範囲の4分の1くらいしか終わってない。
単純計算すると夜の9時に終わるけど、間にご飯食べたりする時間があるからもっと遅くなるだろう。
無理じゃね?
夜に一人で雑草抜いてどうするんだよ。
ロマンを見い出せと?
そんなことできるはずないだろ!
早くも飽きてスコップをくるくる回しながら地面を眺める。
ほら、こういう時間もどんどん増えていくんだよね。
目の前で黒い小さな物体がちょこちょこ動いているのに気づいた。
パンの欠片みたいなものを運んでるアリだ。
そうかそうか…。
アリさんも長い道のりを歩いて食べ物を得てるんだね。
すごい苦労してるんだね。
生きるってすごいよ。
「♪アリさーんアリさーん、おまえはどうしてそんなーはたらーくーのー♪ ♪ふんふーふふーん♪」
ロミオとジュリエットみたいな歌詞の歌を適当に歌う。
もちろん返事はない。
断じて、私が音痴だからとかいうのは違う。
既成品のメロディーだったら普通に歌えてたもんねーっっ
「よし、ちょっとは元気でたかな?」
「そうかい。 それは良かったじゃないか。」
急に隣から声がした。
「あなたは…?」
女の人がすぐ側に腰を下ろしていた。
「おや、覚えてくれてなかったとは傷つくねぇ。」
傷つくとは言いながらもニコニコしている。
確かにどこかで見たことあるような気もする。
「食堂のおばちゃんさ。」
あーっ!!
言われてみれば毎日お世話になってる食堂のおばちゃんだ!!
「これは失礼を!!」
「そのくらい良いさ。 ところで、こんな所で何をしてるんだい? 雑草抜いたり疲れた顔したり歌ったり、忙しそうだったけど。」
い、いつから見られてたんだろ。
変な自作歌も聞かれてたよね…。
「それは、ーーー」
ーーーグー。
この、空気が読めないお腹め!!
「ハッハッハッ」
食道のおばちゃんが豪快に笑う。
「アンタ、まだお昼食べてないんだろ?」
そういえばそうだった!!
ついつい雑草抜きっぽいことに没頭してしまってた。
「今回だけ、ただで作ってあげるから先に食堂来な。」
「ただって良いんすか!?」
「良いさ良いさ。 学校のお金で買った材料とか使うから、アタシの腹は痛まないし。」
いや、ダメでしょっとツッコミたいところだけど……せっかくだし奢ってもらおうかなっ
ご好意を蔑ろに出来ないし!!(建前)
「ありがとうございます! お言葉に甘えます!!」
真面目に頑張ってたら必ず良い事はあるもんだね!!




