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食堂のおばちゃん。+


食堂に着くと、おばちゃんは早速きつねうどんを作ってくれた。


おいしく頂いたあと、どういう経緯で雑草を抜いていたかをひと通り話した。



おばちゃんは肘を付いて何が考える仕草をしている。



「アンタ、都合良く使われたんだろ。」


「うーん。 でも姫って人を利用するタイプじゃないっていうか……むしろ逆っぽいんですよねー。」


「あの娘は基本子供っぽいけど、意外とよく考えて行動してるからねぇ。」


「な、なんか詳しいっすね…。」



姫も食堂を使ってるから、顔見知りだろうとは思ってたけど。


多分それだけじゃなさそうだ。



「アタシは見ての通りお節介だから、姫波の高校時代によく話しかけて半ば強引に相談相手になってたんだ。」


おばちゃんが懐かしそうに目を細める。



お節介に相談相手…?


それってなんか……



「学生時代に姫に何かあったみたいな言い方ですね。」

「あの子にもいろいろあるのさ。」



真剣な眼差しで見つめられる。



「だからアンタにはあの子の支えになってやって欲しい。」

「えっ、私が!?」



なんで私なんだろ…?


嫌とかじゃなくて、私は姫と出会ってそんなに時間が経ってない。


何より、私に誰かの支えになることができるのか心配だ。



「姫波は最近変わってきた。

教師になってからはアタシ以外の周りの誰にも見せなかった素顔を、一組にだけとはいえあんなにも簡単にバラすなんて。」


ちょっと意外だ。


そんなに秘密な事とは思ってなかった。



「でも、その事と私はどう関係があるんですか?」

「美羽、アンタと出会ってからなんだ。

それに最近の姫波といったら、アタシに話すのはアンタのことばかりさ。

それだけ気に入られてるんだろうね。」



マジか!!!


ちょっと照れるやないですかい!!


姫、全然そういう素振り見せないもんっっ




ツンデレか!?



あの娘はツンデレなのか!?



「どうしてそんなに好かれてるかわかるかい?」


「こ、恋?」

「残念!

アンタには絶対わからないことだよ。」



わからない問題は出さないで欲しいです。


切実に。



「アタシはだいたい予想がついてる。

今日実際に会ってますます確実性が増したよ。」


「それって一体ーーー」

「でもこれはアタシが言うべきことじゃないんだ。

もっとも、本人に聞いても教えてくれないだろう。

いずれわかる時は来るさ。」



この話は終わりというように席を立った。



「さてと。 雑草抜かなきゃだめなんだろ?」

「あー、そうです…。」

「さっさと終わらせちゃいな。」



嫌なことを思い出させられた。



でもせっかくの土曜日が潰れるのも嫌だし、さっきの倍の速さでがんばろっかな!!



私も席を立つ。



「今日はありがとうございました!」



するとおばちゃんはイタズラっ子みたいに、ニッと笑ってくれた。



「もしアンタもこれから先に悩むことがあったら、いつでもアタシのところに来たらいいよ。」

「え?」

「アンタのこと気に入った!

相談相手になってあげるよ。」



バチッとウィンクをされる。



「ーーっはい!!」



。。。


「ふう。」


額から流れる汗を拭う。


こんな時に限ってタオル忘れた!!



最悪!!!




だんだん日も傾いて、辺りはオレンジ色に照らされている。



おばちゃんと別れた後、初めの2倍のスピードを出そうと思ったものの体力消耗の問題もあって、まだ3分の1くらい残ってる。





ーーん?




花恋の気配がすぐ近くに来ているのを感じた。



「美羽さん!!!」



走ってきてくれたんだろう、すごい息を切らしている。



「美羽さん、ここにいたんですね。」

「もしかして探してくれてたの?」

「いくら経っても帰ってこないので、気になってしまってつい…。」


上目遣いで遠慮がちに聞いてきた。



「ほわああああああ!!!」

「な、なんですか!?」



超絶的なかわいさで美羽さんのテンションマックス!!!!!



これを萌えと言わずして何を萌と言おうか!!!!



私は今すぐにでも地球の裏側まで飛んで、『花恋たん萌えっ』って叫びたい!!!!!!



「と、ところで、この中庭一帯の雑草を抜けばいいんですよね!!」

「うん、そだよ!」

「残りは私に任せてください!

このくらいの範囲なら能力を使ってすぐ終わります!」

「えっ、でも悪いよ。

私が言いつけられた事だし」



能力を使うのは楽じゃない。


姫は誰にも手伝って貰うなとは言ってないけど、なんだか申し訳なく思ってしまう。



え? キャラじゃない?


私の心はガラスマイハートだよ!!!!



「いいんですよ。

私の側にいても危ないので、美羽さんはそこの木陰でくつろいでいて下さい。」



花恋がまだ処理できてない範囲の真ん中辺りに歩いて行く。


本気でしてくれるみたいだ。


私も少し離れた木陰に移動する。



「ピアンタ。」



花恋の体を緑の光のベールが覆う。


目を伏せて下を向いたその瞬間ーー




ーー砂埃が盛大に舞い上がった。



こっちにも飛んでくる!?



さっと身構える。




「あれ?」



飛んでこない。


ってか、風さえ吹かないってどういうこと?



恐る恐る目を開ける。



雑草地帯の周りに巨大な筒みたいな結界が張られていた。


その中でだけ砂嵐が起こってるみたいだ。



花恋の姿も遮られてるけどあの中に居て大丈夫なのかな?


もし私があの中に放り込まれたら、たちまち境界線の彼方まで飛ばされる気しかしないよっっ



一般人なら…………………ミンチ? ひき肉?


能力者の方が基礎運動能力が高いらしいから。




だんだん威力は弱まってきた。


まだ砂埃は舞ってるものの、花恋っぽいシルエットが見える。


それにしてもこんなにド派手な処理の仕方ってあるんだろうか。



たしかに何をしたのかわからないくらい速かったけどさ。



「終わりましたー!!」



一人考え込んでいる間に終わったようだ。


 

「ありがと………ファッ!?」



結界は解かれていた。




まず目に入ったのは花恋の後ろにそびえ立つ人の山ならぬ草の山。



多分あれ、抜いてくれた雑草達の残骸だ。




そして『良い汗かいたー!』とでもアフレコ出来そうなくらい清々しい笑顔。


あんな中にいたのに無傷だ。


しかもどこも汚れてない。



自分の周りにも結界を張ってたのかな。



「お疲れ様!!」



とりあえず近付いていった。



「ありがと!! すんごい助かったよっっ。

教えてほしいんだけど、どうやったの?」



花恋の後ろの山に視線を向ける。



「あっ、これですか?  実は私、自分で植物を産み出すこともできますが、もともと生息しているものも操る事が出来るんです。」


「つまり、植物系なら大抵は操れるってこと?」


「はい。

天然植物はなかなか言う事を聞いてくれない場合もありますが。」 



言う事を聞いてくれないってまるで犬とか猫とかペットみたいだ。


植物を操る側の人にとっては、動物にしつけをするのと同じ感覚なんだろうか。



「それで、草たちに根本ごと抜けるようにお願いしたんです。

勢いがありすぎて、少し大袈裟になってしまいましたが。」



やっぱすごいなぁ。



尊敬の眼差しを向けながら寮に向かって歩き出す。



「あ、今から私の部屋に来ますか?」



何でもない顔でさらっとのたまった。


今までの経験上、『そういう』意味ではないんだろうけど濡れーーーゲフンゲフン。



最近風邪が流行ってるらしいからみんな気をつけてねー☆



初期症状は『妄想中に突如現れて胸の高鳴りを鎮圧する』だよ!!!



便利な状態異常だよっっ



「部屋でナニするの?」

「ヒーリング効果のあるハーブティをお出ししますよ。」


「ハーブティかー。 

あんまり飲んだこと無いな。」


「腕を振るいますから、味の心配はご無用ですよ!」



やたらと気合を入れてくれている。


珍しく自信満々だ。



「楽しみにしてるねっ!!」


満面の笑みで返す。



「は、はい…。」



夕焼けのせいか顔がほんのり赤くなってる。


脳内美少女フォルダにきっちり焼き付けた。



「あ、その前に!」


花恋は立ち止まると振り返った。


「あれを片付けないとですね。」



視線の先には、疲れきった私達をあざ笑うかのようにそびえ立つ雑草の山。



あやつ、まだ残ってたのか。


自分で歩いて焼却所まで行ってよ!!!



「もうひと頑張りしますかー。」






リラックスタイムまでの道のりはまだまだ長い。




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