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ミリア VS サモウラ

「もう半分経ちましたか。それでは、もう一段階ギアを上げさせてもらいましょう」



シュタタタタタタタタッ ──────── 。


《ムッ…速い…》


シュンッ ─── シュンッ ─── シュンッ ─── 。



「先ほどまでの僕とはひと味違いますよ」



その言葉通りこれまでよりもさらに速度を上げてサモウラへと襲いかかるマクスウェル。

ただ移動速度が上がっただけではなく、繰り出される剣技のキレも上がっており、それによって虚を突かれた形となったサモウラは一気に後手に回ることになる。


キンッ、キンッ、キンッ、キンッ。



「クッ…ちょこまかちょこまかと、本当に鬱陶しいわね」



キンッ、キンッ、キンッ、キンッ、キンッ。



「ですが、まぁ〜恐れるほどのものではありませんね」



シュンッ ─── シュンッ ─── ドゴッ!!



「グフッ!?」


明らかに攻勢に出ていたはずのマクスウェルの腹部に強烈な蹴りが突き刺さる。

自身の勢いにプラスして踏み込んだところを上手くタイミングを合わされたことによって、より一層深く重い一撃を受けることとなった。



「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ」


「マクスウェル君!!」


「今のはモロに喰らっちゃったっすね」


「ホントバカね。あんな見え見えのフェイントが何度も通用するわけないじゃない」



ミリアの口から厳しい言葉が飛び出すが、結果からみればまさにその通りである。

もし、ここに師匠であるミロクがいたならば、間違いなく頭を小突かれ、雷を落とされていただろう。

そもそも相手が同じヒト族であったならば、さらに押し込むことができたかもしれない。

しかし、今相対しているのは彼よりも身体能力に優れた種族である。

さらにいうと、そんな魔族の中にあってサモウラは戦闘に特化した者であり、彼女にとって少しスピードが上がったところでヒト族はヒト族。

それに慣れるまでに十秒とかからなかった。



「もうおしまいですか?本当にヒト族というものは・・・興が醒めてしまいました。そろそろ終わらせましょう」



すると、ここまでマクスウェルの戦い方に合わせていたサモウラが実力の片鱗をみせ始める。

それまで右手に持つスピア一本で戦っていたサモウラであったが、彼女が魔力を込めると同時に左手全ての爪がスピアの半分くらいの長さまで伸び、鋭利な凶器へと変貌を遂げたのだった。


ヒュンヒュンッ ──────── 。


グラッ…グラグラッ ───── ドシーーーン。


新たな武器を試すように近くにあった木をまるで豆腐でも切るかのように容易く斬り倒すサモウラ。

魔力によって強化されているのか、明らかにただ爪が長くなっただけではない。

それどころか、その鋭さはそこらの店に売っている剣と比べても圧倒的な切れ味をしていたのだった。

そして、そこから一気に形勢が逆転する。



「それでは、参りましょう」



タッタッタッ…シュンッ。


ギンッ!!



「グググググッ…。はっ…速い…」


「フフフッ。まだまだいきますよ」



ヒュンヒュン ───── ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン。


ギンッギンッ ───── ブシュッ、キンッキンッ、ブシュッ、ギンッ。


二刀流と化したサモウラの激しい連撃を軽い傷を負いながらもなんとか剣一本で防ぎ続けるマクスウェル。

しかし、外から戦いを見守っている仲間たちからしても防戦一方となっているのは一目瞭然であり、そこから攻撃に転ずるのは困難であるように思えた。

そして ───────── 。


ググッ…グググググッ。



「何か…くるわね」



ミリアの言葉を聞いてスズネたちは息を呑む。

それもそのはず、その時サモウラは両腕をクロスさせた状態で右手に持つスピアと左手の爪に黒い魔力を纏わせていたのだった。

その姿はまさにスズネたちが歴史書などで目にしてきた魔族そのものであった。



「貴様らヒト族ごときには過ぎた技だが、我々魔族との圧倒的な差をみせてやろう。とくと味わうがいい ───── 『魔双牙(まそうが)』!!」



クロスされた黒い斬撃がマクスウェルに襲いかかる。

それに対してマクスウェルもまた真っ向勝負で受けて立ち、正面から斬撃に斬りかかるのであった。



「ウオォォォォォ」



ギリギリギリギリ ──────── 。



「クッ…クッソォ・・・」



ガキィーーーンッ ─────── ドーーーーーンッ!!



「グハッ」



ピピピピ…ピピピピ。


自身に襲いかかろうとする強力な一撃に対して全力で振り下ろしたマクスウェルの剣は、その威力を受け止めることができずに弾かれてしまい、それと同時に彼自身の身体もまた大きく弾き飛ばされてしまったのだった。

そして、仲間たちがその光景を目にした瞬間に、彼に与えられた時間が終わりを迎えたことが告げられるのであった。




─────────────────────────



「ハァーーー。待ち侘びたわ。やっとアタシの番ね!」


「フンッ。誰が出てこようが同じこと。あなたもあの男と同じ運命を歩ませてあげましょう」


「アハハハハ。アタシはアイツみたいに甘くないわよ。最初っから全力でいかせてもらうわ」



スーーーッ ───────── 。


鞘から抜かれた炎帝の剣。

その刀身をミリアがなぞると、みるみるうちに刀身が紅く染め上げられていく。

そして、剣から溢れ出した炎がミリアの周囲をまるで生きているかのように舞い踊る。


ブウォウ、ブウォウ、ブウォウ。



「あれって…熱くないんすかね?」


「ほ…本人の表情を見る限りそういったことはなさそうですね」


「ミリア凄い!炎まで操ってるのかな?」



初めて目にするミリアの新たな戦闘フォームに仲間たちは驚きの声を上げる。

そして、そこからその姿が見せかけではないということを戦いを通して見せつけられることになる。



「いくわよ〜」



ドンッ!!



「なっ!?」



開始と同時に一足飛びでサモウラの懐へと入り込んだミリア。

そのあまりのスピードに驚くサモウラであったが、そのような些末なことなど一瞬で忘れてしまうほどの猛攻が始まる。


キンッ、キンッ ───── ブウォウ、ブウォウ ───── 。


キンッ、キンッ ───── ブウォウ、ブウォウ ───── 。


《クッ…なんですかこれは。剣の範囲外からまるで炎が意思を持っているかのように襲いかかってくる》


ヒュンッ、ヒュンッ ───── ブウォウ、ブウォウ ───── 。


ヒュンッ、ヒュンッ ───── ブウォウ、ブウォウ ───── 。


戦闘の開始と同時にフルスロットルで一気にサモウラを攻め立てるミリア。

そして、剣と炎の両方を操りながら戦うミリアの戦闘スタイルにサモウラは苦戦することに。

素早く切れ味鋭い剣技とその周囲を不規則に舞う炎によって攻守両面で隙の無いミリアの前に攻め手を見出すことができず、サモウラは困惑の表情を浮かべる。



「ヒト族ごときが…調子に乗るんじゃないわ。お前もその鬱陶しい炎もまとめてぶっ飛ばしてあげましょう。喰らいなさい ───── 魔双牙!!」



ビュンッ ──────── 。


ブウォウ、ブウォウ、ブウォウ ────── ガガッ…ガガガガガッ。



「なっ…なんですって!?」


「凄い、凄い、凄い!!」


「マジでヤバイっすね。あの炎は反則っすよ!」


「ほ…本当に生きているみたいですね」


「・・・・・」



つい先ほどマクスウェルを弾き飛ばした剣技『魔双牙』。

その強力な一撃をもってしても周囲を舞う炎を越えることは難しく、ミリア本人を捕えることができない。

そんな光景を目の当たりにしてスズネたちは感嘆の声を漏らすのであったが、ただ一人マクスウェルだけは何とも言えない表情をしながら無言で戦局を見守っていた。

しかし、今のミリアにとってそんなものはどうでもいいこと。

ただ目の前の敵を討ち倒す ───── そのことしか考えていない。

そして、魔双牙を止められて動揺を隠せずにいたサモウラに対してさらなる猛攻を仕掛ける。



「アンタ何を驚いてんのよ。アタシの実力をこんなもんだと思われたら心外よ!それをこれから見せてあげる」


「クッ…調子に乗るんじゃないわよ。その減らず口を黙らせてあげるわ」


「ハハハ。減らず口かどうか試してみれば?」



ブウォウ、ブウォウ、ブウォウ ──────── 。


そこからミリアは剣技『炎舞(えんぶ)』『炎転(えんてん)』と立て続けに繰り出し、防戦一方となっていたサモウラをさらに追い詰めていく。

そして、極めつけに周囲を舞っていた炎を全て刀身へと収縮させ、敵の頭上より一気に打ち下ろす剣技『炎天下(えんてんか)』を見舞う。


シューーーッ。



「あれ?炎が剣に収まっていくっすよ」


「あらあら、もう燃料切れかしら?私はまだまだやれますよ」



ダダダダダッ ─────── タンッ。



「はぁ?アタシがこの程度でへばるわけないでしょ。今のアタシが出せるとっておきよ!受け取りなさい ───── 炎天下!!」



ガンッ ─── ギリッ…ギリギリギリッ ───── ピキッ…バキーーーン。



「ま…まさか・・・」



ブシューーーッ ──────── ポタッ…ポタッ…ポタッ…。



その結果、強化されたサモウラの左手の爪が綺麗に切断され、さらに左腕に大きな傷を受けることに。

そして、ぶらりと垂れ下がった彼女の左腕からポタポタと血が流れ落ちる。

それでもなお戦いを続けようとするサモウラであったが、ここであの男が戦いを止める。



「そこまでにしておけ」



!?!?!?!?!?


声の主は、クロノであった。



「ちょっと邪魔しないでよ!アタシも良い感じにエンジンがかかってきたところなのよ」


「時間だ」



ピピピピ…ピピピピ。


その時、戦いの終了を告げるタイマーの音が鳴り響く。

こうなってしまったらさすがにミリアも何も言えない。


スーーーッ ───── キンッ。


まだまだ戦い足りないと不満を口にしながらも、渋々剣を鞘へと戻し戦いを止めるミリア。

一方のサモウラもまだ全力を出していないのか、クロノの言葉に食い下がる。



「お待ちください、クロノ様。私はまだ戦えます。本気を出せばこんな小娘など瞬殺してご覧にいれます」


「ハァ〜・・・。俺は、止めろと言ったんだ。聞こえなかったのか?それから、あのまま続けていればお前もただでは済まんぞ。アイツはお前が考えているよりも弱くはない。それよりも黙って腕の治療でもやってろ」


「はい…申し訳ございません」



静かに戦いの終焉を告げるクロノの言葉に肩を落とすサモウラ。

悔しい結果となったが、他ならぬクロノに戦いを止められては続けるわけにもいかない。

そうして彼女もまたミリアに続いてスピアを鞘に収めるのであった。





最後までお読み頂きありがとうございます。

初めての魔族との戦いにおいてサモウラを圧倒してみせたミリア。

その強さはまだ先がありそうですね。


そして、あえて彼女たちの戦いを終わらせたクロノ。

無言でミリアの戦いを見守ったマクスウェル。

彼らは今いったい何を思うのか ────── 。


次回『秘剣』

お楽しみに♪♪


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