2話
ちゅんちゅんという小鳥のさえずりが聞こえ、目を開ける。
辺りを見渡すと森林のようだ。
頭が痛い。すごく痛い。多分、ふぁのせいだろう。美女巨乳ならなんでもしていいのか。
いいえ、僕はそうは思わないです。本当に叫びすぎました。えぇ。
憤りを抑え、都を目指し歩く。
森林を抜け、壁が見えてくる。門兵が2人、眠そうな目をこすりながら立ち尽くしている。
「カードをお見せください」
先ほど配られたカードが入場券のような役割を果たしている。
「SSS 英雄の杖!?!?!?英雄様!!!どうかボスを倒してください!!!」
眠そうだった門兵の全ての穴という穴が開いたような驚きぶりで嬉しくなる。
「任せてください、すぐにたどり着いてみせますよ」キラッ
魔力0なんて言えない…
英雄様って言われ続けたい…
なんて情けないプライドなのでしょう。
僕は英雄顔をし、颯爽と門兵を後にする。
これでSSSが出たという噂がこの都を駆け抜けるだろう。
「こんちくしょーーーーー!!!雑魚なのがバレちゃうでしょーがーー!!!」
ほんとに情緒不安定なようです。
王都「カイン」
ここに100階層に続く入口がある。
城への道中には屋台が並んでおり、様々な種族が声を出し合っている。
イカ焼き、ホルモン焼き、串焼き、ジュルッ
おっといけない。
僕は所持金がないのでガムですら買うことができない。
「世の中は金なのですか?」と屋台のおっちゃんに詰め寄ろうか考えたが、より惨めになるのが確定していたのでやめた。
当然のことである。
「まずは金、1階層へと潜り、敵を仕留め金を稼ぐんじゃ~」ドブのような思考を持ち、ノリオは階段を下っていく。
1階層
薄暗い階段を抜け、大きな空間に出る。以前自分が到着した1階層とは大きく違ってみえる。
空間の中心には宝箱があった。
「なんこれ、こわ」
ノリオの顔が男梅のようになる。
それでも、この男の判断は早かった。変な汁が飛んできても大丈夫なように極度の細目で腕を最大限伸ばし、ギギギと宝箱を開ける。
なにも無かったようだ…
「おちょくっとんのか~~~~~!!!!!!」宝箱に向かって叫ぶが効果は無い。
シーンとした空間に先ほどの発言がコダマし、なんとも言えない気持ちになる。
周りには誰もいないがトホホ顔を悟られぬよう、ノリオは先へ進む。空間の端っこには扉があり、この先になにやら気配を感じる。
ノリオは使えもしない杖を手に取る。緊張で手汗が滴り落ちる。ババンッと扉を開けると同時に叫んだ
「エンブレム・フレアーーーーー!!!!!!」
…………
人がいたんだ。それも2人。若い女性だったんだ。
「人生は、上手くいかぬよ、そうそうに」ノリオ
脳が俳句を完成させていた。
できると思ったんだ、魔力が無くても
配信者はやっていたんだ、この技を
お互いの空気間が地獄のようになり、先に動いたのは女性陣。
「すみません、先に行きますね、後5分くらいしたら敵が沸くと思うので、頑張ってください、ははは」
右にいた金髪の女が呪文のような早口で僕にそう言い残し、足早に去っていった。
雨に打たれたかのような顔で待つこと5分
ヌポッヌポッとスライムが沸き始めた。
「全てを失ったんだ。怖くないよ~、ははっ」独り言である。
そこからの記憶はもうあまりない。
笑いながら、回転しながら、ぶよぶよの感触を液体にしていく作業。
「きっもいいいい~~~~」笑っているのか泣いているのか分からないノリオがそこにはいた。
攻撃をやめ、止まった時には綺麗な虹がかかっていた。
プレイヤーレベルが上がりました。1→4
電子的なアナウンスと共にステータスが更新される
HP30→36
攻撃力3→6
防御力2→4
剣力2→2
魔力0→0
「おーまいがーーーーー」
「魔力が0のままなんかーーい」
スライムの液体を瓶に入れ、ノリオはとぼとぼ帰路につく。
先に進んでしまうと彼女たちに会ってしまうから。




