3話 2階層
「こちらのスライム液のお値段3500ボンですね~」
受付の若いねーちゃんが僕に微笑みかけてくる。
3500ボンあれば7泊と飯は確保できる。少しの間、寝床の心配をせず生きられるので、ノリオは心底安心していた。
バタンッ
宿に到着し、固めのベッドにダイブする。天を仰ぐと、どっと不安が押しよせてきた。
杖しかない状態で魔力はない。この状態でやっていけるのか。SSSを引き当てた者としての責任…
既に王都の掲示板では特報として回覧されているようだ。
「SSSアイテム取得者現る!4人目であり、100階層攻略に期待!?」
・門兵インタビューコーナー
「SSSランクを始めて見たんですけどオーラから違いましたね~、俺に任せろって言ってくれましたし」
目元が黒色で隠されているが間違いなくあいつだ。
「なんでこんな街角インタビューみたいなことしてんだよ…」
自分の発言を心底悔やんでしまう。
「こうしちゃいられねえ!」
少しでも魔力を得る為の情報が欲しかった為、ノリオは図書館に向かった。
魔力増大本
魔力とは
サルでも分かる魔力の仕組み
もう何冊読んだろう。一日中図書館に籠り、23時になると司書につまみ出される生活を7日間送った。
一度スイッチが入ると自分でも止められなくなる性分である。
昨日で宿代が無くなっており、空腹度合いも増していくばかり、ノリオは窮地に立たされていた。
数日間の主な成果としてはこうだ。
魔力はプレイヤーレベルを上げることで上がるのが一般的である。
しかし、敵を倒し極まれにドロップする球体を飲むことで魔力を上げられることが判明した。
今のところ発見されているのは7階層にいるダンジャナグラを倒すこと。
「7階層にこんな敵がいたか!?」
ノリオは半信半疑になりながらも7階層目指して、歩み始めた。
2階層
女性トラウマを背負っていた1階層を超えて、2階層に到着した。
「一本道?」
先ほどとは打って変わって、ノリオが両手を広げたくらいの幅の道が永遠と続いているようである。
すぐ後ろからグロングロンと嫌な音が聞こえる。
壁、迫る
「なんじゃこれはーーーーー」
走る、とにかく走る
ノリオは風のように走った。
「押しつぶされてしんでしまう~~~」
なんとも情けの無い声で発狂しながらも足は凄まじい回転数を維持している。
ドドンッガガガ
壁が元の場所へと戻っていく。迫りくる壁からなんとか逃げ切り、ノリオはカニのような白い泡をふいていた。
「ぜえぜえぜえ、死んでしまう」
束の間、ノリオの前に敵の影が伸びる。
「今くるなよ~、ゴブリンさんよ~!!!」
ゴブリンは右手にこん棒を持っており、「グオグオグオーーー!」とけたたましい声で殴りかかってくる。
いつもなら軽くいなせるが、なんたって今は生まれたての小鹿のように足をプルプルさせている。
「だれじゃーーーこんなに走らせたやつはーーー!!!!!!」
文句を言いながらもゴブリンに馬乗りにされ、よだれがノリオの鼻にかかる
「くっさーーーーー!!!!!!」
「耐えられません!ぶちのめします!!!」
鼻がひんまがっていたため口で空気を吸い込み、「おっりゃーーー」とゴブリンの鼻にからしをぶち入れる。
「なぜからしを持っていたのかって?
ははは、からしは持ち歩くものなのさ♡」
ゴブリンが今まで聞いたこと無いような声で泣き喚いている。
「ビックチャーンス!!!!」
飛び蹴りし、杖で高校球児もびっくりのフルスイング。チェックメイト。
杖使いでこんなに杖を有効活用できていないやつはいないだろう。
プレイヤーレベルが上がりました。4→7
HP36→39
攻撃力6→9
防御力4→6
剣力2→2
魔力0→0
最早、魔力0に反応すらしない自分がいたのに驚いた。鼻が臭すぎるせいか。
ゴブリンを手持ちボックスに入れてる最中、3階層に繋がる扉が開く。
「ほんとに鼻が終わってるので除菌シートくださーい!!!」
叫びながらノリオは3階層へ向かっていく。




