悪い夢だと思って忘れるように➁
「は?俺達の部屋、こんなに大きくていいのかよ?いままでの4倍はあるぞ。他の兵舎と同じくらいの大きさなのに、こんな部屋で人数分が入り切るかよ?」
と4人部屋、兵隊用の部屋、二段ベットが二つに椅子、机その他の家具か最低限とはいえ、ベッドは大きく、全てが豪華、綺麗としか言いようがないし、何か部屋の空気すらも芳しいほどに感じられるのを、入った兵隊の一人だ叫んだ。
「今さら驚くことか?」
「さっき、風呂場で体験しただろう、散々。」
「もう隊長殿のスキルには驚かされるよ。」
どの兵舎にも風呂場はある、何グループにも分かれて順番にはいるのであるが、それでも狭い、そしてもちろん粗末で汚い。
が、ここでは全員で入れときた。
「馬っ鹿じゃないか?」
「まあまあ、あの隊長さんのことだ、なんかあるかもしれないから、黙って行ってみようぜ。」
「しかたないなあ。」
と言ってぞろぞろ風呂場に、隊員たちは足を運んだ。そこには、真新しい、そして豪華としか言えないドアに風呂場と書いた札があるが、その大きさは今までいた兵舎と同じ大きさだった。
「そうだよな。」
「とにかく入って見るか?」
「隊長殿に文句を言ってくる。」
と言っているうちに、先に入った入った兵隊の叫び声が響いた。
「な、なんだー、これは。」
驚いて続けて入って行くと、このままはいったら詰まる、押し競まんじゅうになっちまうと思ったが、そうはならなかった。そこは、隊員全員でもはるかに余裕のある脱衣室だった。
「は?」
と全員が思っているうちに、
「ひゃ―!」
とさらに叫び声が、ドアの向こう、多分浴場からのだろうと、慌てて入ると、そこには退院全員が入っても余裕がいっぱいの浴槽に湯が道て湯気が立ち昇り、洗い場も同様に余裕だった。しかも、汚いどころではなく、豪華としかいえないものだった。
「お、おい・・・この風呂、兵舎の中にあるんだよな?」
「多分・・・。」
脱衣所も含めると、兵舎の一階をはるかに上回る大きさとしか思えなかった。
「それから・・・なんで明るいんだ?こんなに?」
ようやく気が付いたが、もう夜であるのに、昼間のように明るい。
「いや、今頃だが・・・廊下もそこそこ明るかったよな。」
と呆然としている面々の後ろから、
「早く入って体を洗って、湯に浸かってから体を温めて、ほぐして、早く寝ろ。」
と大きな声がした。隊長の声だと分かった。
「わかりました。」
と一斉に軍部んを脱ぎ、風呂に突撃していったのである。
翌朝、食堂での朝食は侍女達に給仕してもらう、そして食事の内容も朝食としては豪華な内容だった。
その食事の前に小隊長の訓示は、
「言っておく。私のスキルは私の家のみで発動する。他の場所では発動されない。私の家にだけ、一か所でしか発動されない。かりそめの家ではだめだ。他の場所で発動されれば、ここでのスキルの効果はなくなる。だから、演習、行軍、戦場では今までと同様だ。ここに帰ることを楽しみにして一層頑張ってほしい。まあ、それは私も同様だがな。では、食事だ。」
だった。
そして、一斉に食事がはじまるのであったが、彼は横を向いて、
「殿下方。来るのはいいですが、ちゃんと自分の部隊の兵舎に戻ってくださいよ。自分の部下達に示しがつかないでしょう?」
と彼は渋い顔で窘めた。
「つれないことをいうなよ。王立学園時代からのことだろう?」
「兵舎はむさくるしいし・・・。」
「分かったているわよ。みんなも今日から自分の兵舎よ。週末には、彼の部屋に集結ということにしましょう。」
「次の週末までがまんか・・・。辛いがしかたがないか。」
「ちょっと勝手に決めないで下さいよ。」
とサーケはため息をついたが、しかたがないなあ、という顔になっていた。彼らが彼の部屋に入り浸ったのは、王立学園、士官学校を通じてのことだったからだ。
「まあ、それもこれで終わりですからね。」
と彼は少し寂しそうにつぶやいた。
ちなみに彼の部屋は、執務室につながっているのであるが、豪華なその部屋からドアを開けて入ると専用のかなり大きい浴室、応接間、書斎、寝室、客用寝室、食堂などがあり、やはり兵舎の一階分はある者だった。
無尽蔵にでてくるような食事なとは確かに最初一回もちこんだ事実はあるが、その後3年間新たに持ち込まれたことはなかった。それも含めたあらゆる経費は、全て新兵舎建設用予算の補助となるものとして蓄えられることになっていた。彼が、連隊長に願い出たのである。半信半疑の連隊長だが、それが現実のものとなっては驚くしかなかったし、もう何をかいわんやだった。
そして、3年間が過ぎた。彼の小隊はおおむね士気も高く、よい成績を残した。彼は、実家を継ぐ、と普通ではそうなるのだが、少し違う形になるものの、除隊することになった。
その彼のための、彼次子が開いた宴で、彼はこの兵舎がアス彼が去ると共に元の木阿弥になると宣言したのである。




