聖樹を求めてきたエルフの女王
盗賊団を壊滅させた後、全員を殺したわけではない捕虜にもしていたので、その連中から彼らの本拠地を聞き出し、なかなか吐こうとしなかったので、
「ちょっと優しく説得しようかしら?どお?」
「死なない程度に優すれば、話してくれるわ。」
と勇者と魔王が手ぐすね引いて後ろに立つので、サーケは魔樹と聖樹からの公僕に火を灯して、その煙を捕虜達に嗅がせた。この香木は、嗅がせる者に安らぎ、癒し、回復、除霊、呪い等の解除等の効果をあげるものとは異なる処置をしたもので、捕虜達はためらうことなく彼の求めに快く応じてくれた。
本来の拠点はかなり離れているが、この地方で暴れまわるためには、臨時というか出張所的というかの拠点も作っていた。どちらも大した人数は残していないとのことだった。それで、本来の本拠地については、地方知事に情報を提供し、近い拠点を周辺の領主達も誘って攻撃をかけた。詳しい状況を把握していたし、魔王と勇者の魔法の先制の魔法攻撃の一撃で、半数が動けなくなり、残りは戦意喪失で戸津に悠した義勇兵や他の領主の家臣達にあっさり命乞いして降伏した。
そこの倉庫にあったものは、被害者に返還するため地方知事に提出することになるが、盗賊たち個人が持っていたものなどは戦利品として分配、生死とわず賞金首の賞金は各部隊に分配となった。サーケの方は、使者は出ていなかった、負傷者への手当、参加した騎士、義勇兵、自警団への報酬、協力した領主達への慰労会などを分配してから、自分の領内の財政にいれた。彼自身と必要経費以外は受け取らず、逆に被害民には自分のポケットマネーから見舞金を贈ったり、討伐で活躍した者たちへの慰労金も同様だった。
あと賞金首の賞金は、倒した者にということにしたので、深手を負わせた、追いつめたのに止めは別人という場合は止めを刺した者と2人で分け合うことにした、大半がラベンダとハマナのものとなった。額が多くなり過ぎたので、2人は1/3をとり、半分を仲間達との戦勝会の費用にだし、残りをサーケに渡した。彼は、これを快く受け取った。それなりに現金も必要だったし、手持ちが少し危ないかもというところになっていたからだった。
「本家まで、盗賊団退治の武勇談は伝わっているわよ。多分、王都にもよ。王子様達が、それを口実にご馳走になりに来るんじゃないかしら?」
と言いながら出された茶を飲みながら、菓子も頬張っている妹だった。
「それでお前が先手を取って、ご馳走になりに来たと言うわけか?」
「失礼ね、可愛い妹に対して。ちゃんと父上、母上に頼まれたのよ。様子を見てくるようにって。特に、どんな嫁達かを、ってね。大体、突然どこかの国の勇者様と魔王様と結婚しました、と連絡をよこして・・・大変だったんだからね。」
と言って、彼の両脇に座る2人を疑わしそうに見た。
「まあ、それは悪かったよ。色々と行きがかりの事情もあったし、それに・・・辺境で1人身は辛いし、領主夫人がいないといろいろと不都合だし…下手をすると弟の元婚約者を押し付けられかねないからな。俺はあいつは好みじゃないんだよ。」
最後の言葉は、半ば冗談だった。自分の婚約者が、次期当主となった異母弟の婚約者となり、割を食った彼女が自分の相手に回って来るかもしれないと言うことだったのだが、妹が視線を微妙にずらしたのに気がついた。
「話が勝手に進んでいたのか?好みではないと言ったが・・・俺はあいつが嫌いだぞ。」
「私も嫌いよ。まあ、兄上の結婚で、立ち消えになったんだからいいじゃない?」
うんうん、兄妹で頷きあっているのを、ラベンダとハマナが怪訝そうな視線を向ける。
「ところで、お義姉様方が兄様のご趣味というわけね。」
と再び厳しく査定する視線を2人に向けた。
「兄様のご趣味もなかなかいいんだな、と安心しましたわ。少なくとも、あの糞元婚約者よりずっといいわよ。その上、勇者様と魔王様ですもの、頼りになりますもの。」
親切な言い方だが、2人には合格点をだしたわけである。
「もうすぐやっぱりお前のお義姉様になる女だろう?ちょっと失礼じゃないか?まあ、2人と比べるとかなり落ちるのは確かだが。」
チラッとと2人を見てから彼は言った。
「兄様の方が失礼じゃない?まあ、奥様方の前だからやむを無得ないでしょうけど。」
「全く…相変わらずだ。」
と二人は笑い出した。
「主様。お客様がお出でになりました。」
侍女が、元悪霊のである、伝えてきた。
「予定はなかったはずだが。」
とサーケが首をひねると、
「約束はない方です。追い返されますか?」
おいおい、と思ったかれだった。まだ、教育が完全ではなくとんでもない言葉がでてくる。
「まず、どういう方々だ?」
「ハイエルフです。当人は、ハイエルフの女王とその従者達と言っています。人数は30人ほどです。全員武装していますし、戦う気満々のように感じます。」
「は?」
とさすがにちょっと考えた。
「一人、女王様だけを・・・とはいかないか・・・。」
と呟いて、勇者ハマナと魔王ラベンダの方を見た。
「女王と3その他30人全員でもいいわよ。」
「隠れている連中も入らせてもいいのではないかしら?」
「その方が手ごたえがありそうね。100人くらいじゃないと手ごたえがないかもね。」
「まあ、200人なら余裕だと思うわよ。それ以上では入ってもらったら?」
「201人なら余裕と言ってほしいわね。」
と妹まで参戦してきた。
「お前は何時から武闘派になったんだ?ああ、女王様と5人で入れて差し上げてくれ。それなら会います、と伝えてくれ。」
「はい。」
と侍女が引き下がった後、残念そう、不満そうな3人に向って、
「まあ、精鋭を絞るということになるだろうし、残りの25人が周囲に潜んでいるかもしれない連中が押し入ろうとしたら瞬殺してくれ。見えない壁は大してものじゃないから簡単に突っ込んでこられるからな。」
と慰めるように説明すると、
「まあ、そういうことなら了解ということにするわ。」
「じゃあ、さっそく隠れている連中を探しましょう。」
「は~い。」




