楽園の日常
「でも、やっぱりとんでもないわね。」
小麦だ、大麦だ、裸麦、燕麦だ、と刈り取っているラベンダが声を上げた。
「全くよね。時期もめちゃくちゃで、狭い所に育っているだけでなく、毎日雌雄格ができるんだから。」
こちらは、水稲、陸稲、ヒエ、アワを収穫しているハマナが応じた。
狭い区画の家庭菜園のような場所に本当に色々なものが育っていた。穀類も芋類も豆類野菜も果物も、季節に関係なく、そして刈り取っても次の日には収穫できるようになっている。少し離れた果樹園では、毎日これまた季節に関係なく、収穫ができた。聖樹、魔樹もそうだ。
「でもさ、これを収穫しなくても倉庫や樽、甕から次々出て来るんじゃない?こういう収穫そのものも必要ないんじゃない?」
とラベンダがちょっと苦情を言う様に言った。
「体を動かして、暇つぶしができていいんだけどね。」
と付け足してはいたが。
「まあ、それを言えば料理も必要ないんだけどね。不思議な楽園よね。これはこれで楽しいけどね。」
例えば、米は収穫して脱穀して、精米にして、倉庫のコメのタンクに入れるが、毎日の収穫量以上に消費されても、タンクは減らないのである。米もムギも果樹も、酒造りの行程にいれる。本当にこれでけ出来るのかというくらい簡単にその日のうちにできてしまう。
小麦などを捏ねてパンを焼くし、色々と料理を作る。そういう食品も作る以上に出て行っても倉庫は満タンである。
調味料も肉も魚も同様である。岩山に流れる小川、どこに水源があるのか分からないが、そこから色々な魚が釣れる、簡単にだ。本来海にいるものすら釣れる。牛にしろ、羊にしろ、山羊、野獣の類もとせころか神獣、魔獣の類までやってきては、解体して下さいという風にふらっとやってきて倒れて死んでしまうのである。それを解体して、部位ごとに倉庫にいれるのである。卵も色々な取りが来て、産み落としていくのである。そこはいい。だが、その量以上に出て行くのである。料理してものも、出て行く方が多い。
ちなみに倉庫は、岩山にある洞窟の一つである。中に入ると、幾つも物品ごとの小部屋のある広い、どのくらい大きな洞窟なんだと思わせる程の大きさがある。
「まあ、損かな責めないでくれるかな?私もよくは分からないんだよ。こうなる、どのくらいが許容量かくらいは、ある程度わかるんだけど・・・。まあ、私の趣味や感覚が関係していると思うよ。」
とサーケが釣った魚を何匹もかついで現れて弁解した。
「別に文句は言っていないわよ。」
「これはこれで楽しんでいるんだから。」
と彼女達は笑って言った。実際、今までにない、今までの悩みから離れた、この生活を楽しんでいた。
「それなら安心したよ。もう少ししたら、お茶にしよう。」
「美味しいお茶ね。」
「いつもそうだけど。」
「聖樹と魔樹の葉を、茶の葉と混ぜて発酵させたものだよ。」
とサーケはいうのであるが、実際そうではあるのではあるが、3人の目の前にあるポットから、一度は確かに湯と茶葉を入れたものの、大して大きくないポットには入りきらない量を3人で飲んでいた。
それでいて、皿にだされた聖樹の実は、ある分を食べると皿は空になるのである。
「これも美味しいわよね。」
「元気になるし・・・なんかお肌の調子もいいのよね。」
「そう言えばそうね。瑞々しいくなったような・・・。旦那様が喜ぶように楽園が・・・かな?」
「旦那様に愛されているせいもあるとおもうけど。」
と言っていると、侍女が、
「お代わりをお持ちしました。」
と新しい皿を置いていく。その貸しは倉庫にある量よりも多くでてくるのではある。
侍女は、悪霊だったのだが、みな美人としか言えない容姿である。
「ここに来てから侍女とは?ずっと何もしないで、とは思えないほど性欲をお持ちですけど。」
「結構私達と同じようなタイプだし、これも楽園スキルのせいかしら?それでどうなの?」
と半ば本気で2人して見つめてきたので、彼も、
「それを言う前に、君達の旦那や恋人、愛人さん達と、その頃はどうしていたか、詳しく教えてほしいね。」
とサーケに反撃されると、
「まあ、殿方のそれには寛大な心で受け入れましょうか?」
「そうよね。殿方は仕方がないですよね。わかってますわ。」
と自分達のことは、大きくはぐらかせた。
「そう言ってくれると嬉しいよ。ところで、領内での結婚式のことだけど。」
「え?」
と2人の目が輝いた。
「正式な結婚は一夫一婦だ。二人と正式には結婚は、教会は認められない、と言われた。」
「それなら私が本妻でしょう?当然。」
「人間である私が本妻ではないのかしら?」
と2人は少し睨みあってね火花を散らした。
「それが、神父様もなかなか悪知恵を働かせてくれてね。私の属する再洗礼派教会は柔軟だからね。人間の女性の妻、魔族の女性の妻で、人間側、魔族側でそれぞれ一夫一婦だと屁理屈をつけてくれた。」
「私が正妻ということでいいと思うけど。。。まあいいわよ。」
「深部様もワルよね。余計な知恵をだしちゃって・・・了解します。」
と言って、今度は2人で笑い合った。




