↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鋼鉄の血 ― 異世界のWar Thunder ―  作者: PGGG1214
第2部:Velindiaの地における対決
18/20

14: 外伝:Velindiaにおける物価と通貨

ここまで長い間、待っていてくださった皆さん、本当にありがとうございます。


このアマチュア作品は、相変わらず仕事のほうも忙しい中で、少しずつ完成へ向けて頑張っています。


今回の章は、主に通貨や物価、その他の細かな設定について描いています。


少ない執筆時間の中でも、作品を少しずつ完成へ近づけていけるのは、皆さんからいただく応援が大きな励みになっているからです。


いつも本当にありがとうございます。

Grenmark中央交易都市。

新しい身分証を手に入れたBrenは、中央地区へ向かっていた。

そこには北西へ伸びる鉄道駅への道があり、そしてSystemのGuideが手掛かりを探すよう指定した場所もある。

「多い……多すぎる……。

一体どの酒場なんだ……?」

Brenは、人でごった返す通りを何度も行ったり来たりしていた。

探している酒場が中央地区のどこにあるのか、まるで分からない。

早朝から何百人もの見知らぬ人々が集まり、様々な店と看板が並んでいる。

あまりにも人が多い。

どの場所にも、行方不明になった家族を探す人々が集まり、人探しの紙が貼られている。

大きな酒場へ入っても。

小さな店へ立ち寄っても。

誰かへ尋ねても。

手掛かりは見つからない。

そのうえ、首のTranslator Braceletまで処理能力の限界へ近づいていた。

結局、Brenはいったん諦めることにした。

その途中で、Miraが働いているRune Engraving Shopへ立ち寄る。

せっかくなので、Velindiaの通貨制度について詳しく知っておこうと思ったのだ。

「え?

通貨制度をもっと詳しく知りたい?」

Miraは少し考えた。

人差し指同士をそっと触れ合わせ、少し恥ずかしそうに頬を赤らめる。

「それなら……私も覚えているわ。

Guildの財務を担当していたことがあるから、一般的な知識よりは詳しく説明できると思う」

「本当か?」

Brenが驚く。

「じゃあ、今日の仕事は……?」

「今日は休むわ」

Miraは手にしていた道具を置いた。

「今日はあなたに教えることにする。

それに、この店の主人だって私には頭が上がらないんだから。

私が作ったものの中には、普通の職人が一年働いて得る給料と同じくらい稼いだ品だってあるのよ」

Miraは仕事を一時的に切り上げ、Brenとともに店を出る。

店主も彼女を引き止めなかった。

国境地域からやって来た高い技術を持つ職人。

そんな人間に働いてもらえること自体、店主にとっては嬉しいことだった。

「明日も来てくれよ。

君の腕前は、本当に俺を金持ちにしてくれるんだからな!」

二人は店主へ別れを告げる。

そして西側の市場へ向かった。

ここから――

Velindiaの通貨制度について、本格的に学ぶことになる。

二人が市場の入口へ入ろうとした、そのほんの数十秒前。

Mosin-Nagantを持ったあの老人が市場から出て、いつもの酒場へ戻っていた。

老人は何気なく振り返った。

そして偶然――

市場へ入っていくBrenとMiraの姿を見た。

________________________________________

「ここでのお金の価値交換については、もう大体分かったんでしょう?」

Miraが尋ねる。

「まあ、基本的にはな。

えっと……通貨は大きく五種類。

Copper、Silver、Gold、Platinum、Diamond。

1 Silverは100 Copper。

それと同じように考えるなら、1 Diamondは100,000,000 Copperになる。

そういう理解で合ってるか?」

「うん……大体そんな感じね」

Miraは頷く。

「ただし、物価は一律じゃないわ。

例を出したほうが分かりやすいかな」

彼女は少し考える。

「たとえば、今あなたはAppleを買いたい?」

「なら、それを基準にしてみましょう」

二人はAppleを売っている屋台の前へやって来た。

値札には――

1kg 30 Copper。

「こんにちは。

このAppleはいくらですか?」

Miraが尋ねる。

店主はぶっきらぼうに答える。

「見りゃ分かるだろ。

1kg、3 Silverだ」

MiraはAppleを見つめる。

「でも、品質は普通に見えますよ。

普通なら2 Silver 50 Copperくらいじゃないですか?」

「買わないなら帰れ。

ごちゃごちゃ言うな!」

店主が怒鳴る。

周囲からも声が飛ぶ。

「この店、高すぎるだろ!」

「こんな質の悪いAppleでこの値段かよ。

向こうなら2 Silver 3 Copperから2 Silver 5 Copperくらいだぞ」

「あの店では買うな。

品質が悪いくせに高すぎる」

MiraはBrenへ振り返った。

「見たでしょう?

この屋台は高いのに、品質が値段に見合っていない。

別の店へ行きましょう」

Brenは少し考える。

どこか懐かしい感覚だった。

Earthでも、こういうことは何度も経験している。

場合によっては――

売り手との交渉で、値段を下げさせたこともあった。

二人は別のApple屋台へ移動する。

今度のAppleは明らかに品質が良い。

しかも――

先ほどの店より50 Copperも安かった。

「美味しいAppleですよ!

1kgたったの2 Silver 5 Copperです!」

店主が積極的に客へ声をかける。

Miraは一個のAppleを手に取り、Brenの前へ差し出した。

「ほら。

さっきより50 Copperも安いのに、こっちのほうが美味しそう」

「これを1kgください」

「はいよ。

1kg、お待ちどう!」

Miraは籠に入ったAppleの袋を受け取る。

Rune Crafterらしい服装のまま、Brenへ説明する。

「分かった?

屋台の主人が違うだけでも、こんなに価格が変わるの。

しかも、品質まで違うでしょう?」

Miraが丁寧に説明する一方、Brenは別のことを考えていた。

――Earthで覚えた交渉術。

これをここでも通用させられるか、試してみたい。

「ちょっと待ってくれ。

最初のApple屋台へ戻ってくる」

Miraは少し驚く。

「何をするつもり?」

「交渉術を試してみる。

あの店は高いくせに品質が悪い。

じゃあ……あの店主が、どこまで強情でいられるか見てみたい」

……

________________________________________

最初のApple屋台へ戻る。

周囲の人々は、店主が他の店へ客を奪われ続けて頭を抱えているのだと思っていた。

実際、その店のAppleは高い上に品質も悪い。

そのせいで、数日間まったく売れていなかった。

だがBrenには――

Earthで幼い頃から身につけた、一つの技術がある。

いわば――

「Dragon Slayer Sword」

頑固な価格を一刀両断するための交渉術。

ただ、それがこの世界でも通用するのかは分からない。

しかし今日は――

運が良かった。

店主は何度も周囲へ視線を走らせている。

客がAppleを買うかどうかなど、ほとんど気にしていない。

Brenはすぐに違和感を覚えた。

「こんにちは。

また会ったな」

店主は睨む。

「言っただろ。

買わないなら帰れ……」

「まあ、落ち着いて」

BrenはAppleの山を見る。

「このApple、ひどいな。

誰も買ってないじゃないか」

そして続ける。

「でも俺は、ここにあるものを全部買いたいと思ってる」

「確か……10kgくらい残ってるんだろ?」

「1 Silverでどうだ?

売るか?」

店主が怒鳴る。

「頭おかしいのか!?

1 Silverなんかで誰が売るんだ!」

Brenは少し目を細める。

「そうか……」

店主をじっと見る。

「じゃあ、販売許可証は?」

「店主さん」

Appleの山へ視線を向ける。

「兵士たちに、ここで無許可販売していることを知られないほうがいいんじゃないか?」

店主の顔色が変わる。

「お前……何を言って……」

Brenはさらに声を落とした。

周囲には聞こえない。

店主にだけ届く声。

「それと……」

「今まで、どれだけ情報を集めた?」

「俺が兵士たちへ報告して、お前に手柄を立てさせてやろうか?」

……

数分後。

Miraのもとへ戻ってきたBren。

その腕には――

およそ10kgものAppleが入った大きな籠。

Miraは目を丸くした。

「あなた……こんなに買ったの?」

「あの店主、まだ元の値段を維持していたの?」

「いや」

Brenは籠を持ち上げる。

「ここにある分、全部で1 Silver 80 Copperだった。

ちょっと重いけど……後で避難民に分けてやればいい」

Miraは信じられないように見る。

「どうして……?

どうやってあの店から10kgのAppleを1 Silver 80 Copperで買えたの?」

Brenはあっさり答えた。

「簡単だ」

「あの店主を少し見れば分かる。

Appleを売りたい人間の目じゃなかった」

「何度も周囲を見回してただろ。

君は気づかなかったか?」

Miraは少し考える。

Brenは続ける。

「あいつは……情報を集めている人間だ。

だから、少し揺さぶったらすぐに口ごもった」

「そこで値段を押し下げたら、売った直後に逃げていった」

その後、Brenは心の中で状況を整理する。

(しかも、俺がもっと値下げを要求する前に、向こうからさらに下げようとしてきた。俺にはもう必要なかったけどな。)

(金を受け取った後、兵士たちが何か異常に気づくと、あの男はすぐに逃げた。)

(間違いなければ、あの態度と雰囲気は普通の店主じゃない。兵士のように見えた。)

(おそらく、別の国からGrenmarkへ潜り込み、Edhenについて情報収集しているSpyだ。)

今のところ、Brenはそう推測していた。

Miraは少し悔しそうに呟く。

「また見落としていた……。

教えてくれてありがとう」

そして、少し考えてから続ける。

「でも……本当なら、あの男を捕らえるべきだったんじゃない?」

「俺たち二人とも追われているんだ。

あいつを捕まえたら、余計な面倒が増えるだけだよ」

Brenはそう答える。

そして辺りを見回した。

「それより……この後はどこへ行く?

このMarket、かなり広いみたいだけど」

Miraは少し考えてから答えた。

「じゃあ、Foreign Merchant Marketへ行きましょう。

普通の市場より、ずっと混乱している場所だけど」

「分かった」

……

________________________________________

数分後。

二人は、Velindiaの外から運び込まれた様々な商品が並ぶ交易区画へ到着した。

そこでは、多種多様な言語が飛び交っている。

「安眠用Herb、10 Silverで1束!」

「皆さん、ご注目!

これはAmeから来た最新式のMachineです!

今なら、このRecord Diskもおまけします!

Windingを回せば、音が鳴ります!

お値段なんと――30 Gold!」

「Rune Stoneはこちら!

Gemanから輸入した高品質品です!

緊急時のMagic Storageにも使えます!

お値段、Common Currency 5枚!」

……

Brenは周囲を見回した。

「ここの価格……ちょっと変わってるな。

それに……Common Currencyって何だ?」

Miraが説明する。

「そういうこと。

この世界には、大きく二つの通貨体系があるの」

「一つ目が――Common Currency」

「これは大国同士が発行し、相互に認めている通貨。

Velindiaもその一つね」

「それぞれの国は、別々のContinentに存在している。

空に浮かぶ国もある。

海の下にある国もある。

海の上に浮かぶ島国もある。

砂漠地帯全体が一つの国になっている場所さえあるわ」

「そしてもう一つが――Domestic Currency」

「ここVelindiaなら、Velindia Coin。

Copper、Silver、Goldなどを基準に価値が決まっているわ」

Miraはさらに続ける。

「それと、Ameではもっと進んだPaper Moneyを使っているって聞いたことがある」

Brenが尋ねる。

「Exchange Rateは?」

「Common Currency一枚は、Velindia Gold 100枚分」

「ただし、他国とのExchange Rateまでは私にも分からない」

「Velindia Coinが国内限定なのは当然。

外国の通貨は使えないし、他の種類のお金も――Paper MoneyやATM Cardのようなものまで含めて、ここでは無効よ」

Brenは頷く。

「なるほど。

次からは気をつけるよ。

教えてくれてありがとう」

少し考えてから、彼は続けた。

「でも……そう考えると、ここの通貨制度や物価って、俺のいた世界とかなり似てるな」

「ただ、こっちのほうがもっと複雑だけど」

Brenはそう言いながら、Miraが買ったHerbの袋を包むのを手伝っていた。

Miraは少し眉をひそめる。

「あなた、本当に新人なの?」

「こんな知識、一日で誰かに教えられるようなものじゃないでしょう?」

Brenは答える。

「俺が暮らしていた場所には、かなり複雑なEconomyがあったんだ」

「そこで使われていた基本CurrencyはDong。

それ以外にも、USD、Ruble、Yuan、Japanese Yen、Euro……」

「いろいろなCurrencyが存在して、価値も変動していた」

「ここも、少し似てるよ」

Miraはしばらく黙っていた。

Brenの口から出てきた通貨名。

どれも、彼女が一度も聞いたことのないものだった。

やがて、Miraは小さく首を振り、話を現実へ戻した。

――新しい通貨制度の情報が、一つ増えた。

それはBren自身さえ、この世界についてまだ知らなかった領域だった。

「本当に……」

Miraは静かに呟く。

「Earthみたいに複雑な異世界ね」

________________________________________

Brenは市場を一周した。

そして最後に――

ある一軒の店を見つけた。

そこでは、Winding Mechanismで動く古いRecord Playerが売られていた。

商人の説明では、Ameから流れてきたOld Itemらしい。

高価なRune Recording Deviceと似た機能を持っている。

そして商人は、当然のように値段を吹っかけていた。

30 Gold。

Brenは迷わない。

さっきのApple屋台では、偶然一人のSpyらしき男へ遭遇した。

だが、あの時はまだ自分の「Dragon Slayer Sword」を完全には抜いていなかった。

今度は違う。

Earthで身につけた交渉術を使う。

そして――

最終的に。

6 Gold。

その価格で、小型のVinyl Record Playerを購入した。

ちょうど、T-34から取り外してきたSide Iron Boxにも収まる大きさだった。

Brenがそれを取り出すと、Miraは驚いた。

「あなた……値切り方、すごすぎない?」

Brenは何でもないように答える。

「別に普通だろ」

「こういう商品は、かなり値段を上乗せしているだけだからな」

そして、小さくRecord Playerを見る。

「それに、俺には残しておきたいMusicがある」

「必要になれば……この計画を成功させるための手助けになるかもしれない」

Miraは、その言葉を聞いて黙った。

Brenが見つめる先。

そこには――

一つの古い音楽装置。

そして、その先にある作戦。

――Eという名の女を、Grenmarkの空から引き離す。



二人の距離は――


ほんの数歩。


目と目が交わったのは――


ほんの一瞬だった。


言葉はなかった。


疑念もなかった。


ただ一瞬。


息が詰まるほどの、静寂だけがそこにあった。


Brenは振り返らなかった。


それでも、背中には冷たい汗がびっしょりと滲んでいた。


死神の鎌が、ほんのわずかに彼の首筋を掠めていったような感覚。


背筋を凍らせるような悪寒と――


言葉にならない警告。


だが、Bren自身は知らなかった。


自分が、今まさに死を免れたばかりだということを。


第15章・予定


10月第3週・火曜日予定

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。