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鋼鉄の血 ― 異世界のWar Thunder ―  作者: PGGG1214
第2部:Velindiaの地における対決
13/20

第10章 ― 内戦 I


長い間お待ちいただき、本当にありがとうございます。


正直なところ、仕事に追われる日々が続いていたため、新しい章の公開が予定より遅くなってしまいました。


とはいえ、二次創作に近いアマチュア作品である以上、さまざまな意見があるのも当然だと思っています。


特に、原文から日本語へ翻訳する際にAI翻訳ツールを使用していることについては、なおさらでしょう。


ご存じの通り、デジタル技術そのものが悪いわけではありません。


正しい目的で使用し、そのことをきちんと明示するのであれば、単なる「AI Slop」としてではなく、より高い効果を発揮できるものだと私は考えています。


とはいえ、私自身の能力にも限界があるため、この作品を書き続けることには多少の難しさもあります。


ただ、良い知らせもあります。


これから2~3週間ほどの間に、新しい章を完成させるため、できる限り執筆を進めてきました。


そのおかげで、これまで触れてきたEdhen市内での内戦編についてはすでに完成しており、今後も引き続き更新していく予定です。


ここまで作品に興味を持ってくださった読者の皆様に、心より感謝いたします。


(本章には暴力的な描写が多く含まれています。お読みになる際はご注意ください。ありがとうございます。)

第一部 ― 奇妙な揺らぎ

不穏な時が、いつ始まったのかを知る者は誰もいなかった。

ただ、城門の脇で黙々と見張りを続ける者たちや、長年この地で商売をしてきた商人たちだけが、何かがおかしいと、はっきり感じ取っていた。

日曜日。

Celes会長とYilfenが、人目を避けて会った直後のことだった。

Edhen近郊の港湾地区――距離にして30km。

Voldaの港湾区域にもほど近い場所に位置している。

ここは小規模な補助港に過ぎない。

しかし、それでもEdhenへ運び込まれる重要な物資の受け入れと輸送を担う港の一つだった。

帆を張った商船が行き交う中、数隻の帆を持たない機関船も混じっている。

主に、魔導機械技術、あるいは通常の機械技術が発達した他国からやって来た船だ。

中規模の商会「Xillem」が、別の国から届いた布地や果物、緑茶などの荷を下ろしていた。

これらはEdhen支部に集められ、その後、市内へ流通させる予定の品々だった。

荷には封印印が刻まれている。

「Ame ― 東部地域」

蒸気船の上に設けられた管理室では、Xillem商会の船長が、いつも顔を合わせている担当管理者を探していた。

しかし、今日はその管理者の姿が見当たらない。

そこで船長は、部下に探しに行かせることにした。

「例の管理者は、今どこにいるんだ? この荷は早く通してもらわんとな。何しろ果物と布地ばかりなんだからな……」

「私にも分かりません。ただ、別の管理者用の服を着た連中から、集積所に全員集合するように言われました。新しい身分証を作る手続きをしないと、Edhenには入れないそうです」

「ちっ……また作り直しか。君は先に人を連れて荷を集積所へ運べ。その後、みんなを集めてくれ。……それで、支部から誰かは出てきているのか?」

「電信Runeでも連絡を取ろうとしました。ですが……まったく返事がありません」

「妙だな。何かがおかしい。俺たちはここで二年も活動しているんだ。EdhenはAmeの都市の中では最大ってわけじゃないが、普通なら前日に知らせが届けば、支部から誰かしら出迎えに来るはずだろう……」

彼らは、まだ知らなかった。

――前日の土曜日。

すでに、すべてが始まっていたことを。

カタン……カタン……カタン……

ザシュッ……!

「ぐっ……」

「逃げろ……!」

やがて、その場に残ったのは、床を濡らす血だまりだけとなった。

周囲には、Runeによって起動された殲滅・拘束命令の結界が張り巡らされていた。

その惨劇の中で、休憩していた約四十人もの商会職員たちは、突如として現れた正体不明の集団によって、まるで人が一人もいない場所であるかのように次々と斬り殺されていった。

「やめろ……お前たち……こっちへ来るな……!」

血で汚れた床の上を、Xillem商会の徽章が転がる。

その傍らには、二十歳ほどの美しい女性がいた。

彼女は支部の秘書を務める女性だった。

彼女は、EdhenにいるXillem商会の構成員たちが、正体不明の襲撃者によって一人、また一人と殺されていく光景を目の当たりにしていた。

そして――最後まで殺されずに残っているのは、彼女一人だけだった。

まだ利用価値があるからだ。

襲撃者の胸元に付けられた徽章。

それは、Edhenの裏社会の二分の一を握る組織――「鉄の手(Iron Hand)」のものだった。

彼らと敵対するのは「清教連盟(Puritan Alliance)」。

そして、Xillem商会はその敵対勢力にとって、重要な繋がりの一つだった。

「外国人どもの荷物か……くくく……。お前たちは俺たちの敵と手を組んでいる。だからな……こんな場所は、もう存在している必要はない」

自らを隊長と名乗った男が、少女の前へ歩み寄る。

彼は彼女の服の襟を掴むと、そのまま軽々と持ち上げた。

「俺が先に“肉”にしてやる。その後で、お前らも入ってこい……」

「へへへ……兄貴は相変わらずですね。頭領から、こいつらの支部は好きに潰していいって許可が出てるんだ。だから、この戦利品も隊長が飽きたら俺たちに回してくれりゃいいですよ。ほかにも何人か女がいますけど、別に美人じゃなくても、俺たちに任せてもらえれば……」

その一方で、不安そうに口を開く者もいた。

「こんなことをして、本当に大丈夫なんですか? 都市警備隊や冒険者に追われたりしないでしょうね……俺は、まだ少し心配で……」

隊長は一度、秘書の女性を放り出した。

そして――

バシィッ!

疑問を口にした男の頬を思いきり叩いた。

「奴らが、俺たちの後ろ盾を恐れなきゃならんほど弱いと思うか? ……お前、この連中の命が何匹の鶏程度の価値しかないと思ってるんだ?」

さらに、隊長は口元を歪める。

「それにな、俺たちに『防音壁』っていう代物を売り込んできた奴がいるんだ。外からも、中からも、中で何をしているのか分からない。心配する必要なんてねぇよ」

そう言い終えると、男は他の部下たちへ命じた。

「こいつらの服を引き裂け。手早く済ませたら、この死体と血溜まりも片付けろ……」

「了解です、隊長……ヒヒヒ……」

その建物の外。

白衣を纏った一人の男が、空間を隔てるためのRune製の壁をじっと観察していた。

彼は「狂博士」という異名を持つ人物の配下にいる研究員だった。

目的は一つ。

製品――Rune 351、「遮断壁」の性能を確かめること。

「実験用のモルモットとしては、悪くないな。今のところ、内側と外側の状況は完全に遮断されている。350型と比べても、隔離性能は素晴らしい……」

今日はちょうど休日だった。

そのため、この付近を訪れる者は誰もいない。

それは、「鉄血団」が「清教連盟」の補給路を少しずつ断ち切るには、絶好の機会だった。

シュッ、シュッ……

彼の手に握られているのは万年筆ではない。

ボールペンだった。

それは、狂博士が部下たちに与えたものだ。

「実に順調だ。そろそろ量産を開始しなければならないな。そして……このEdhenという街そのものが、今から先生がお選びになった実験場になる……」

魔法の壁が放つ淡い光の中で、彼に見えるのは、ぼんやりとした裸の人影だけだった。

幾つもの影が、規則正しく“運動”を続けている。

その一方で、殺された者たちの遺体は別の者たちによって細かく解体され、運び出すためにまとめられていた。

待っているのは――「鉄の手」が飼っている地下ワニの餌だった。

「この偽りの平穏に包まれた街も……できるだけ早く終わらせた方がいい」

男は、そう呟いた。

――

場面は再び、商船団へ戻る。

荷物の積み下ろしを終えた彼らは、指定された場所へ集まり、身分証を作るための手続きを待っていた。

しかし――彼らもまた、その直後に姿を消した。

Xillem。

中規模の商会が、まるで最初から存在しなかったかのように消滅した。

支部の建物も、そのまま無言で閉ざされた。

人も、商品も、すべてが痕跡一つ残さず消えていた。

――

週の始まりの朝。

空は異様なほど曇っていた。

冬が少しずつ街を覆い始めていたが、まだ雪は降っていない。

灰色の重い雲が、Edhen北部の地平線に沿って帯状に広がっていた。

風はない。

それでも気温だけが、わずかに下がっている。

城の南東にある監視塔では、銀色の簡素な鎧を身に纏った警備兵が、街の監視装置をじっと見つめていた。

監視装置は、魔法による防護層に包まれ、淡い青色の光を放っている。

彼が確認しているのは、南側にあるXillem商会支部周辺の魔力変動記録だった。

今朝になってから、この商会の人間が謎のまま消えたという報告が相次いだからだ。

扉は閉ざされたまま。

争った形跡もない。

「妙だな……まるで、この商会は静かに閉鎖されたみたいだ」

「冒険者ギルドと都市商業ギルドへ報告しておけ。Xillem商会の人間が消えたとな」

兵士は小さく呟いた。

商会が閉鎖されること自体は珍しくない。

だが、人間までこれほど短時間で消えるはずがない。

兵士はもう一度、異常な変動を示しているグラフへ目を向けた。

その日、商会の位置にだけ、断続的なノイズが発生していた。

それは、Rune装置が作用したか、あるいは高位の魔法陣が起動したことを示す兆候だった。

しかし――危険反応は、一切検知されていない。

「まるで……檻の中に閉じ込められたみたいだな……」

―――

さらに南へ。

Xillem商会の本部がある商業区で、Yilfenは木箱を一つずつ荷車へ積んでいた。

彼は、少なくとも金貨十枚相当の資金を追加で稼がなければならなかった。

そうしなければ、別の場所へ移動するための当面の資金を確保できない。

何より――街の外へ出ることができない。

なぜなら、E――彼がただ「怪物」と呼んでいる存在――が、外で見張っているからだ。

「妙だな……今日は臨時休業している商会でもあるのか? それにしても、人が多いな」

額に汗がにじむ。

周囲では、多くの人々の話し声が飛び交っていた。

Yilfenが顔を上げると、列に並んで待っている人々の中で、二人の商人が言い争っているのが目に入った。

「だから言っただろう。今朝、この店の交易用地下階は全部閉鎖されたんだ。誰も入れない!」

「そんなはずがない。契約はまだ有効だ。金曜日には、こいつらがこの大豆を回収すると約束したばかりなんだぞ。まさか……中規模の商団が一つ潰れた時にしか――」

その言葉は、周囲から向けられた冷たい視線によって遮られた。

男はそれ以上何も言わなかった。

ただ黙ってその場を離れ、大豆を買い取っている別の商会へと向かっていった。

Yilfenも何も言わずに視線を落とし、ギルドの掲示板にあった依頼に従って、木箱を運び続けた。

目的地は、都市北部、街外れ近くにある木工工房。

「……ここには、これ以上関わらない方がいい。厄介事に巻き込まれたくない」

――

その日の昼。

仕事を終えて戻ってきたYilfenは、北側の通路に設けられた臨時の行政検問所に出くわした。

数秒の確認のため、彼も呼び止められる。

門番は、銀色に輝く彼の冒険者章を確認すると、通行を許可した。

だが――その直後。

妙な仕草で顔を近づけ、彼の耳元へ小声で囁いた。

「おい、気をつけろ、冒険者。東港方面の道……今はもう安全じゃない」

「多くの人間が、何の痕跡も残さず消えている。しかも、その中には信用の厚い有名な商会まで含まれている。今、都市評議会の人間が調査しているところだ……」

「何かあったんですか?」

Yilfenは声を落とし、素早く周囲を見回した。

どうやら、今朝の件とも関係しているらしい。

「中規模の銀章商会の一団だ。それに、Xillem商会の支部もだ。あいつらは今まで一度も約束に遅れたことがない」

門番は続けた。

「だが、もう二日も誰も姿を見せていない。いや……人影一つ見えないんだ。まるで、最初から存在していなかったみたいに、そっくりそのまま消えた。なのに、本部の建物だけは残っている……」

「そういうことでしたか……教えてくれてありがとうございます」

Yilfenは静かに答えた。

空になった荷車を引きながら、彼はゆっくりとその場を離れていく。

そして、胸の奥に説明のつかない不安が広がっていくのを感じていた。

Edhenという街には――何かがある。

何かが、もうすぐ起こる。

そしてそれは――自分にとって、大きな不利益をもたらすものかもしれない。

「何かが……この平凡な日常の裏側で、静かに動いている……」


第二部 ― 空白の任務、白い掲示板

信頼ある商会が姿を消してから、わずか一週間後――。

朝。

凍えるような寒さを伴った霧が、Edhenの街全体を覆っていた。

その朝の霧は、地区や商会へと続くすべての道に、白く濁った膜をかけていた。苔の生えた銀色の瓦屋根が水蒸気の向こうにぼんやりと浮かび上がり、まるで見えない手が、Edhenという街に刻まれた見慣れた輪郭を一つずつ消していくかのようだった。

Yilfenは視界の利かない石畳の通りを、ゆっくりと歩いていた。

足元の湿った埃が、踏みしめるたびにわずかに沈む。

――文字通り、霧に沈んだ街だった。

スマートフォンの画面には、午前8時00分と表示されている。

霧は依然として濃く、街を行き交う人の姿も少ない。

「妙だな……こんなに濃い霧が街を覆うなんて、今まで一度もなかったぞ……」

隣から、一人の冒険者が声を漏らした。

「本当だ。通路ですら手探りで進まなきゃならない。まるで暗いダンジョンの中にいるみたいだ。あまりにも妙すぎる……」

隣の男も同意する。

二人はYilfenと出会い、商会の休憩区画付近で互いを見つけた。

そして三人は霧の中を手探りで進み、商会の副支部――街の外で行う仕事とは異なり、雑務などを請け負う行政棟が並ぶ区域――にある任務掲示板へと向かった。

「ここの気候は、本当に変だな……」

Yilfenはそれだけを呟き、さらに歩を進める。

彼は前方に広がる廊下を見つめた。

副支部。

雑用をこなす冒険者たちが集まり、いつもなら騒がしい場所だった。

しかし今日、その建物は冷え切ったように静まり返っていた。

入口には、緑色の商会旗が下ろされていた。

そこに残されているのは、木製の柱に絡みついた、千切れた布の紐だけだった。

「……何かあったのか? どうして今日は誰も来ていないんだ?」

後ろから、数人の冒険者たちも追いついてきた。

雑用の依頼そのものは、普段ならいつでも存在している。

霧が濃くて人の動きが鈍くなっているというだけなら理解できる。

だが――これは明らかに違った。

「中を見てみよう」

誰かが言った。

Yilfenも同意し、小さな集団――七、八人ほど――が建物の中へ入っていった。

中に入る。

普段なら紙と依頼書で埋め尽くされている任務掲示板。

しかし今は、斜めに貼られた紙切れが数枚残っているだけだった。

風が吹くたびに、それらは剥がれ、舞っていく。

掲示板の表面を覆っていた板材も剥がれ落ちていた。

腐った木材がひび割れたまま露出し、そこに貼られていた依頼書は、すでに剥がされたか、あるいは破り捨てられている。

「こ……これは……? 昨日まではまだ依頼がたくさん残っていたはずだ……。今日は一体どうなってるんだ?」

冒険者たちは一斉に受付カウンターへ視線を向けた。

受付にいるのは、若い職員が一人だけだった。

茶色の髪。

まだ幼さの残る顔立ち。

彼は俯いたまま、黙々と記録を書き続けている。

その目には、何日も眠っていないかのような疲労が滲んでいた。

「すみません……ギルドでは現在、新規任務の受付を一時停止しています」

彼は重い口調で話し始めた。

「それから昨日……とある冒険者パーティーが、銀貨を数箱、都市商会の本部まで運搬する任務を引き受けたんですが……突然、連絡が途絶えました」

「その銀貨の価値は、合計で10,000,000銀にもなるそうです。金貨にして10,000枚相当です」

「そのため、商会側から冒険者ギルドへ、雑務の依頼をこれ以上受け付けず、調査を優先するよう要請が出ています」

「最後に残っていた任務も、昨夜のうちにすべて引き受けられてしまいました……」

声は掠れていた。

目の下には濃い隈が浮かんでいる。

それでも彼は、なんとか礼儀を保とうとしていた。

Yilfenたち冒険者は、しばらく無言のままだった。

Yilfenは掲示板へ一度視線を向け、それから受付係の目へと戻した。

「一時的に……ということは、いつまでですか?」

「分かりません。これは……ギルド本部からの命令なんです」

受付係は答えた。

「大型任務もすべて中止。Cランク、Bランク、Aランク……それどころかD、Eランクまで……すべて活動停止です」

Yilfenは何も言わなかった。

ただ、受付カウンターの隅へ目を向ける。

そこには、真っ赤な印章が押された一枚の命令書が置かれていた。

――ギルド活動一時停止

――商会本部からの要請

その下には、さらに別の記載がある。

――緊急調査

――銀章部隊・商会棟第3号地下輸送路

――帰還せず

Yilfenは、無名の店で特注して作らせた鉛筆を取り出した。

そして、その貴重な紙の端へ、いくつかの言葉だけを書き残す。

すぐさまそれをマントの内側へ隠した。

受付係は説明を終えると、そのまま眠気に耐えきれず、机へ突っ伏した。

他の冒険者たちも、それ以上そこに留まることはなく、受付から離れていく。

ダンジョン探索任務の受付所も、同様にすべて一時停止となっていた。

すでに進行中の任務、あるいは停止前に受理されていた依頼については、引き続き作業が行われているらしい。

「もし……これから起きることを予測できれば、どれだけ楽だっただろう」

Yilfenは一人、そう考えた。

「Edhenには、明らかに妙な兆候が出ている。これから何かしらの変動が起こるはずだ。……ああ、そういえば」

彼はふと思い出した。

「ランダム賭け――Wanger*……こんな状況でも、これを使えば未来を予測できるのか……?」

――

商会を出る。

霧は少しずつ薄れており、ようやく宿泊している区画へ戻れる程度には視界が戻っていた。

部屋へ戻ると、念のため一通り確認する。

異常はない。

Yilfenは眉をひそめながら、慎重に保管していた箱を開け、中からノートパソコンを取り出した。

「コンピューターを持ち歩くのは、やっぱり不便だな……。会長が俺を調査するために人を送り込まなかったのは助かった」

「少なくとも、この2.1kgの機械よりスマートフォンの方がずっと持ち運びやすい」

彼はインベントリを確認した。

そして――Wanger*のランダム賭けを試しに起動する。

――ランダム賭け(Wanger*)を使用しますか?

――確認。

――獲得:5目標撃破賭け*

――失敗可能回数:3回

報酬:

第1段階:10,000 SL

第2段階:50,000 SL

第3段階:100,000 SL

副作用*:

起動後、プレイヤーは45日後――約1.5か月後――の未来をシミュレーション体験する。

30分の制限時間以内に5体の敵を撃破できず、あるいは撃破されてしまった場合、その時点で強制的に1回の失敗として計上される。

3回の失敗を使い切ると、現実へ帰還する。

また、ミニマップ上で敵として表示された対象を識別し、撃破することで3段階の達成条件を満たし、制限時間を延長することが可能。

最大3回まで延長可能。

「これは……思ったよりずっと複雑だな」

Yilfenは、*の記号が付いた「5目標撃破賭け」の詳細を見つめた。

「やっぱり、*付きのものは普通とは違う異物なんだな……」

――起動:5目標撃破賭け――

「そろそろ、こいつの機能を確かめる時か……」

Yilfenは、そう囁いた。

しかし――まだ知らなかった。

自分が今触れたものが、この行き止まりとなった未来の分岐を大きく変えることになるとは。

――起動しました。

Yilfenがボタンを押す。

音はしなかった。

ただ、賭けの任務だけが淡く光り、インターフェースがゆっくりと回転する。

そして――突然、画面がフリーズした。

時間が、一気に45日後へ早送りされる。

警告音はない。

何の通知もない。

それでも、世界は動き始めた。

すべてが暗転する。

残ったのは、ただ一面の漆黒だけだった。

45日間の記憶が失われる。

まるで、自分自身がそのまま未来へ転移してしまったかのように――。

「くそっ……俺は、何をした……?」

Yilfenが目を覚ます。

だが、彼はまだ知らない。

今、自分がEdhenという都市の――終焉の時点へ、意図せず辿り着いてしまったことを。

――シミュレーション時間:1回につき30分――


第三部 ― 不吉な兆候

その日の午後、Yilfenは目を覚ました。

Edhenの空気は、まるで何かに圧し潰されたかのように重くなっていた。

太陽の光は石畳へ差し込んでいる。

しかし、それは以前のように眩しくはなかった。

光はどこか方向を歪められたように淡く、ぼんやりとしている。

まるで目に見えない微細な埃の膜を通して、濾過されたかのようだった。

街中のあらゆる音までもが抑え込まれているように感じられる。

響きは遅く、そして重い。

Yilfenが目を覚ましたのは、見覚えのない道の傍らだった。

――45日後の自分には、一切の記憶がない。

「ここは……未来なのか?」

Yilfenは周囲を見回した。

「この状況……どうしてこんなに暗いんだ……まるで、どこかで戦場になっているみたいだ……」

彼はスマートフォンを取り出す。

画面には18時30分と表示されていた。

VRシステムは機能していない。

バッグの中にはノートパソコン。

そして、K-59と予備弾倉が三本。

さらに――スマートフォンの画面上には、ひとつのカウントダウンが表示されていた。

残り29分14秒。

「こんな状況じゃ……最初の30分だけじゃ観察するには短すぎる」

「敵が誰なのかも分からない。敵と判定された5人を倒せば、さらに30分延長される……」

「未来の出来事そのものをシミュレーションするなんて……本当に、掴みどころがなさすぎる……」

たとえシミュレーションに過ぎないとしても、その悲惨な状況を前に、Yilfenは不安を覚えずにはいられなかった。

いつもなら大勢の市民が行き交っているはずの道。

現在のEdhenには、推定30万人以上の人々が暮らしている。

しかし――その道には、一人の人影すらなかった。

「何かが起こった……」

Yilfenは考える。

「もしかして、あの女か?」

「彼女が原因である可能性も捨てきれない。あの戦車のような力を持つ相手なら……武器を持たない人間なんて草と同じだ。できないことなんて何もない」

――自分を追っている「あの存在」。

Yilfenはそう考えた。

ゆっくりと路地を進み、古い交易区へ続く道を歩いていく。

画面上の時刻は18時35分。

すでに五分が過ぎていた。

それでも、人影は一つも現れない。

通り過ぎる建物は、どれも厳重に補強されている。

一般市民も外には出ていない。

Yilfen自身も、何かがおかしいと感じていた。

18時40分――。

番号6の交差点。

そこで、地下洞窟へ続く古い換気口の前に立ち止まった、その時だった。

ギィ……ギィ……

金属が擦れる音。

そして、近くから人の怒号が聞こえてきた。

「奴らを皆殺しにしろ……! 俺たちは、この縄張りを取り戻すんだ!」

「了解しました!」

カン、カン……!

ガキィッ、ガキィッ……!

最初に聞こえたのは、軽い金属音だった。

それから――何かを突き刺す音。

そして、剣と剣がぶつかり合う音。

「強盗……?」

Yilfenは半歩後ろへ下がった。

その音を、彼は知っている。

魔法ではない。

動物でもない。

これは――人間同士の衝突で聞こえる、剣がぶつかる音だった。

「一か月半以上も先の未来で、これだけのことが起こっているのか……」

「だったら、誰か信用できる人間を見つけて、有益な情報を得る方がいい」

――

18時51分。

ペナルティ計算まで、あと9分。

Yilfenは鍛冶職人の区域へ向かった。

そこで一人の男を見つける。

現在のEdhenで、彼が数十枚の銀貨を支払い、自分のために鉛筆を作ってもらった人物。

名前はBrell。

かつては優れた技術者だったが、現在では特注の武器を鍛えることで生計を立てている男だ。

Yilfenが鍛冶屋の前へ着くと、建物はすでに補強されていた。

しかし、扉にはまだ僅かな隙間が残っている。

その隙間から、中で一人の男が何かに抵抗するかのように、急いで木板を打ち付けている姿が見えた。

「久しぶりだな、Brellさん」

男はびくりと身を震わせた。

振り返った彼は、Yilfenの姿を見ると、安堵したように息を吐いた。

そして、恨めしそうな目を向ける。

「Yilfenか……? 昨日も来たばかりじゃないか……」

「悪いが、お前が試しに売ってみてくれと言っていた鉛筆の一口が、今朝、『鉄の手』に強奪された」

「……それにしても、こんな時間までどうしてここにいる?」

「奴らは今や、通りを歩いている人間まで斬り殺している。『清教連盟』と何の関係もない一般人までな」

「昨日、お前に話したばかりじゃないか……」

当然ながら、Yilfenには昨日の記憶など一切なかった。

「そうだった……忘れていた」

「それで、今はどうなっているんです?」

Brellは首を横に振り、深いため息を吐いた。

「『清教連盟』側は、もう劣勢だ」

「今や、裏社会の権力は『鉄の手』が奪い取ろうとしている」

「今日が、この二つの裏社会勢力にとって、生き残りを懸けた決戦の日だ」

「それだけじゃない。都市政府もすでに奴らに掌握されている」

「会長と、都市商会の代表者は、奴らに捕らえられ、事実上の軟禁状態だ」

「そして今夜、この街も奴らによって封鎖される。外へ出ることは一切許されない」

「出ようとする者は……奴らに斬り殺される」

「こんな平和だった街が、まさかこんな惨状に落ちるとはな……本当に運が悪い」

Yilfenは何も言えなかった。

情報が多すぎて、まだ整理しきれていない。

だが、Brellはさらに続けた。

「さっき、南門の方から妙な光の柱がいくつも上がっているのを見た。それに、轟音も聞こえた」

「どうやら、外にいた怪物が、この混乱に乗じて街へ入ろうとしたらしい」

「だが……入ることはできなかったようだ」

「その音……あなたは以前にも聞いたことがありますか?」

Yilfenはそう尋ねながら、数枚の銀貨を机の上へ置いた。

Brellの目が、途端に輝いた。

情報のやり取りにも対価がある。

金が絡めば、人の目は正直になる。

「ある」

Brellはすぐに答えた。

「俺も少し噂を聞いた」

「あの音……何度も何度も叩きつけるような音だった」

「だが、何か妙だった……息をしているような音と、それから……長くて真っ黒な筒みたいなものがあった」

老人は眉をひそめた。

「……鉄の亀、みたいなものか?」

「そう、それだ!」

「俺が聞いた話も、そんな感じだった」

「荷物を運ぶための獣じゃない。ただ周囲を観察して、耳をつんざくような爆発音を出すんだ」

Yilfenは黙り込んだ。

その目が、深く沈む。

マントの端を強く握りしめる。

「それが……今夜、入ってくる……」

「45日後……」

「こんなことになるなんて、俺の予想を完全に超えている……」

19時。

――ピッ……。

「賭け、失敗」

――ペナルティ1回目。

そして、2回目のカウントダウンが始まる。

残り29分59秒――。

「ありがとう」

Yilfenは振り返る。

「北側は……少なくとも安全ですか?」

「少なくとも今のところはな」

Brellは答える。

「政府側は、まだ北側を押さえている。戦闘もまだ広がっていない」

「だが、数時間後は……俺にも分からん」

Brellの言葉を聞き終えると、Yilfenはその場を離れ、北門へ向かった。

――

19時12分。

大通りへ戻る頃には、すでに夜になっていた。

どこからか、炊事の煙の匂いが漂ってくる。

通りの角からは、子供たちの叫び声。

そして、逃げるように走る足音。

さらに、悲鳴が聞こえ――やがて途絶える。

「男は殺せ。女は奴隷として連れていけ。子供は地下牢へ放り込め」

「了解しました、隊長」

小規模な「鉄の手」の一団が、Yilfenが身を隠していた場所を通り過ぎていった。

「『鉄の手』も『清教連盟』も……どちらに関わっても死ぬだけだ」

「なら、今のうちに……このシミュレーションから脱出できるのか、確かめてみるか」

Yilfenがその場を通り過ぎた、その時――。

「おい……! そこにいるのは冒険者か!?」

「こんなところで何してやがる!」

「一発、斬り込んでやるよ……!」

背後から聞こえた声に、Yilfenは即座に反応した。

その瞬間、Minimapにも表示が出現する。

――敵。人間。

――数:8。

男が剣を振り上げた。

その瞬間――

ドン! ドン!

二発。

一発は胸部へ。

もう一発は頭部へ。

K-59から放たれた弾丸が男を撃ち抜いた。

男は剣を取り落とし、カラン……という金属音を響かせながら倒れた。

胸元には、まだ「鉄の手」の徽章が残っている。

男は、最後まで何も言うことができなかった。

その銃声は、近くにいた他の者たちにも自分たちの存在を知らせてしまう。

「敵だ……! 早く始末しろ!」

――5人中1人撃破。

数人の男たちが一斉に襲いかかってくる。

明るい月明かりの中で、Yilfenは狭い隙間越しに照準を合わせ、呼吸を整えた。

ドン……!

ドン……!

ドン……!

ガチャッ……カチャッ……!

ドン……!

ドン……!

「ぐっ……!」

やがて弾が尽きる。

Yilfenはすぐに弾倉を交換し、残った者たちへ向けて再び弾丸を撃ち込んだ。

――8/5達成。

――第1段階達成。

――報酬:10,000 SL。

――時間 +30分。

「はぁ……はぁ……」

Yilfenは荒い息を吐いた。

「俺……人を撃った……初めてだ……」

二分にも満たない出来事だった。

誰一人、まともに言葉を交わすこともなかった。

ただ、シューティングゲームで培った反射神経だけが、彼を生き残らせた。

「これに……もし歩兵戦の機能まであれば……もっと早く反応できるのに……」

初めて、命を脅かされたことで、人間を撃ち倒した。

幸い、これはシミュレーションだ。

それでも――Yilfenははっきりと感じていた。

この世界では、倫理や法律だけでは解決できないものが存在する。

「未来で……本当にこんなことが起こったら……俺は、こんなことをしたくない」

「怪物なら……まだいい」

「でも、人間は……」

Yilfenはその思考を一旦切り上げた。

そして北門へ向かって走り出す。

その場には、「鉄の手」の8人の死体だけが残された。

そして――後から駆けつける別の者たちも。

――

19時27分。

残り時間、3分。

Yilfenは「鉄の手」の巡回部隊を一つずつ避けながら、北門へ接近していった。

北門の警備所。

西門から、およそ100メートルほど離れた場所。

Yilfenは、その周辺を注意深く観察した。

兵士たちには、どこか妙な雰囲気がある。

数人の胸元には、何らかの徽章が付けられていた。

その時――

観察していたYilfenへ、一人の警備兵が声をかけた。

「そこの君。身分証と通行証を提示してくれ……」

第四部 ― 脱出失敗

夜のEdhenに広がる空は、鋼のような冷たい色を帯びていた。

強化された灰色の石造りの屋根の間を、冷たい風がかすかに吹き抜ける。

風は細い路地の隙間へと入り込み、まるで街そのものを探るかのように渦を巻いていた。

燃え残った灰、鍛冶場から舞う粉塵、Runeの光、そして薬草を焚いた煙。

それらがすべて空気の中に滞留し、一呼吸ごとに濃い不安を感じさせていた。

「身分証を提示しろ……」

槍の穂先を象った徽章を身に付けた兵士風の男が、槍を構えた。

もしYilfenが間違っていなければ、それはこの世界で見慣れた鋭利な武器だった。

そして、その槍先はYilfenの背中へと向けられている。

「カードならここにある。あんた、何をするつもりだ?」

「――貴様の身分を奪うのだ」

男はそう言った。

「お前……『清教連盟』の人間か?」

Yilfenは問い返す。

「だったらどうした? お前は何者だ? どうして俺たちのことを知っている? まさか、お前も『鉄の手』の……」

ドンッ――!

偽装兵は、その言葉を最後まで聞くことなく倒れた。

帽子を貫く弾痕。

Yilfenは、男が意識を逸らした一瞬の隙に銃を抜き、記念品代わりの一発を贈り込んだ。

ただし――報酬時間内の撃破だったため、撃破数には加算されなかった。

「どうやら……予想は当たっていたな」

「この二つの組織は、どちらも信用できない。しかも……俺が想像していた以上に腐っている」

「おい、あっちから音がしたぞ……!」

銃声を聞きつけた別の男たちが、こちらへ確認に向かってくる。

その間にYilfenは別の場所へ走り、周囲の様子を窺った。

「……あの高い見張り塔なら、状況を確認しやすそうだ」

――

19時45分。

ペナルティ2の発生まで、あとわずか。

Yilfenは高所へ登った。

街の中心。

そこからEdhenを見下ろした瞬間、彼は悟った。

ここは――もう安全な場所ではない。

最初は普通だと思っていた光景が、今では巨大な檻そのものにしか見えなかった。

遠方から、激しい爆発音と何かが燃える音が響いてくる。

街の中心にある商会本部。

行政庁舎。

そして商会の建物。

それらがすべて、激しい炎に包まれていた。

「……これは内戦なんかじゃない」

Yilfenは小さく呟く。

「これは……粛清だ」

「外から来た俺が、下手に介入するべきじゃない……」

そこで、ふと考える。

「待て。そういえば……街を出る前に、俺は会長へ一言、伝えておくべきだった」

「だが、このシミュレーションでは……Celes会長も、あの二つの組織の捕虜になっている可能性が高い」

「……俺が介入するべきじゃない」

今の状況で、誰も彼もを救おうなどと考える余裕はない。

Yilfenは歯を食いしばった。

無人の見張り塔を降り、安全なルートを確認しながら北門へ向かう。

しかし――彼はまだ知らない。

すでに数人の人間がRune 351の装置を使い、街全体を囲う準備を終えようとしていることを。

北側には、あと数個の装置を設置するだけで――Edhenという街全体が、文字通りの「生きた監獄」になる。

「――起爆予定時刻まで30分。組織の各員は、速やかに魔法陣を通って安全な地点へ避難してください……」

街の中心、その地下から響き渡るような声がこだました。

この戦いとは無関係な組織の人員たちが、次々と避難を始めていた。

しかし――

これから、さらに悪い何かが始まろうとしていた。

……

20時10分。

ペナルティ3まで、残り20分。

一方、Yilfenは北門から脱出するためには、戦車を使用しなければ難しいと判断していた。

シミュレーション時間も、まもなく限界に達する。

そして、北門を守る兵士の数も、先ほどまでとは比較にならないほど増えていた。

――T-34 1942:乗員4/4

――前進49km/h/後退7km/h

――76mm F-34砲:100発

――同軸7.62mm DT機銃:1,890発(63発/弾倉)

――……

北門の防衛線を突破するには十分な性能だった。

Yilfenは購入を選択し、即座に召喚する。

――T-34 1942 Rank II ― BR 4.0 stock 準備完了。

――購入して乗員を選択しますか?

(-22,000 SL、-6,300 SL)

――成功。購入および乗員訓練完了。

――召喚には300 SPが必要です。

――召喚前に搭載弾薬数を確認してください。

(BR-350A(MD-5信管):40/100

OF-350M:20/100)

「ひとまず60発でいい。シミュレーションが終わる前に、何としても脱出しなければ……」

――確認。

――戦車を召喚しています……

その頃、城壁の上では――。

あと二つ。

最後の二つのRune装置を置けば、Edhenは正式に巨大な牢獄となる。

その時だった。

ゴルルル……

ブルン……ブルン……

「……何だ、あれは?」

一人の兵士が叫んだ。

北門へ向かってくる、巨大な緑色の怪物。

「急げ……! あれを止めろ!」

しかし、もう一つの事実があった。

『清教連盟』側は、すでに北門にいた都市警備兵を全員襲撃し、殺害していた。

そして彼らの身分を奪い、兵士になりすましていたのだ。

今までの警備は、実質的には時間稼ぎに過ぎなかった。

『鉄の手』に包囲されている指導者たちを、街の外へ退避させるための時間を稼ぐこと。

だが――『鉄の手』は、まもなくこの街そのものを完全な牢獄へ変えようとしている。

結局のところ――最後まで生き残れる勢力は、一つだけだった。

ガチャ……ガチャ……

鉄の履帯が、二つの派閥による粛清の跡で灰に覆われた石畳を踏みしめる。

30トンの巨体。

45mmの厚い装甲。

T-34 1942が北門へ向かって進み、目の前に立ちはだかる防御施設を次々と押し潰していく。

VRによる補助がないため、Yilfenは戦車そのものの操縦補助を頼りにしながら、包囲網を突破していった。

20時20分。

ペナルティ3まで、あと10分。

そして、Edhen中心部の地下にある何かが、赤い7分のカウントダウンを始めていた。

戦車を走らせながら、YilfenはふとEliraとDariosのことを思い出した。

二人は現在、T-80BVMを保管している。

しかし――Yilfenは、彼らまでこの騒動へ巻き込みたくなかった。

「これは俺個人の問題だ。これ以上、他人を巻き込むべきじゃない」

「自分のルールは明確だ」

「関係のない人間を巻き込ませない」

「誰にだって、それぞれの事情がある」

「だから……これは、このシミュレーションが終わった後に、自分が改善すべきことの一つとして覚えておこう……」

ゴゴゴゴゴ……!

T-34 1942が、検問線を突っ切る。

その先から飛んでくる矢と槍をものともせず、さらに前進する。

ガキッ……!

ドォン……!

Rune 351の最後の装置が設置される、その直前だった。

まだ完全には閉じていなかった城門を、T-34は破壊した。

そして――

Edhenの外へ飛び出した。

「脱出……!」

「脱出できた……!」

しかし――

Yilfenは遠くまで逃げることができなかった。

森の方角から、一筋の光が走った。

続いて、凄まじい爆発音。

砲弾はT-34の車体を直撃し、エンジンを破壊した。

――被弾。

「くそっ……!」

「そんな……ありえない……」

「彼女は南にいるはずじゃ……」

フー……フー……フー……

フ……フ……

その時。

女の声が響いた。

低く、乾いた声。

死の気配をまとったその人物は、Leopardの上に堂々と立っていた。

魔法によって自動洗浄・浄化される学園の制服を身に纏い、YilfenのT-34を見下ろしている。

「ごきげんよう」

「二度目の再会ね」

「正確に言えば――あなたの名はCyran Yilfen、そうでしょう?」

Eは低い声でそう告げながら、LeopardをゆっくりとT-34へ近づける。

そして砲身の上に立ち、杖をYilfenへ向ける。

「自己紹介をしておきましょう」

「私の名はE――今はそういう仮名で呼んでおいて」

「前にあなたの目の前にあったもの……あなたも、すでに見ているでしょう?」

「Cyran Yilfen」

聞き覚えのある声が、シミュレーションの中に響いた。

これはあくまで予測に過ぎない。

しかし――このままの進行で現実になったとしても、それは時間の問題に過ぎない。

「今回が……私が名乗る最初で、そして最後の機会になる」

「あなたはもう、私の名を知ってしまったから……」

Eの声は、さらに恐ろしいものへと変わっていく。

Yilfenは怯まなかった。

Runeの照準と車長用視察窓を通して、目の前の人物を見つめる。

年齢は、自分より少し下に見える。

しかし、その服装からは明らかな権威と支配者としての雰囲気が漂っていた。

月明かりに照らされた学園の制服。

その背後には、Rune装置に覆われた城壁。

そしてYilfenは、口を開いた。

「お前……」

「仮名がE……だと?」

「まさか、お前の名前は……あの凶暴な帝国の歌の名前と同じなのか?」

それは、ただの推測だった。

しかし――その言葉は、最も触れてはならない場所へ命中した。

Eの本当の名前。

それは、かつてプレイヤーたちがドイツの技術ツリーについて冗談交じりに語っていた、あの繋がり。

悪評を背負ってしまった、とある民謡。

Eが自らの本名を明かしたことなど、これまで誰も知らなかった。

ましてや、その名は彼女の父と母が、あの民謡から取って付けたものだった。

そして今――その本当の名前が、皮肉にもこの力を知るYilfenによって、少しずつ暴かれようとしている。

狂気が、Eの周囲を包み始めた。

「あなた……」

「どうして……その名前を知っている……?」

「――死ね」

「死ね……」

「死ねぇぇぇぇ!」

Leopardの砲口が、T-34へ向けられる。

正確には――Yilfenが操縦する場所へ。

車内。

Yilfenは時計を確認する。

残り、約3分。

彼は分かっていた。

街から出ることができたとしても――遅かれ早かれ、彼女に追われる。

すでに砲弾は装填されている。

特殊弾――DM-53*。

あらゆるものを貫き通すために調整された砲弾が、すでに砲身へ収まっていた。

ドンッ――!

「たぶん……俺一人じゃ、ここから逃げ切るだけの反応速度が足りない……」

10……。

9……。

8……。

7……。

6……。

5……。

4……。

3……。

2……。

1……。

0。

――起動。

ピッ……。

ゴゴゴゴゴゴ……!

ズゥゥゥゥン……!

ドォォォォォォォォォン――――ッ!!

砲弾が砲身から放たれるよりも早く。

巨大な魔力爆発が、Edhen中心部を白く染め上げた。

それは、人工の太陽が生まれたかのような純白の光だった。

光が届いた場所から、あらゆるものが虚無へと消えていく。

ほんの一瞬。

中心部から放たれた魔力の奔流が、城壁の内側すべてを包み込む。

そして――そのまま城外へまで広がっていった。

まるで戦術級の爆弾が投下されたかのようだった。

しかし、そのすべては――魔力だけによって生み出された。

衝撃波は、およそ30kmにまで広がった。

Edhenの近くにいたYilfenも、Eも、そのすべてをまともに受けた。

そして――

Edhenという街そのものが、誰も想像しなかった形で消滅した。

――爆発威力:28kt相当。

――死者数:約290,418人。

それは、コンピューター上に表示された簡潔な結果だった。

しかし、その情報は――賭けの結果と報酬として表示されたものだった。

ピッ、ピッ……。

ピッ、ピッ……。

――賭け:ステージ失敗。

――現実へ帰還します。

――ステージ1報酬:10,000 SL。

――所持金および召喚アイテムは、使用前の状態へ復元されます。



第五部 ― 脱出への準備(1)

20時30分――。

Edhenは、すでに夜の闇へと沈んでいた。

朝から街を覆っていた霧も、すでに消えている。

「俺は……戻ってきたのか?」

Yilfenは頭痛を感じながら目を開け、部屋の天井を見つめた。

彼がシミュレーションへ入った時刻は18時30分。

そして現在――20時30分。

ちょうど二時間。

シミュレーションの中で過ごした時間と一致していた。

爆発の音は、まだ耳の奥に残っていた。

まるで雷鳴のような轟音。

その後に続いた耳鳴りが、いつまでも消えずに残っている。

Laptopの画面には、45日後のEdhenで起こる結末が、はっきりと表示されていた。

――結果:Edhen全都市の消滅。

――爆発源:不明。

――爆発威力:28kt。

――衝撃波到達範囲:30km。

――安全圏:15km以上。

――致死半径:5km。

――民間人的損失:約290,418人。

「……これが、起こることなのか」

Yilfenは無意識のうちに服の端を強く握りしめた。

手が震える。

たとえ今日Edhenから逃げ出したとしても――。

Eと名乗る女。

少なくとも、その名前を知ることはできた。

だが、それだけでは不十分だった。

彼女が本当に街へ侵入するのかどうか。

そして、あの魔法兵器が誰によって設置されるのか。

事前に起動時間まで設定された魔法兵器。

二つの裏社会組織による抗争。

さらに、その裏で動いている数多くの異常。

「……考えなきゃならないことが多すぎる」

その時――。

ゲームシステムから、新たな任務が表示された。

――新規任務:Edhenから安全に脱出せよ。

――推奨進行方向:北。

――制限時間:1.5か月(45日)。

――重要:Rank II、かつBR 3.0以上4.3以下の車両のみ使用可能。

――推奨車両:T-34 1942。

――車両召喚成功後の報酬:煙幕弾モジュール D-350A 解放。

「最初から用意されていたシナリオ……」

Yilfenは、任務一覧をじっと見つめる。

「ただ……この謎を解かなきゃならないのは、俺自身ってことか……」

しばらく考え込んだ後、Yilfenは任務を確認した。

――確認成功。

――残り時間:45日。

未来のシミュレーションから始まった任務。

だが、Yilfenにとっては十分すぎる時間だった。

二時間の体験の中で得られた情報は限られていた。

だからこそ――その限られた情報を使って、自分が犯した判断ミスを修正する必要がある。

Yilfenは強く拳を握った。

そして窓を開け、夜のEdhen中心部を見つめる。

朝に街を覆っていた霧は、すでに完全に晴れていた。

まだ温かいままの茶から立ち上る白い湯気の向こうで、彼は最後に呟いた。

「もし……この出来事が避けられないものなら……」

「俺は……生き残る方を選ばなきゃならない」

「そして……あの時の間違いを、修正する」

……

翌朝。

Yilfenは、この世界へ来た当初から持っていたアイテムボックスを利用して身支度を整えた。

新しい一日が始まる。

しかし、彼にとって最も重要なのは――。

Edhenから生きて脱出すること。

そして、つい先ほど知ったばかりの名――E。

その女による追跡から逃れること。

それだけだった。

(まだ奴は出てこない……もう少し観察する必要がある。それに……妙な出来事がいくつも起きている。もう、あの街へ入る気にはなれない)

一方、その頃。

EはまだYilfenを監視していた。

彼女の手元には、三か月分の生活用品を収納できる魔法のバッグがある。

魔力探知装置が、少しずつ奇妙な反応を捉え始めていた。

この街は、これから安全ではなくなる。

さらに――ある商会が行方不明になったという噂まで流れている。

その情報だけでも十分だった。

彼女は、Yilfenが自分から街の外へ出てくるのを待てばいい。

――まだ、彼は出てこない。

――だから、もう少し待つ。

Edhenは、現時点では出入りを制限していない。

ただし――45日目になれば、その制限が初めて現れる。

そして――。

Yilfenがこの世界へやって来てから、すでに6か月と5日が経過していた。

――第10章・完――

【総まとめ】

通貨:金貨3枚40銀貨

車両:

Bt-5

45mm弾:30発

7.62mm弾:1,500発

SL:672,000

累積XP:2,210

現在SP:300

GE:?

GJN:?

War Thunderバージョン:10/2020

Backup*:2

――BTR-152A(Anti-Air)

――All vehicles

+1 Backup Air Rank III All Vehicles

+1 Backup ZiS-30

+1 Backup Gaaz - 7.62mm


外伝 ― Xillem商会、その最後の数分間の真実

俺の名はJohn。

かつては船乗りだった。

そして、Edhen近郊の予備港へ、いつも通り無事に入港した後――生き残った最後の五人のうちの一人になった人間だ。

俺は中規模商会であるXillemの一員だった。

仕事は、AmeからEdhenへ商品を運び、流通させることで、商会の資金の流れを維持すること。

俺たちが生き残れたのは、ただの幸運だった。

いや……正確には、長期保存できる最低限の物資を持って蒸気船へ戻り、碇を上げ、追っ手から逃げ切っただけだ。

Xillemは、もう存在しない。

そして俺たちは、より大きな商会に救助され、Ameへ向かって海を漂流することになった。

Ameへ戻ってから、俺は初めてこの話を信頼ある新聞社へ伝えた。

それは、中規模商会の一団が崩壊するまでに経験した、最も大きな危機の一つについての話だ。

その出来事は、こうだった。

「鉄の手 ― Iron Hand」。

それは、Edhenの裏社会の二分の一を握る二つの勢力のうちの一つだった。

そして、その敵対組織が「清教連盟 ― Puritan Alliance」。

俺たちは金を払い、彼らの勢力圏内にあるVelindiaの重要都市、そしてEdhen最大級の発展都市とされる場所に、Xillemの支部を置かせてもらっていた。

二年間の平穏。

情熱に満ちた少女たち。

黙々と働く従業員たち。

そして、懸命に荷物を運ぶ運搬員たち。

俺たちは、ただAme――何万里も西に離れた大陸――から蒸気船で商品を運ぶだけの仕事から、少しずつ商売を広げていった。

だが、その平穏が永遠に続くことはなかった。

あの週末の最後の日。

それが、中規模商会Xillemを完全に破滅させることになった。

俺と他の仲間たちが、管理者を探しに行った時だった。

奇妙な男が現れ、自分は「新しい管理者」だと名乗った。

その男は、これまでの管理者がどこにいるのかも知っていた。

現在の管理者は行政施設で仕事をしている。

新しい身分証を作るため、行政施設へ行けばEdhenへ入れる。

そう言って、俺たちをある奇妙な建物へ案内した。

港から約1マイルほど離れた場所だった。

三隻の船から集められた仲間は、見張り役の四人を除いて、総勢80人。

その全員が、その男に連れて行かれた。

しかし、船団の船長は何かがおかしいと感じ、彼に尋ねた。

「ここが登録所なのか? どう見ても倉庫にしか見えんが?」

男は、ただこう答えた。

「そのまま中へ入ってください。彼がお待ちです……あなたも規則はご存じでしょう?」

長年この街で商売をしてきた船長も、Edhenの規則をよく理解していた。

だが――。

俺たちがその男と一緒に中へ入った瞬間。

唯一の扉が、突然、

バタンッ!

と閉じた。

そして、閂が掛けられた。

入ってきた80人以上の人間が、一瞬にしてその場所へ閉じ込められた。

その建物の舞台には幕が下りていた。

やがて、その幕が左右へゆっくりと開いていく。

「う……うぅ……」

「ど……どうして……君が……Mary……?」

「そ、そんな……ありえない……お前たち……何をしている……?」

舞台の上にいたのは、Edhen支部で働いていた少女だった。

そして、その周囲には他の者たちがいる。

その中には、俺たちがよく知っている管理者たちもいた。

彼らは縛られ、口には布を詰められ、さらに口元を塞がれ、身に着けていた服もすべて剥がされていた。

俺たちをここへ案内した男も、そこでようやく仮面を脱いだ。

その服には、裏社会組織「鉄の手」の徽章が付いていた。

そして部下たちに命じ、クロスボウを俺たち商会員へ向けさせる。

その数――40人から50人。

それだけのクロスボウが、一斉に俺たちへ向けられていた。

「おお、お前たちは長いこと『清教連盟』のために働いてきたんだな」

「悪く思うなよ」

「ここはすでにRune装置によって封印されている。どれだけ騒いだところで、お前たちを皆殺しにするのは簡単なんだ……」

「『鉄の手』か……!」

船長が叫ぶ。

「なるほどな。支部の連中や管理者と連絡が取れなくなっていたのも、お前たちの仕業だったのか……!」

「その通りだ」

男は笑った。

「俺たちは何年もの間、自分たちの縄張りが『清教連盟』に奪われていくのを、ただ黙って耐えてきた」

「だが、まさか奴らに長年存在する弱点があったとはな」

「――お前たち、Xillem商会だ」

「お前たちさえ存在しなくなれば、遅かれ早かれEdhenの裏社会はすべて俺たちのものになる」

「ははははは!」

「ふん。まさか俺たちが丸腰で来たと思っているのか?」

船長が言った。

その手は、すでに腰元へ伸びていた。

Ameでは自由な気風が強く、武器を身に付けていること自体は珍しくない。

「当然だろう」

男は得意げに笑う。

「お前たちの船にある武器なんて、大砲と火縄銃が数丁程度だ」

「そんなもので、俺たちとやり合えると思っているのか?」

「全員、構えろ……!」

ドン……!

ドン……!

ドン……!

先ほどまで得意げにしていた案内役の男が、突然倒れた。

頭から血を流し、その場に崩れ落ちる。

船長の手には、P-1911に似た形状の拳銃。

そして数人の仲間たちも、それぞれ古い6連発のリボルバーを取り出し、待ち伏せしていた敵へ向けて撃ち始めた。

だが――。

ヒュン、ヒュン、ヒュン……!

バスッ、バスッ、バスッ……!

銃を持っていたのは、たった6人にも満たなかった。

これでは、奇襲を受けた状態で押し寄せるクロスボウの矢に対抗するには、あまりにも火力が足りない。

敵たちも剣を抜き、接近戦へ持ち込んできた。

素手の船員たちへ、一斉に襲いかかる。

船長も身体に四本以上の矢を受けた。

それでも、最後の力を振り絞り、俺へ拳銃といくつかの弾倉、そして遺品を託した。

「逃げろ」

「Ameへ戻って、これを俺の家族に届けてくれ」

「火遊びを長く続ければ、いつか本当に火がつくものさ」

「……お前には、俺の代わりに生き続けてほしい」

それが――。

彼が最後に残した言葉だった。

そして、そのまま息を引き取った。

俺は……すべてを置き去りにして逃げるしかなかった。

船長は、他の仲間たちとともに倒れていった。

だが、戦況が一方的に「鉄の手」へ傾いていた混乱に乗じて、俺は一つの脱出口を見つけた。

小さな扉を破壊して外へ出る。

しかし――。

外には、奇妙なRune装置が立ちはだかっていた。

その時、俺はわずかな隙間を見つけた。

数発の弾丸を撃ち込み、Rune装置を破壊する。

そして、そのまま全力で船へ走った。

そこでは、四人が待っていた。

追ってきた連中も何人かいた。

だが、そいつらにも「鉛玉」という名の土産を渡し、二度と追ってこられないようにした。

それ以来、俺はAmeへ戻って暮らしている。

そして――二度と海へ出ることはなかった。

これは、すべての商船団に伝えたい血と涙の教訓だ。

どんな場所へ行くとしても、常に十分な武器を身に付けておくこと。

危険は、決して避けられない。

Velindiaとの交易そのものには、何の問題もなかった。

しかし――利益や権益の衝突によって、他者から狙われる。

それは、他の商会も基本的な教訓として学ばなければならないことだ。

死ぬか生きるかの経験。

だが、それは同時に――あまりにも高価な授業料でもあった。

俺の話を最後まで聞いてくれて、ありがとう。

いつかまたAmeで会おう。

――西の荒野が、今も人々を待っている。

そう遠くない未来に……。

ザー……ザー……。

Ame放送局からのニュースは、ここまでとなります。

それでは、皆さん――さようなら。

また次の放送でお会いしましょう。

♪――――

音楽が流れ始める。

Ameの住民たちが誇りとしている、あの曲だ。

再び、その歌が響き渡る。

Arise! O Knowledge-seekers of the new age,

「立ち上がれ! 新たな時代の知識を持つ者たちよ!」

Stand up! Against the tyrannical law and its outrage!

「立て! 暗き圧政の鎖を打ち砕け!」

Citizens of Ame, united, heart and soul,

「Ameの民よ、心を一つにして誓おう!」

Regardless of color, regardless of race, we march toward our goal.

「肌の色も、種族も関係ない!」

We gather here, assembled in this place,

「我らは共に歩み続ける!」

To write with blood the history of our case,

「ここに集い、共に歴史の一頁を血で刻み!」

To formulate the Constitution of the Republic of Ame!

「このAme共和国憲法を、我らの手で創り上げるのだ!」




「ハハハハハ……!」


「まさか、ここ数十年もの間、あの『清教連盟』を名乗る連中がEdhenの裏社会を占めているせいで、俺たちが平和条約を維持し続けなければならなかったとはな。」


「今じゃ、奴らは自分たちの金すら守れない。」


「一万二千人近くいるとかいう連中が、今や俺たち八千人を相手に、どれほど役に立たなくなっていることやら……」


――カウントダウンが始まる。


やがて、各ギャングは二つの陣営へと分かれ、集結していく。


### 次回予告


**第11章 ―― 内戦 II:都市に捧げる葬送曲**


予定日:2026年8月25日(8月第4週・火曜日の午後)


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