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第百六十七話 街近くの森の中にて

手直し中に一部データを消してしまったため、再度手直しなどで通常より遅れて12時半の投稿となりました。申し訳ありません。


「今、近くで物音が⋯」

『ソイル、エニカ様の護衛を。ヒサメはエニカ様より左斜め前にある木の周辺を警戒。エニカ様はそのまま動かずに。微弱ですが魔物の気配があります』

「ピギャッ」

「分かった」

 私が謎の物音について口に出し終えるより先に、コロの冷静な指示が飛んだ。

 ソイルとヒサメも一瞬にして真剣な顔つきになり、慎重に辺りを見渡している。

「今の所、あの木から魔物が飛び出す様子は見られないよ。様子を見に行っていいかい?」

『魔力探知では微弱な反応のまま、大きな動きはありません。お願いします。油断はしないように』

「勿論」

 コロとの短い言葉のやり取りを終えると、ヒサメはすぐに物音が聞こえた木の周辺を捜索し始めた。

「コロ、魔物がいたことに気付いてたの?」

『はい。エニカ様をご不安にさせてしまい大変申し訳ございません。

 エニカ様の()()()前に周囲の確認は行っておりましたが、段々と弱まる反応を示す魔物以外、他の魔物は感知されなかったため、様子を見るに(とど)めておりました』

「魔物がいたんだったら別の場所で用を足した方が良かったような⋯でも、段々と弱まる反応だったていうのはどういうこと?」

『それはですね⋯』

「おーいコロ君、この木の辺りを見て回ったけれど魔物の姿が見えないんだ。

 木の上にいたり、擬態しているのかとも思って探したけど、それらしい姿も見掛けない。今も魔物の反応はあるのかい?」

 段々と弱まる反応とは何か。コロから教えて貰う前にヒサメの声が聞こえて来た。

 え?魔物の姿が見えない?

『今、魔力探知を行いました。魔力探知を行なっている今も変わらず弱いままですか反応はあります。ほとんど死にかけている魔物が近くにいる筈です』

「分かった。もう少し注意深く探して見るよ」

「死にかけている魔物?」

「ピギャッ?」

 ヒサメの返事を聞きながら、思わず側にいたソイルと顔を見合わせた。

『ええ。反応に気付いた当初はこの近辺に手負いの魔物がいるのではと警戒しておりました。

 しかし、手負いの魔物であれば周囲の気配に敏感になっており、私達の気配に気付いて逃げるか襲うか何かしらの行動を取ってくることが多いのです。

 ですが、こちらの様子に気付いているか否かは定かではありませんが何の行動もしてこない上に、魔力自体も小さく弱々しく、時間が経つにつれ段々と反応が弱くなっていることから死にかけているのではないかと推測しておりました』

「なるほどね⋯でも、その⋯死にかけてるかもしれないとはいえ、魔物の近くでトイレするのは良かったの?」

『私の能力不足といってしまえばそれまでですが、あまり対象から距離が離れてしまうと魔力探知が出来なくなってしまうので、探知や対処が行える範囲内で様子を見ていたのです。

 今回は護衛としてソイルとヒサメがいたことと、相手の位置が把握できなくなる方が万が一の時に対応が遅れてしまう可能性も出てきますので、この場所でのエニカ様のご清浄は可能と判断致しました。

 相手に私達を攻撃する意思が無ければ、わざわざ私達の方からも攻撃や(とど)めを刺す必要もありませんので、あえてエニカ様にお伝えをしておりませんでしたが⋯却ってエニカ様へご不安と不信感を与えてしまうことになり、申し訳ありません』

「謝らなくていいよ。だけど、コロのことだから色んな可能性とか考えた上で判断してくれてるとは思うけど、もし気付いた時には次からは私にも教えてほしいな。

 私自身も気を付けてるつもりだけど、今みたいに気付けてないこともあるから教えてもらった方が安心するよ」

『エニカ様⋯承知致しました』

「コロ君、もしかしたらこれが魔物かもって思うのがいるんだけど、正直自信がないからいっそのことこの辺り一帯を氷漬けにでもした方が良さそうかい?」

『ヒサメ、私も直接確認しますので少々お待ち下さい!まだ氷漬けにはしないで下さいよ!

 エニカ様はこの場でソイルと待機を⋯』

「待ってコロ、危険かもしれないってのは分かるけど、どんな相手かも分からないから確認に私とソイルも一緒に行っていい?」

「ピギャピギャッ!」

 ヒサメが色んな可能性を考えた上で探して見つけてもはっきりと断定が出来ない程の魔物だ。

 私はともかく戦力となるソイルもいるから、二手に分かれるよりも私とソイルも一緒に行って確認した方が、何事か起こっても対処がしやすくなるのではないかと思い、私とソイルも一緒に行くことをコロに提案をしてみた。

『エニカ様の仰ることも一理ありますが⋯承知致しました。では参りましょう!エニカ様!ソイル!』

「うん!」

「ピギャッ!」

 コロの呼び掛けを合図に、ヒサメの元へと向かった。


「ヒサメ!確認してくれてありがとう。魔物⋯かもっていうのは何処にいるのかな?」

「ごめんよエニカ様、二人とも。此処までこさせちゃって。

 もしかしてこれかもしれないんだけど、魔物なら初めて見るし動かないから本当に魔物なのか確信が持てなくてさ⋯」

 ヒサメが自信なさげに木の根元へ指を差す。そこには⋯


「枯れた植物?」


 丸く小さな、茶色く枯れたように見える植物が一株、木の根元に転がっていた。

 近くに似たような形の植物は見当たらないし、枯れた植物もないところを見ると、さっきの軽い物音の正体はこの謎の植物で間違いなさそうだ。

「ピギャア?」

 私の足元から顔を覗かせたソイルも初めて見たのだろう、不思議そうに首を傾げている。

 うーん⋯どう見ても魔物には見えない。

 でも、見た目で油断させる魔物は多いって聞くから油断は出来ないけど。

『この魔物はやはり⋯!』

「!? コロ、この植物ってやっぱり魔物なの⋯!?」

 森に入ってから猫耳の擬態を解いて右肩に乗るコロから驚くような声が聞こえてきて、私も咄嗟に聞き返した。

『ええ。この魔物はガーディアン・ガーデナーというとても珍しい魔物です』

「「ガーディアン・ガーデナー?」」

「ピギャア?」

 コロの言葉に私だけでなく、ヒサメとソイルも疑問符を浮かべた。

『ガーディアン・ガーデナーとは緑と魔力が豊富な森を住処にしており、棲み着いた森を更に豊かにする特性を持つと言われている丸い植物の形をした妖精に近い魔物です。

 しかし、その特性から他の魔物や他種族から狙われることが多く、滅多に人前に姿を現さないと言われております。現に実物を目の当たりにしたのは私も初めてです。

 今この場にいるのは恐らく幼体。実際のガーディアン・ガーデナーはエニカ様の背を優に越す程の大きさに成長するそうです』

「そんな珍しい魔物が何で此処に⋯しかも死にかけてるなんて⋯」

 再び木の根元にいる枯れた植物―ガーディアン・ガーデナーに目を向ける。

 大きさは今のソイルと変わらないぐらい。

 けど、カラカラに乾いて自分で立てなくなる程弱りきった姿を改めて見てしまえば、居ても立ってもいられなくなってしまった。

「コロ、この子はまだ生きてる?」

『辛うじて。しかし、助けられるかと言われればはっきり申し上げると不可能に近いです』

 コロには私がこの小さな子を助けることが出来ないか考えていることがすぐに分かったのだろう。

 そして、その手段が無いに等しいこともはっきりと、すぐに教えてくれた。

「エニカ姉様が例え魔物でも弱っている者を放っておけない性格なのは知っているつもりだ。

 ⋯⋯ボクだって姉様に救われたからね。

 だけど、手段が無い以上、今のボク達に出来ることと言えば⋯この子の最期を見届けることだけなのかなと思うよ」

「ピギャァ⋯」

 ヒサメとソイルが気遣わしげに話しかけてくれた。

 ⋯⋯みんなにもこれ以上、私の我儘で待たせる訳にはいかない。だけど、せめてこの小さな子に何かしてやれることは無いか。

 そう頭の中を一所懸命フル回転させた時、あることを思い出した。


 そうだっ⋯!!まだ()()がほんのちょっと残ってた筈⋯!!それを使って⋯!!


 私はすぐに肩掛けバッグからある物を取り出した。

次回更新日は5/11の予定です。

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