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86.結末


「貴女に聞きたい事が有る」


わたしの言葉にクレア・ギッテンスはゆっくりと顔を上げ虚ろな瞳で見返した。


「王国の薔薇はお前に尋ねたい事が有るそうだ。

嘘偽り無く答えろ」


アンバーの言葉(めいれい)にクレア・ギッテンスは力無く頷いた。


「クレア・ギッテンス、わたしは貴女に『永遠の星の下に』の結末を教えて欲しいの」

「ケツマツ」

「ロージー・ブルックスが実は生きていて、ヴィーを名乗るミア・パターソンは破滅する。

その後の事が知りたいの」

「……ソノアト?

ソノアトハ、ナイ。

エリオットガ、ロージーハ、イキテイル、タダヒトリノイトシイヒト、センゲンシテ、ホンペンハオワリダ」

「本編?」


其処まではわたしも読んだ。

読んだけど、まだ残りのページが随分あったはず。

それに本編?

まさか続編があるって事?


「ショウセツデハ、ソノアト、ロージーニマツワルダンセイタチガ、ヒトリヒトリ、エピソードトシテ、スコシダケクローズアップ、サレル」


「エピソード?」


「ソウダ。

オウタイシ、スタンリー、デュラン、ロイ、トノエピソード」


「どんなエピソード?」


「ソレハ、レンアイエピソード、ニキマッテイル。

オトメゲー、ノヨウニ、センタクシ、ガアルオワリカタ、ダッタ」


選択肢?

恋愛の?

王太子(ギル)もスタンリーも、デュランもロイくんも、皆んな大切な仲間で大好きで愛情だってある。

皆んなもきっと同じ気持ちでいてくれているんだと思う、けど、恋愛感情?

それは無いと思う。

妹とか、ロイくんならお姉さん、みたいな。


「ホンペンハ、ジケンカイケツデ、オワリ。

ソシテ、カンマツニ、ゾクヘンノヨコクガアッタ」


「続編?内容はわかる?」


「シラナイ。

コレイジョウ、ナニモシラナイ」


続編、でもそれについては、もうわからないって事だよね。


クレア・ギッテンスが黙りこくったので、アンバーが珍しく気遣う様に言った。


「クレア・ギッテンスが本物の転生者なのか、唯の狂人なのかは判断がつかなかったが、確かに自分達が登場する物語があるなら、気になるのは当然だよ。

だがな、ロージー・ブルックス。

物語がどうあれ、結局のところ自分の人生は自分で考え行動し切り拓いて行くものじゃないか?

物語に翻弄され、右往左往していたらつまらないじゃないか」


ああ、その通りだね。

記憶が戻った時は殺されない様に必死だったけど

今はもう違う。

これからは手探りで自分が決めた道を歩いて行くんだ。


アンバーの言葉がストンと胸に落ちる。


「その通りだと思うよ、アンバー」


アンバーが頷いてくれるのを見て、初めてこの人をわたしの姉なんだな、と認識した。

そしてふと、あのブルックス侯爵家の事が何故か気になった。


「あの、アンバー、そう言えば、ブルックス家の人たちは今どうしているの?」


アンバーは、おや、と言った素振りで瞠目したが、ため息を吐きながら言った。


「お父様は私が魔法院の副院長になって憑き物が落ちた様に魔法への執着が無くなってね。

かなり、魔法にコンプレックスが有ったのだろう。あの人も無能と言われ苦しんだ口だからね。

どうやら私の闇魔法を見てその思いも昇華された様だ。

魔法以外は有能な人だから、今は領地経営もしっかりやって立て直しを図っているよ。

父親としてはかなりポンコツだがね」


そうか、あの人も魔法の名門と言うブルックス家に囚われた可哀想な人なのかもしれない。


「お母様は少しお灸を据えたから、すっかり大人しくなって浪費もしなくなったよ。

相棒のマチルダを嫁に出したからね。

お相手のドローワ男爵は一角の人物でね。

街のチンピラや道を踏み外した人間たちを更生させる手腕は大したものなんだ。

闇魔法並みだよ。

マチルダの事は新たな孫だと思って教育してくれるそうだ。

金も持っているから、マチルダにとっては悪くない縁談だったと思うよ。

あのままでは、マチルダは間違いなく身を滅ぼしていただろうからね」


アンバーは素っ気ないフリをしてるけど、家族の事をちゃんと考えているんだね。


「でも一番気掛かりだったのはロージー・ブルックス、君だ。

私も自分の事で精一杯で結局何もしてあげられなかった。

申し訳なかったと思っている」


そう言ってアンバーが頭を下げるので、胸がキュッと苦しくなった。


「ううん、アンバーだって子どもだったから、どうしようもなかったのはわかってる。

わたしを陥れようとした訳でも無いし」


お母様(あのひと)がマーフィーと結託して娘を売りに出そうとしていた事を知った時は愕然としたよ」


「ブルックス侯爵夫人の企みを知ったアンバーは

すぐさまジェンキンス公爵(ちちうえ)に知らせてくれたんだ。

だから、奴等の企みを未然に防ぐ事が出来た」


ずっと難しい顔をしていたエリオットが口を挟む。


そうだったんだ。


「ありがとう、アンバー、

ううん、アンバーお姉さま」


アンバーが真っ赤になった。


「オイ、聞いたか?

ジェンキンス卿、ウォルター。

お姉さまと言ってくれたぞ!

感動だ!」


凄く喜んでくれてわたしも嬉しいよ。


「そうか、お姉さま、か。

と言う事は、ロージーがジェンキンス卿と結婚してジェンキンス公爵の義娘になれば、その姉の私も義娘だ!

素晴らしい!」


何処までも『ジェンキンスのおじさま命』のアンバーだった。














お読みいただきありがとうございます。

次回最終話となります。


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[一言] ついに最終回が…! 楽しみにしてます✨
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