87.それから
あれからひと月余りが過ぎて、王国にも平穏が戻って来た。
「王国の薔薇様は何方と結婚されるのだろう」
「そりゃ、婚約者のエリオット・ジェンキンス卿に決まっているだろう!」
「いや、あの婚約はギッテンス一味壊滅の為の擬装婚約だったって、もっぱらの噂だぞ」
「エリオット様も素敵だけど、やっぱり王国の薔薇様には王太子妃になって貰いたいわ」
「ずっと一緒にお育ちになったシモンズ卿とかデュラン卿かもしれないぞ」
「まだ子供だけどロイくんも可愛いわよね」
「青い炎のロイくん、王都の女性たちがメロメロになっているのよ」
ギッテンス公爵の反乱についての詳細が発表されると、王都、いや王国を様々な噂や憶測が飛び交うようになってしまった。
主にわたしの結婚について。
何故か五銃士の皆んな其々がわたしの旦那様候補として挙がっている。
ロイくんなんて、未だ8歳だよ?
解せぬ。
そんな噂や憶測の中に幾分事実が含まれているのが厄介なところ。
おかげで最近は公爵邸から出る事もままならない。
たまに王宮からの呼び出しで出掛けるくらいだ。
その度に王太子から、「未だ婚約者が決まらないんだ、ロージー、どう?」などと冗談を言われるのを重臣、近衛騎士や侍女さんたちまで聞いているから、噂に尾鰭がついちゃうのだろうな。
冗談なのに。
最近はデュランまで「ロージーがお嫁さんになってくれたら嬉しいのになぁ」とかギルの真似をし始めた。
すると、スタンリーも小さな声で「俺も」とか参戦し始めて。
そうなると、甘えっ子のロイくんがわたしの膝の上から離れなくなり。
もう、皆んなでわたしを揶揄って遊ぶのはやめて欲しい。
エリオットに至っては
「俺はロージーを信じている」
なんて言って、その信じているは信じてないから言ってない?とか少々疑心暗鬼になったりする。
「わたしはエリオットの婚約者だよ。
エリオットが大好きだもの」
そう言うとエリオットは相好を崩し笑って抱きしめてくれる。
「兎も角、さっさと結婚しよう!
来月、いや、来週、いや、明日でもいい!」
おかしい。
完璧な男エリオットが壊れ始めている。
これは、早めに結婚しないと駄目かな?
そう言うとまたギルやデュランやロイくん、挙句スタンリーまでが、口を揃えて
「未だ早い!!」
そうだね、エリオットの事は大好きだけど、
ロージー・ブルックス16歳。
まだまだ色々な事に挑戦して人生を切り拓いていきたい。
だから、エリオット。
もう少しだけ待っていてね。
ーfinー
最後まで読みいただきありがとうございます。
本編は完結となりますが、後日エピソードや番外編を投稿したいと思っています。
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