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84.玉砕

 

 国母?

 それって未来の王様になる子どもを産むって事?


 …………………………………………………………。


 ん?

 わたし、また揶揄われた?

 やだなぁ、ギル、冗談が過ぎる。

 そうだよね、わたしが王太子妃とか、柄じゃないし、あり得ないもの。

 妃教育も受けてないし。

 そもそも、公爵夫人だって身に余り過ぎる。

 ………………………………………。


「ロージー?」


 首を右へ左へ捻るわたしは不審だったらしい?


「アハハハハ!

 うん、ギルありがとう。

 今のわたしじゃ公爵夫人とか身にそぐわないよね。

 うん、ジェンキンスのおばさまにお願いして、いろいろ教えて貰うよー。

 心配かけてごめんね」


 何故か五銃士の皆んながぽかーんとしている。


 あれ、なんか変なこと言っちゃった?


「プッ、ロージー。

 その斜め向こうの思考、流石過ぎる」

「決死の告白が玉砕過ぎる」

「うん、鈍過ぎて王太子(ギル)が可哀想だわ」

「おうたいしさま、たちなおれないね、これは」


 んん?

 またまた、皆んな失礼な言い草?

 何故かギルが床に崩折れている。


「あれ?ギルどうしたの?

 大丈夫?」


「ロージー、頼む!

 これ以上トドメを刺すのはやめてくれ。

 王太子(ギル)が再起不能になる」


 デュランも何故か涙目で訴えかける。


 わたし、なんかしたんかな?


「ロージー、行こう」


 エリオットだけがニコニコして、わたしを温室から連れ出した。


「えっ?

 もういいの?

 何か中途半端な気がするし、ギルもデュランも様子が変だし」


「いや、立ち直るまで時間が掛かるから放っておこう。

 それに、ロージー、クレア・ギッテンスにもう一度会いたいだろう?」


 そうだ。

 クレア・ギッテンスに会って、永遠の星の下に、の結末を知りたい。


「うん、聞きたい事がある」

「クレア・ギッテンスも極刑が決まって、今は魔法院の地下牢に居る」

「アンバーにも会える?」

「そうだな、まだ後始末に駆け回っているだろうが、少しなら時間が取れるだろう」


 反乱の後始末の魔法処理は朝までには大方片付いて、事務処理は文官へ、実質的な後片付けは騎士団や憲兵団へ回されたそうだ。


「皆んな徹夜だったんだよね。

 大丈夫かな?」

「俺たちはさっきロージーに癒して貰ったからね、心配ならアンバーたちも癒してあげたらいい」

「そうだね!

 クマくらいは治せるかも」

「…いや、根本から回復したぞ」

「えっ?そうなの?」


 それって人まで浄化出来ちゃうって事なのかな。

 聖魔法、恐るべし!


 首を捻るわたしをエリオットが凄く優しい眼差しで見つめる。

 それ、恥ずかしいし、居た堪れないんですけど。


「ロージーは公爵夫人になる為にこれから頑張ってくれるんだろう?」


 何だろう、唐突に。


「うん、今のままじゃいろいろ足りないって、さっきギルが教えてくれたから。

 エリオットが好きなだけじゃダメなんだよね、公爵夫人って。

 品格とか、リーダーシップとか?

 身につけなくちゃいけない事がいっぱい有るけど

 エリオットに相応しくなれる様頑張る!」


「ロージー、今だって十分だが、頑張ろうと思うその気持ちが愛おしい」


 エリオットはわたしをぎゅっときつく抱きしめると、唇を重ねた。


 ひゃーーーー、幸せ。


 いや待って!

 此処、王宮殿の廊下!

 侍女さんとか、騎士さまから見られてるよー。


 あ、穴があったら入りたい、です。







お読みいただきありがとうございます。

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