73.思い
へっ?
わたしにいいところを見せたい?
二人ともいつもそうだった。
張り合って何方が上か競っていた。
結局、いつも1番はエリオットで、スタンリーは皆んなと競うけど、いつも優しく見守ってた。
幸せだったな。
今ももちろん幸せだけど。
こんな事件に巻き込まれ無ければもっと幸せだっただろうけど。
あれ、でもこの一連の事件が無かったら、どうなっていたのかな。
うーん、でもそれを考えても詮無い事だ。
でも今は操られたギッテンス領民を助けないとね。
王宮騎士団の敷地内に着くと、もう多くの騎士達や魔法師達が整列していた。
わたしたちが到着すると、騎士たちに前へと促されてしまい先頭にたどり着くと雛壇があった。
騎士団の多分地位のありそうな30代位のイケメン騎士に連れられ、エリオット、スタンリー、ウォルター、わたしが雛壇に登ると、一斉に「オー」と言う声がかけられた。
す、凄い。
「聖女さま!」とか「エリオット様」とかアイドルスター並みの声援に居た堪れなくなり、俯くと、更に「ワーーー」と声が上がった。
何事?と顔を上げるとジェンキンスのおじさまが、イカツイ強面の男性と共に雛壇に登壇されるところだった。
白い魔法師ローブをはためかせ、颯爽と登壇されるジェンキンスのおじさまは美神かと見まごう程の威厳と華麗さを纏っている。
あと20年もしたら、エリオットもおじさまみたいになるんだろうな、と思わず見惚れてしまう。
アンバーの気持ちがわかる。
そのアンバーはどう見ても目がハートになっていて、ジェンキンスのおじさまの後ろを忠犬よろしくついていく。
うん?アンバーのお尻にまぁるく振られる尻尾が見える?
横振りじゃなく、丸く丸く、振られている?
思わず目をゴシゴシ擦るけど、やはり尻尾が見える。
うん、見なかった事にしよう。
わたしはあまりにも可愛いアンバーからそっと目を逸らした。
ジェンキンスのおじさまは登壇すると、すっと右手を上げた。
すると一瞬で静寂が訪れた。
「これから我々は王太子殿下の第一陣に続き出陣する。
ギッテンス公爵は領民を盾に進軍して来ている。
許されざる暴挙だ。
我々はギッテンス公爵一味を殲滅し、王都と領民を守る為に戦う。
民を守れとの陛下からの勅命である。
それには君達も含まれる。
決して命を落とすな」
場内はシーンと静まり返る。
見れば涙ぐむ者さえいる。
すると先程ジェンキンスのおじさまと共に登壇したイカツイ強面の男性が声を上げた。
恐らく騎士団長さんかもしれない。
「心配するな!
我々には聖女がいる!
そしてその五銃士も共に戦ってくれるのだ!
必ずや無辜の領民を正気に戻し王国に安寧をもたらそう!
その為にギッテンス一味を殲滅しよう!」
ワーーーと盛大な拍手に包まれ、居た堪れないが、皆んなで協力して必ず領民を正気に戻してあげたい、と強く思うのだった。
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