71.領民
「私は行かないぞ。
我が院長に詳細を報告しなければならないからな」
そうだ、アンバーの優先順位はあくまでもジェンキンスのおじさまが一番。
でもアンバーが居ないと三位一体攻撃が。
「アンバー、父上も勿論王太子殿下と共に正規軍に加わる。
稀代の光魔法師だからな。
そうなれば、当然、稀代の闇魔法師アンバー、君の力が必要になる」
「そうか!
ジェンキンス公爵が参戦なさるなら、右腕の私がお側に居なくては話にならないな!
よし、行くぞ!今すぐ!」
アンバー、ジェンキンスのおじさまに弱過ぎる。
闇魔法は秘密じゃ無いの?
でもこの緊急事態だから仕方ないのか?
それよりも、わたしの正規軍参加には反対すると思っていたエリオットが援護してくれた。
やっぱり、ギッテンス公爵の力量がわからないから念には念をと思ったのかな。
「ロージーは俺がしっかり護るが、いつものようにちょろちょろと動かないように」
ふぇ?
ちょろちょろって酷くない?
いつものようにってそんなに信用ないのかな?
わたしが首を何度も捻っていると、
「自覚が無いようだから尚更だ」
と、氷点下攻撃来ました。
それからわたし達は、クレア・ギッテンス公爵令嬢を魔法院の地下牢に投獄し、急ぎ王宮殿に向かう。
そう言えば、どさくさ紛れで、永遠の星の下にの結末を聞き損ねてしまった。
エリオットがロージーを愛している、って強烈ワードで頭が沸騰してしまったのよね。
ただ、今はそれよりもギッテンス公爵の陰謀を頓挫させなければ。
王宮殿に着くや否や、スタンリーが慌ただしく駆け寄って来た。
「エリオット、大変だ。
ギッテンス公爵が反乱軍を動かし王都に向かっていると魔鳥で連絡が来た」
「殿下とデュランはもう出立した」
エリオットとわたしは顔を見合わせる。
「ジェンキンス公爵はどうされた?」
アンバーが勢い込んで尋ねる。
「ジェンキンス公爵は第二陣の指揮を執る。
四人は其方に合流して欲しい。
もちろん俺も参戦する」
「敵の数は?」
「……3万」
「3万?
結構な数だな」
「正規兵は数千に満たないらしい」
「残りは?
まさか、領民か?」
「……残念ながらその通りだ。
闇魔法で操られているらしい」
「ええっ?」
3万もの人間を操るなんて、ギッテンス公爵にはそれ程の力があると言う事なの?
それに操られた無辜の領民を傷つける事は出来ない。
不安が顔に出たのだろう、スタンリーが優しく手を握ってくれた。
「それは拘束魔法では無いな。
拘束魔法はそれ程魔力を必要とするわけでは無いが、一度にかけられる人数は私でも精々数十人と言ったところだ」
アンバーの言葉に戦慄する。
あの拘束魔法を一度に数十人?
それ、怖い。
「それって恐らく集団催眠でしょうねー」
ずっと黙って着いてきていたウォルターが目をキラキラさせてアンバーに同意を求める。
「恐らくそれが妥当な判断だな」
集団催眠?
それも闇魔法なのだろうか?
「催眠魔法は初歩の闇魔法の一つだよ。
但し、集団催眠、ましてや3万もの人数なら、かなりの腕前だろう」
わたしたちは、ギッテンス領の領民、つまり王国民を盾に取られた上に、かなりの腕前のギッテンス公爵と対峙しなくてはならない。
どうしよう。
かなり拙い事になった。
背中にスゥーと汗が伝った。
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