70.婚約の内幕
しかし、転生して公爵令嬢だったのに、やりたかったのは逆ハー?
誰か一人に愛されたらそれで十分だと思うけど。
………誰か一人?
王太子?エリオット?スタンリー?デュラン?ジェンキンスのおじさま?
うわー、皆んなわたしの大切な人たちだ。
ダメ、絶対ダメ!
こんな性悪お花畑令嬢はダメ!
ジェンキンスのおじさまには愛するおばさまがいるから万が一にもそんな事にはならないだろうけど。
そうだ!王太子!
婚約者のギルはどうなんだろう。
クレア・ギッテンス公爵令嬢がこの一連の事件の主犯格だって知らないわけが無いよね?
エリオットが黙って動いている筈が無い。
ギルの気持ちはどうなんだろう?
「エリオット?
あの、王太子はこの事知っているんだよね?」
隣に座っているエリオットが少し眉尻を上げた。
「勿論。
王太子の指示で動いている」
やはり。
「じゃあ、じゃあ、あの、ギルは大丈夫なの?」
わたしの問いにエリオットが怪訝な顔をする。
「大丈夫とは?」
「だって仮にも王太子の婚約者だよね?
ギル、傷付いたりしない?
やっぱりショックなんじゃない?」
「ククク」
わたしの言葉にエリオットが笑い出す。
左横のアンバーまでニヤニヤしている。
あれ、ウォルターさんまで?
「クク、やはりロージーは鈍いな。
王太子は、致し方無くクレア・ギッテンスと婚約したんだ。
本当に嫌がっていたよ、あの女なんて死んでも嫌だって。
だが婚約者になれば、殺される危険性より、操られ傀儡にされる可能性の方が高くなるからな」
「殺される危険性」
「クレア・ギッテンス公爵令嬢は闇魔法を遣い邪魔者を排除して来た。
ギッテンス公爵も然り。
ギッテンス公爵は最終的にこの国の最高権力者にのぼり詰めるつもりだったのだろう」
「最高権力者」
「裏から操って?」
「いや、残念な事にギッテンス公爵は王位継承権第四位だ。先先代の陛下の姉君が降嫁されている遠い血筋だが」
「えっと、それって、陛下とギッテンス公爵ははとこって事?」
「そうだな」
はとこか、それでも王位に執着してしまうほど、権力は魅力あるものなのだろうか?
権力にはそれより大きな義務が付き物なのに。
ましてや公爵家のギッテンス家に何の不満があったというのか。
血筋なぞ自ら選べるものでは無いのだから、公爵と言う幸運に満足出来れば良かったのに、更に上を望み破滅を招いた。
愚か過ぎる。
「そんなに権力って魅力的なのかな。
わたしにはわからないな」
エリオットは優しくわたしの髪を撫でる。
「そういうロージーだから聖魔法を授かったのだろう」
思わずエリオットを見つめると、光り輝く笑顔を返された。
尊い……。
わたしがエリオットにボォーっとしている間に、アンバーは着々とギッテンス公爵家の罪を告白させていた。
「よし、この告白に基づき証拠固めだ。
ウォルター、告白の再現魔法は抜かり無いな?」
「バッチリでーす」
どうやらウォルターは再現魔法も遣えるようだ。
流石アンバーの右腕。
クレア・ギッテンス公爵令嬢はこのまま魔法院の地下牢に入れられるらしい。
「ジェンキンス卿、陛下と王太子殿下に報告してくれ。ギッテンス公爵も早急に拘束しなければならないからな。私は我が院長に報告しよう、早急に」
アンバーはジェンキンスのおじさまに会う口実が何より大切なようだ。
「そうだな。
ギッテンス公爵が領地に多数の私兵を集めているという不穏な報告もあったしな」
「ええっ!」
思わず声が出る。
サラッと言ったけど、それって反乱の動き有りって事だよね。
「大丈夫だ、ロージー。
反乱軍には王太子とデュランが対応している。
此方は正規軍だ、心配いらない」
ギルとデュランが?
「だって、ギッテンス公爵は?
ギッテンス公爵ももしかして闇魔法師じゃないの?」
エリオットは一瞬だが、眉を顰めた。
「その可能性は高い、高いがクレア・ギッテンスほどの力は無いと我々は見ている。
それほどの力があれば、とうの昔に行動していただろうという見解だ」
ギッテンス公爵の力量がわからない。
わからないけれど、光魔法だけでは拘束出来ないかもしれない。
いざと言う時の為に三位一体攻撃が出来ないと。
「わたしも正規軍に参戦します!
アンバーも念のため同行して貰えませんか?」
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