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69.狙い

 

「ロージー、大丈夫か!」


 エリオットが珍しく焦った声を出していた。

 頭痛は既に治まっていた。


「エリオット、大丈夫。

 ちょっと立ちくらみがしただけ」


 うん、人生の立ちくらみ。


 んん?

 でも思い出した内容、それって小説内でもエリオットはロージーを愛しているって事、だよね。


 ウソっ!

 イヤ、ウソじゃないけど、何で今まで思い出さないんだ、わたし!

 ポンコツ過ぎる。

 そうだ、小説の結末はどうなるんだろう。

 わたしは最後まで読む事が叶わなかった。


「ヴィート、ナノッテイタノハ、ギマイ、ミア。

 ミアハ、アクジョデ、ヴィーヲ、ギボトトモニ、ギャクタイシ、カンキンシテイタ」


 これは状況がこの世界と一致している。


「ミアト、ギボハ、ヒトヲ、マジンカスル、マーフィーハクシャクヒキイルソシキノイチインデ、エリオットハ、ソシキノカイメツニ、ウゴイテイタ」


 王家転覆を謀る組織の一員って言うのも、当たらずとはいえ遠からず。

 エリオットが組織壊滅に動いているのも間違いない。


「エリオットハ、ロージーヲ、マモルタメ、シンダコトニシテ、テキノドウコウヲ、サグッテイタ」


 アンバーが疑問を呈した。


「だが、その小説の内容で、何処にお前の美味しいポジがあるんだ?」


 それはそうだ。

 小説での真犯人はマーフィー伯爵だ。

 ギッテンス公爵令嬢等、何処にも出てこない。

 寧ろ、美味しいのはロージー、わたしだ。


「スコシシカ、デテコナイ、コウシャクレイジョウ、ダカラコソ、オイシイノダ」


「ハァ?」

 アンバーの心底呆れた声が響き渡る。


「ワタシガ、キオクヲ、トリモドシテカラ、コノセカイハ、オモシロイホド、ショウセツドオリニ、ススンデイッタ」


 小説通り、ある程度はそうかもしれない。


「ワタシハ、ショウセツデハ、モブ、ダッタガ、

 コウシャクレイジョウデ、ヤミマホウシ、ダ」


 モブ、か。

 確かにギッテンス公爵令嬢なんて出てこなかったか、何処かに一行位書いてある程度だった気がする。


「もぶ?もぶって何だ?」

「ソノタオオゼイ、ノコトダ」

「その、その他大勢、が何で出しゃばる気になった」


 そこ、気になるとこ、だよね。


「ヤミマホウデ、コウソクスレバ、ユメノ、ギャクハーガ、デキルジャナイ」


 ん?

 強烈ワード来た?

 逆ハー狙い?

 ゲームじゃないのに?


「夢のギャクハー?

 ギャクハーとは何だ?」


「ギャクハーレム、ワタシヒトリニ、マワリノダンセイガ、ミンナデコウイヲモチ、アイサレルコト」


「ハッ、くだらない」


 アンバー、ジェンキンスのおじさまに一途だから一刀両断だな。


「コノセカイハ、ビケイガタクサンイル。

 オウタイシ、エリオット・ジェンキンス、スタンリー・シモンズ、デュラン・シモンズ」


 次々と出る名前にアンバーが馬鹿にするように鼻をフンッと鳴らす。

 つくづく、アンバーって、ジェンキンスのおじさま以外はモブにしか見えてないんだろうな。


「ソレニ、ジェンキンス公爵」

「ハァーーーーーーーーーーーーーーーー?」


 ジェンキンスのおじさまの名前が出た途端、アンバーの態度が無関心からクレア・ギッテンス抹殺位までボルテージが上がっている。

 魔力凄い。


「今、なんて言った?

 ジェンキンス公爵だと?

 あの御方がお前如きを愛するだと?

 ふざけるな!

 皆んながお前に好意を持ち愛されるだと?

 それを望むなど、ただの尻軽女だ!

 あの尊い御方がそんな事になるものか!

 お前は極刑だ!

 ジェンキンス公爵を愚弄しただけで万死に値する!」


 あーあ、アンバーのスイッチ押しちゃって。

 止まらなくなってるよ。

 どうしよう。


「アンバー、刑については陛下と相談の上、()()がお決めになるだろう」


 エリオットの父上と言う言葉でアンバーがシャキッと背筋を伸ばした。

 魔法による犯罪の刑罰は魔法院が管轄なのだろうか?

 それとも暴走アンバーの抑止対策?

 兎も角、エリオットの機転で大惨事は免れた。


「そうだ、ジェンキンス公爵がお決めになる。

 わかった」


 大人しく頷くアンバー。

 アンバーにとって、ジェンキンスのおじさまは神以上の存在だと、改めて思い知らされた。






お読みいただきありがとうございます。

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