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63.アンバー・ブルックス

 

「犯罪者」


 一瞬ボーっとするとエリオットがヴィー嬢を馬車に乗せながら振り向いた。


「ロージー、全てはこの邸を出てからだ」


「は、はい」


 エリオット、アンバーに続き馬車に乗り込む。

 見ると門前には何人もの使用人が困惑して右往左往していた。


「行ってくれ」

 エリオットが屋根を剣でコンコンと叩いたのを合図に馬車はゆっくりと動き出し、やがて門から公道に出た。

 ホッ。

 門が開かれ外に出るまで、凄くドキドキした。


 馬車はスピードを上げ、走って行くがジェンキンス公爵邸の方向では無い。

 ヴィー嬢とクレア・ギッテンス公爵令嬢は魔法を遣ったのか熟睡しているのを確認して、恐る恐る尋ねてみる。


「あの、これから何処へ?」


 聞きたい事は山積みだけど、取り敢えず行き先を聞かないと。


「王宮だ」

「王宮?」

「ああ、但し王宮殿ではなく、隣の魔法院だ」

「魔法院」


 王宮内には王宮殿の他にも様々な施設がある。

 離宮や騎士団、魔法院もその一つだ。


「ロージー、アンバーは先月から魔法院の副院長だ」

「へっ?」


 副院長?

 その若さで。

 魔法師として一流なのは先程から骨身に染みてわからせられたけど。


「あ、アンバーって闇魔法師なのですか?」


 うん、これ今1番聞きたい。


「そうだ。

 私は闇魔法師だ。

 他にも様々な魔法が遣えるが最強なのは闇魔法だな」


 あっさり認めた。

 でも、闇魔法師って、アンバーは味方なのかな。

 今日会ってみてブルックス侯爵夫人やマチルダとは全然違う事はわかった。

 仕事が出来て、それもかなり優秀。

 この若さで魔法院副院長と言うのは、異例の出世に違いない。

 でもあのブルックス家。

 何処まで信じていいのかわからない。


「だが、闇魔法師だと言う事は機密事項だ。

 この件をご存知なのは陛下と王太子殿下、ジェンキンス公爵家、そしてシモンズ子爵夫妻だけだ。

 ああ、あと我が家の者たちも知っているが、決して他言しないよう施してある」


 他言無用と言う事ですね。


「わたしも誰にも話しません」

 闇魔法で拘束されたら怖いし嫌なので。


「因みに魔法院の院長はジェンキンス公爵だが知っているか?」


 えっ?

 ジェンキンスのおじさまが魔法院院長?

 知りません、そんなの。


「おじさまは外交省を纏めていらしたのでは?」


 慌ててエリオットに尋ねる。


「外交省と魔法院を兼務している」


 もうこの事実だけでがっくりと疲れた。


「外交省で忙しいから最近は魔法院をアンバーに任せきりだがな」


 アンバー!

 ジェンキンスのおじさまにそれだけ信頼されているなんて凄い!

 それに実質魔法院を取り纏めているなんて、優秀どころの話ではない。

 それにアンバーには黒いオーラを感じない。


「結局のところ魔法は、闇魔法とか光魔法とか魔法の種類ではなくて、遣う人にかかっていると言う事ですね」


 納得だ。


 アンバーは暫し考えていたが、徐に口を開く。


「私も幼い頃は父であるブルックス侯爵の期待や圧力に屈しそうになっていた。

 あの人は魔法に酷いコンプレックスがある人で、

 魔法の力が全てと考えているような人だった。

 魔法の名門ブルックスと言う呪いに侵されていたのだと思う。

 私に魔法の才がある事がわかると、それこそつきっきりでその才を伸ばそうとした。

 私は5歳で闇魔法が発現したが闇魔法が恐ろしくてあの人にも言えず闇堕ちしそうになっていたところをシモンズ子爵夫人が気付いてくれた」


 5歳と言えば丁度わたしが生まれた頃?

 それならシモンズの叔母さまはブルックス侯爵家に居たはずだ。


「だが、シモンズ子爵夫人はロージーを引き取る為、シモンズ領に帰るところだった。

 私もシモンズ領へと言う話も出たけれど、あの人、父がそんな事を許す筈も無かった。

 あの人は私の闇堕ちどころか闇魔法すら気付いていなかったと言うのに」


「ブルックス侯爵はアンバーが憔悴している事どころか闇魔法にすら気付いていなかった?」

「才が無いからな」


「心配したシモンズ子爵夫人は私の事を信頼する

 稀代の光魔法師に頼み込んだ」

「稀代の光魔法師」


「そして私に手を差し伸べ助けてくださったのが、稀代の光魔法師ジェンキンス公爵だ」


「おじさまが」


「そうだ。

 私は幼い頃から父の過大な期待による厳しい教育で魔法が全てと教え込まれていた。

 火魔法や水魔法が発現しているうちは楽しかった。

 しかし内にある闇魔法の存在に気付いた時、恐ろしくなった。

 この力は人を滅ぼすことが出来る。

 人を内面から崩壊させる事さえ出来る」





お読みいただきありがとうございます。

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