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58.会います

 

「え、エリオット?」


 仁王立ちのエリオットは鬼の形相だ。


「あ、こんばんは」


 間抜けな挨拶をしてしまう。

 そうだ、エリオットと一緒なら門も通して貰える。


「し、シモンズ領へ帰ろうと思って。

 あの、門を通して貰えるように門番さんへ話して貰えたら嬉しいのだけど」


「こんな夜中にシモンズ領へ帰る?

 どうかしてしまったんじゃないか?」


 緊張の糸がプツッと切れて、心がぐちゃぐちゃになる。


「もう、もうイヤだ。

 こんな辛い思いするくらいならシモンズ領へ帰る。

 エリオットだって本当に好きな人と一緒になれるもの、わたしが居なくなれば助かるでしょ!」


 どうしよう、八つ当たりがまた止まらない。


「………」


 無言のエリオット。

 これは肯定と言う事だ。


 わたしは正門へ思い切り走り出す。

 だけどその瞬間首根っこを掴まれ邸へ引き摺られるように連れていかれる。


 イヌネコじゃ無いんだから!


 考えたら、わたしっていつもそんな扱いだった。

 うるさい仔犬。

 結局、愛玩動物(ペット)みたいなものなんだろうな。

 もっと大人の女性として対等に接する事が出来ていたら、エリオットに愛されたかな。


 ううん、ヒロイン補正には敵わないよ。

 所詮わたしはモブみたいなもの。


 無理矢理部屋まで引き摺られ、寝台に座らされた。


 エリオットは腕を組み鬼の形相のまま。


「どうしてそう自分に自信が持てないのか。

 ブルックス侯爵家に対するトラウマがあるにせよ

 何故俺の事を信じない?」


 だって、だって、ヒロインだよ。

 正真正銘のヒロイン補正入ったら敵うわけが無い。


 でも、そんな事言えないし。


「俺はロージーの事を愛しいと思っているし、本物の恋人になったと思っていたんだが?」


「でも、ここのところずっとヴィー嬢にかかりきりじゃない。

 わたしとは朝ちょこっと話すだけで」


「…………………………」


 また、ダンマリ。

 気持ちが揺れているのを認めたく無いのかな。


「だ、だからエリオットの心が揺れていてヴィー嬢が気になるなら」

「確かに気になる」

「!」


 肯定された。

 肯定されちゃった。

 これダメなヤツ。

 破局決定、?


「ヴィー嬢にはいろいろと気になる点があるから、一度ロージーも会って欲しい。

 そうすれば、いろいろな事がハッキリすると思う」


 結構残酷だな。

 仮でも婚約者だったのに、気になる女性に会わせてハッキリ最後通告しないと気が済まない?


 こんなに残酷だった?


「わかりました。

 会います」


 会ったら、それでハッキリさせて、そしてわたしはシモンズ領へ帰る事になるだろう。






お読みいただきありがとうございます。

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