46.罠
聖魔法の封印解除により、わたしへの護りは更に厳しくなり、三銃士の誰かに護衛騎士として2人の計3人が四六時中付くことになってしまった。
以前ラーズに同行してくれたジョンさんとブラッドさんも交替で付いてくれるらしい。
顔見知りなのでそれは嬉しいのだが、今わたしがいる居間には、スタンリー、デュラン、ジョンさん、ブラッドさん、そしてロイくん。
何と5人もの男性(含子ども)に囲まれて、ティータイムとは、何だか居た堪れない。
因みにエリオットは王太子に呼ばれて王宮に行った。
ロイくんは例の如くわたしのお膝にちょこんと座りお菓子を食べている。
正直に言うとここ数日の食生活が充実している為か、ロイくんがちょっと重い。
「ロイくん、ルーちゃんと一緒に居なくていいの?」
「だいじょうぶ。
おんなにはおんなのつきあいがあるからな」
うん、ロイくん。
8歳なのに達観してるよね。
おねえさん、君の将来が怖い。
「ロイばっか膝の上だなんて狡いよな」
19歳でも子どもにやきもちを焼く残念なデュラン。
「ふふ、じゃあ次はデュランが座る?」
「ほ、本当か!」
揶揄うと真面に受け止めるデュランに呆れていると、スタンリーがコツンとデュランの頭を叩いた。
「お前、ロイくんに呆れられているぞ!」
「えっ!」
「デュランおにいさん、こどもみたい」
うん、その通り。
開けてある扉の内と外で護衛してくれているジョンさんとブラッドさんも苦笑いだ。
其処へ侍従のウィルが慌ただしく駆け込んで来た。
「デュラン様、大変です。
王都の下町に人型の魔物が数体現れたとの事で
至急討伐隊に加わるようにと王太子様より書簡が」
ウィルから急ぎ書簡を受け取り中身を確認したデュランは急ぎ現場へ向かう事となった。
それならば、わたしも力になりたい。
「デュラン!わたしも連れて行って!
封印解除した今ならきっと役に立てると思うの」
「いや、駄目だ。
殿下から絶対にロージーを現場に近づけないようにとの御命令が出ている」
「でも数体だなんて。
デュランが心配なの」
「大丈夫だ。
現場にはエリオットも加わる。
ロージーは大人しく邸で待っていろ。
兄さん、頼むぞ」
スタンリーが頷き、わたしの腕を取り引き留める。
「それじゃ、行ってくる」
デュランが急ぎ部屋から出て行く。
「デュラン!
待って!デュラン!」
「ロージー、大丈夫だ。
エリオットとデュラン、2人なら人型の魔物も斃せる」
確かに2人は強い。
強いけれど、物凄く嫌な予感がするのだ。
「スタンリー、お願い!
凄く嫌な予感がするの。
わたし、行かなくちゃ。
行かないと絶対後悔する」
わたしの嫌な予感はいつも的中する。
馬車が脱輪したり、魔物が出たり。
勿論、いつもいつも予感がする訳では無いけれど悪い予感は外れた事が無いのだ。
「ロージー、本当に?」
スタンリーにはわたしが嘘を言っていないのがよくわかっている筈だ。
そして、わたしの悪い予感が的中する事も。
「だが、王太子がロージーを留め置けと言っているなら敵の罠が仕掛けられている可能性が高い。俺たちにとって護るべきはロージー、君だから」
「わたしにとってはデュランもエリオットもスタンリーもギルも、みんな護りたい人なの。
もし罠だとしても、わたしは行く!」
「ロージー」
いつの間にか涙が溢れていた。
不安が暗雲の様に胸に広がる。
「行かなくちゃ」
スタンリーは暫し考えていたが、やがて溜め息を吐いた。
「わかった。
但し絶対俺から離れるな。
ジョンさん、ブラッドさん、危険な現場で申し訳ないが、おふたりにもご同行いただきたい」
「ロージー様をお護りするのが我々の役目です」
ジョンさんとブラッドさんが快諾してくれる。
「ごめんなさい」
スタンリーや護衛のジョンさんブラッドさんまで危険な現場に向かわせる事になってしまった。
物凄く申し訳ない。
だけど、この嫌な予感は放って置けない。
何故なら命の危険を感じるから。
ずっと黙って聞いていたロイくんはじっとわたしを見つめていたけれど、不安に苛まれていたわたしは気付いていなかった。
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