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47.成れの果て

 

 スタンリーとわたし、そして護衛のジョンさんとブラッドさんの4人で公爵家騎士団の馬車に乗り込み、急ぎ下町へ向かう。


 街の風景が御屋敷街から商店街、そして段々と雑然とした街並みに変わっていく。

 ただ、雑然としてはいても荒んだ感じはしない。

 治安が良い証拠だ。

 陛下や王太子(ギル)の手腕によるものだろう。


 雑然とした街並みを更に進んで行くと、ちょっとした広場に大勢の騎士や憲兵が見え始める。

 討伐隊だろう。

 多勢ではあるが、ジリジリと後退しているようだ。


 バーーーーーーーーーーーーーーーーン!!


 轟音と共に砂煙が上がった。


「!」


 最前線では魔法が使われている。

 エリオット!

 デュラン!


「ここで降りましょう!」


 わたしたちは急いで下車し、討伐隊へと駆け寄る。


「俺はスタンリー・シモンズだ。

 戦況はどうなっている?」


 後方の若い騎士を掴まえる。


「シモンズ卿!

 戦況は逼迫しております。

 デュラン卿は最前線におられますが、苦戦を強いられております」


 新進気鋭で王太子(ギル)の側近であるデュランは名を知られているだろうからその兄と気付いたのか、はたまたギルの友人として有名なのかわからないけれど、スタンリーの問いかけにあっさり答えてくれた。


「苦戦?

 ジェンキンス卿も参戦しているのだよな?」

「はい、そうなのですが、何せ8体もの人型魔物が一斉に出現したもので」

「8体?」


 また、嫌な予感がした。

「行こう」


 前線に走り出したわたしたちに気付いた騎士達が道を左右に開けてくれる。

 モーゼの十戒みたい。


「スタンリー、凄く嫌な予感がする」

 小さな声で隣を走るスタンリーに話しかける。


「ああ、俺も」

「絶対いるよね」

「ああ、来てるな」

「立場考えて欲しいよね」

「本当に」


 果たして最前線には3人が8体の人型の魔物と対峙していた。


 真ん中はエリオット、左はデュラン、そして右にはローブで顔を隠してはいるが、


「ギル」


 小さく呟いたのに、3人は一斉に振り返った。


「ロージー!!」

「何故来た!早く戻れ!」

「スタンリー!何故連れて来た!」


 3人は怒りMAXみたいだけど敵は前方。


「前を見て!」


 わたしの叫びで前方の敵に向き直る。

「ロージーを頼みます」

 ジョンさんとブラッドさんに声を掛け、

 スタンリーはエリオットとギルの間に滑り込む。


「2列目から支援します!」


 わたしの叫びに一列目から、チッとかクソッとか紳士に有るまじき口汚ない言葉が聞こえるが無視。


 わたしは8体の人型の魔物に改めて対峙する。

 一列目に4体、二例目にも4体。

 こちらも一列目に恐らくこの国で最強の4人組。

 勝機は有る。


 もう一度人型魔物を観察し始めると、何だか既視感が。

 エリオットの正面の人型魔物、見た事がある?

 魔物化しているので、顔は鬼人のようだし皮膚も魔物化の影響なのか夥しく爛れてはいるが。

 まさか?


「ヴィー!」


 其処には「永遠の星の下に」のヒロインであるヴィー・パターソン男爵令嬢の変わり果てた姿があった。


「ヴィー・パターソン男爵令嬢だと?」

 敵からは目を離さずに、スタンリーが叫ぶ。


「エリオットの正面の魔物はヴィーじゃない?」


 ジリジリと近寄って来る一列目の魔物に目を凝らせば、それは間違いなくヴィーだと気付いたようだ。


「あれからそれ程の月日が流れた訳では無いのに」


 ヴィーがジェンキンス公爵家にやって来てから、そう日にちは経っていないのに。

 それだけマーフィー伯爵の闇魔法のチカラが上がったのだろうか。


 一言、言いたい。

 どうした?ヒロイン。

 一体どうすればヒロインが魔物化するのか。


 考えが纏まらないまま、立ちすくんでいると、ヴィーと思しき魔物が口から黒い靄を吐いた。


「グェーーーーーーーーーーーー」


 毒霧!

 あの魔物の森で対峙した時と同じ。

 わたしは咄嗟に右手を掲げて叫んだ。


「浄化!」


 わたしの右手から幾千もの光が現れ、一瞬で毒霧を消滅させた。


「流石!

 ありがとうロージー」


 そう言ってデュランは1体を水魔法の上級魔法である氷魔法で氷結した。


「エリオット!」


 ドーーーーーーーン


 其処へエリオットが雷魔法を打ち込むと、人型魔物は粉々に砕け散った。

 砕け散った塵をギルが光魔法で浄化すれば、魔物は跡形もなく消え去り、最後にコロンと魔石の様な物が地面に転がり落ちる。


 スタンリーはジリジリと近寄って来る魔物の周りに土魔法で塀を作り囲む。

 これで袋のネズミ、もとい、塀の中の人型魔物?


 この戦法で四銃士が次々と人型魔物を倒して行き、最後の1体、ヴィー・パターソン男爵令嬢の成れの果てを氷魔法で氷結した瞬間だった。


「うぐっ」

 わたしの口に布が押しつけられた途端、意識が朦朧としていく。

 薄れ行く意識の中で地面にジョンさんとブラッドさんが倒れているのが見えた。


「大丈夫か、な、」


 2人の無事を心配しつつ、わたしは意識を手放した。






お読みいただきありがとうございます。

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