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41.再会

 

 薔薇の間の前にはスタンリーとデュランが待っていた。

 わたしはエリオットを振り切り早足でこの場に先に着いたのだった。


「ロージー、どうした?

 泣いていたのか?」


 早速泣き顔をスタンリーに気づかれてしまう。


「やっとギルと再会だからな。

 胸がいっぱいになっちゃったか?」


 勘違いしてくれているようなので、便乗して頷いていると、エリオットが追いついてきた。


「ロージー、何を急いで、、泣いているのか?」

「やっとギルに会えるから感極まって涙が止まらないんだと」

「あ、ああ」


 エリオットが公爵家の家紋が刺繍してあるハンカチをそっと差し出してくれる。


「あっ!エリオット抜け駆け!」


 デュランが叫ぶけれど、気の利かないお前が悪いとやり込められている。


 ハンカチでそっと涙を拭うとふわっとエリオットの爽やかな香りがして、それでまた涙が溢れてしまう。


「おい、ロージー、大丈夫か?」


 心配顔の三銃士。

 いつもわたしを守ってくれていた。

 そんな三銃士もいつかは素敵な令嬢と結ばれて………。

 そう、ずっとこのままでいたいなんて、ただの我儘だ。

 いつまでも甘えてばかりではいけない。

 本当に彼等の事を思うならわたしは自立しなければいけないのだ。


 ただ、許されるならもう少しだけ、このままで。




 涙は引いたけれど、目は腫れてかなり不細工であろうわたしは覚悟を決めて薔薇の間に入る。


「ロージー!」


 王太子殿下(ギル)が入り口まで駆けてきてわたしをぎゅっと抱きしめた。


「ロージー、黙っていてすまない。

 ずっと会いたかった」


 殿下(ギル)の声が震えている。


「わたしも、わたしも会いたかった」


 殿下(ギル)は暫しわたしを抱きしめてから

 徐に顔を眺め微笑んだ。


「やっとロージーに思い出して貰った」


 あれから11年の月日が流れた。

 あんな事件の後では殿下(ギル)もおいそれと王宮外へ出される事は無かったであろうし

 ましてや、わたしは聖魔法と言う機密を抱えた身。

 会う事は難しかったに違いない。


「これからは頻繁に会えるな」


 にっこりと笑う殿下(ギル)に三銃士の顔が引き攣っている。


殿下(ギル)、ロージーは私の婚約者ですのでそろそろ離してくださいませんか」


 バチバチバチ!


 あら、この景色前にも見たような?

 ギルは鷹揚に言い放つ。


「ふん、そもそもロージーとの婚約は我々の計画的擬装だろうが。ロージーを魔の手から救い、公爵家で保護する為に()()()()お前と婚約というカタチを取っただけだ」

「へっ?」


 そもそもがそうだったの?

 計画的擬装。

 また皆んなは知っていてわたしだけ知らなかった?

 またモヤモヤする。


殿下(ギル)!」


 蒼白になるわたしを見てエリオットが鋭い声を出す。

 殿下(ギル)もスタンリーもデュランも、そしてエリオットまでもが、拙いと顔を強張らせているのがわかる。


 4人の心配そうな顔を見て、ストンと胸のつかえがなくなった。

 皆んなわたしを心配して大切にしてくれている。

 本当の()の様に…。

 それだけは間違いない。


 例え恋愛感情は皆無だとしても……。


「皆んなでわたしを守ってくれていたのでしょう?

 ありがとう。

 感謝しています」


 にこりと笑うわたしをエリオットが訝しげに見ているけれど、笑い返す。


「ロージー」

「よし!これで誰がロージーの心を射止めても恨みっこなしだ!」


 エリオットの呟きを掻き消すように殿下(ギル)が宣言する。


 そう言えばギルはいつもこうやってわたしに好意を示してくれていたっけ。

 可愛い妹を奪い合うように。


「ふふ、殿下(ギル)には婚約者がいるでしょう」


 今や王太子妃となられる婚約者のギッテンス公爵令嬢がおられるのだから、こんな戯言が漏れたら大変だ。


「うっ。

 そ、それは…」


 王太子らしくなく慌てる殿下(ギル)がちょっと可愛らしく見えた。


「ギッテンス公爵令嬢、お綺麗な方ですね」

「会ったのか?」


 何故か急に真剣になる殿下(ギル)


「ええ、先程廊下でお会いしました。

 エリオットとお話しされていて、わたしもご挨拶致しました」


「そうか」


 殿下(ギル)は頷くと、視線をわたしからエリオットへ移した。

 見返すエリオット。



 ふたりの様子はまるで無言で会話を交わしているように見えた。







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