表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/87

39.美貌の令嬢

 

 翌日は王太子殿下との謁見の為、何故か早朝に出発となった。

 馬車にはエリオット、スタンリー、デュランが同乗している。

 幼馴染大集合の巻。


「ギル、喜ぶだろうな。

 あの事件以来、シモンズ領には来られなくなってかなり落ち込んでいたから」


 スタンリーが気の毒そうに語る。


「俺なんて士官してから毎日のように、ロージーの話を聞かせろって五月蝿くて」


 デュラン、五月蝿いって、不敬だよ。


「会わせたくないな」


 エリオット、この期に及んで。


「それなら先日、お会いしているじゃない」

「あの時はまだ記憶が封印されていたからね」


 何をそんなに心配しているんだろう。

 ギルは幼馴染が懐かしいだけだと思うけど。


「確かに本気出されたら勝ち目無いな」


 デュランが不穏な事を呟くけど、勝ち目って?

 何を争うつもり?


「それは確かに」

 何、スタンリーまで納得してるの。

 不穏なので、唐突に話題を振ってみる。


「えっと、ギルって確か昨年婚約したんだよね?」


「あ、ああ」

「マァな」

「……」


 反応薄っ!そして反応悪っ!

 どういう事?


「政略的に何か問題あり?

 それとも、まさか恋愛結婚!」


 いや、まだ婚約だけど。


「ロージー、それはギルの前では絶対言うなよ」


 デュランが唇に人差し指を当て囁く。


「えっ?どっちを?

 政略結婚?」

「恋愛の方」

「えっ、もしかしてギル、政略結婚相手をお気に召さないとか」

「シーッ」


 え?え?

 そんなにイヤな相手なの?


「お相手は確か公爵令嬢……」

 名前が思い出せない。


「……ギッテンス公爵令嬢」

「ああ、ギッテンス公爵令嬢!」


 ギッテンス公爵令嬢?

 誰だっけ?

 なんだか記憶にあるような、ないような。


「二つ名は()()()()()()()

 クレア・ギッテンス」


 デュランが皮肉のように呟いた途端、記憶が蘇る。


 クレア・ギッテンス!

 いつもエリオットの隣に楚々として寄り添っていた美貌の令嬢。

 何故忘れていたのだろう。

 いや、この世界でクレア・ギッテンスに会った事は無い。

 何故ならわたしは先日の夜会がデビュタントだったのだから。

 それなら前世の記憶、「永遠の星の下に」で読んだのだろうか?


 でも、わたしの記憶ではクレア・ギッテンスの隣に居たのはギルではない。

 エリオットだ。

 それとも記憶の封印で曖昧な部分が出来てしまったとか?


 うーん、うーんと唸って考え込んでいると、スタンリーが心配そうに覗き込む。


「ロージー、大丈夫か?

 考え込んでいるようだけど、ギッテンス公爵令嬢に会った事は無いよな」

「うん、会った事は無いよ。

 ただ、噂と言うか、夢でと言うか、あの、その人婚約前は夜会とかで、よくエリオットの隣に居なかったかな。

 いや、気のせいかも知れないけど」


 三銃士がビックリして、目を丸くしている。

 ビンゴ?


「どうしてロージーがそんな事を知っている?誰から聞いた」


 エリオットが不機嫌オーラ全開で聞いてくるのは正直怖い。


「記憶が曖昧だけど、夢で見た気がする」

「夢……」


 前世の記憶は全て夢のお告げという事で誤魔化しまくる姑息なわたし。

 エリオットの不機嫌はもしかしてクレア・ギッテンスが元カノだからかもしれない。

 まさかまさかの公爵令息からの王太子へ乗り換え電車じゃないよね。

 それならエリオット初めてのブロークンハート?


 わたしの生温かい視線にエリオットがムッとしたようだ。


「何を妄想しているか大体わかるが、それは全くもって違うからな」


 エリオットが珍しくムキになっていて面白い。いや、最近はロイくんにもムキになっていたような。

 カルシウム足りてないのかな、ミルク飲もう、エリオット。


「確かにギッテンス公爵令嬢がギルと婚約するまでは()()エスコートしていたが、別に恋愛関係にあったわけではない」


 やはり、ずっとパートナーだったんだ。


 エリオットからハッキリ聞いてしまうと、何故だか胸の奥がシクシクと痛んだ。

 その胸の痛みが何であるのか考えないようにして曖昧な笑みを浮かべた。







お読みいただきありがとうございます。

ブクマや下記↓⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を★評価で応援していただけると、とても頑張れますので

宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ