38.ジェンキンスの薔薇
「何をしている」
エリオットが魔王の様な雰囲気で仁王立ちしている。
「ロージーさまのきしにしてもらいました」
しれっと返すロイくん。
大物感半端ない。
「騎士?
騎士が何故膝に乗っている」
「オレ、こどもだから」
ん?騎士じゃ無かったの?
「都合良く子どもになるな。
騎士ならキチンとロージーを守れる様になれ」
ん?
エリオット、容認発言?
「ハイ。
でもいまはロージーさまのいやしになります」
ロイくんはエリオットの圧は何のその、お膝でニコニコしている。
やはり大物。
「お前……」
エリオットは顎に手を当て黙り込む。
「エリオット、何かあった?」
一触即発の雰囲気に割って入ってみる。
エリオット、わざわざ此処へ来たのだし。
「ロージー、明日王太子殿下と謁見だ」
ポツリとエリオットが呟く。
「えっ?ギル、王太子殿下」
「恐らくその後陛下とも」
「………それは例の件の謝罪?」
「ああ」
う〜ん、昨日から関係者の謝罪攻勢が凄まじい。
皆様、謝らないと気が済まないのかな。
「謝罪もあるが、記憶の戻ったロージーに会いたいらしい」
「へっ?」
「あの事件からロージーの前に姿を現せず、ずっと会いたがっていたんだよ」
「ギルが?」
「ああ。
ずっとジェンキンスの薔薇という隠語で呼んで、君の近況を確認していたからな」
「ジェンキンスの薔薇?
あれはわたしの事だったの?」
「王太子は本来は王国の薔薇だ。
早く返せとよく冗談を言っていたが」
そんな大層な二つ名はやめてほしい。
確かに記憶が戻った今はギルに会ってみたい気もするけど。
「ギルっておうじさま?」
お膝のロイくんがわたしの顔をじっと見て聞いてくる。
「う、うん。
王子さま」
「ともだちなの?」
「う、うん。
ともだちと言うか幼馴染かな」
「ふうん」
そう言ったロイくんの瞳は暗く光る。
「王子さまが気になる?」
「ロージーさまのまわりにいるおとこはきになる」
あらあら、やきもち?
可愛い!
ニヘニヘしてしまう。
「何度も言っているが、ロージーの婚約者は俺だ」
完璧な男の筈のエリオット、8歳の男子に何つっかかっているんですか。
「こんやくならかいしょうできますよね?
けっこんしたわけじゃないし」
え?
ロイくん、そんな事何処で覚えた?
「あのヘルミナがそうさけんでたよ」
ああ、納得。
エリオットは深い溜息を吐く。
幸せ逃げますよ?
「ロイ、俺はロージーと話がある。
用が無ければ部屋へ行け」
ロイくんは物凄く悲しい顔をして立ち上がる。
「ロージーさま、どんなにおおきなしょうがいがあってものりこえましょう」
そう言って休憩室から駆け出して行く。
あら、あまりの可愛さにきゅんです。
エリオットは不機嫌です。
「明後日にはシモンズ子爵夫人が来られる。
その時、魔力の封印解除を行う。
そうなれば、ロージーは国家の宝の聖女となる」
シモンズの叔母さま、こうなると早くお会いしたい。
きっと心配しているんだろうな。
「聖女ってやっぱりそうなっちゃうのか」
あまり大袈裟な事態にはなりたく無いけど。
「当分は内々だけの話にとどめるが、その魔力が顕現すればわかる人にはわかるからな」
ですよねー。
「永遠の星の下に」に聖女なんて出てこないのに…。
出てこないよ、ね。
あれ、何で疑問に思うのだろう。
また、頭のモヤモヤが深まるだけだった。
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