37.承諾?
忠誠を誓われた騎士の話は有耶無耶のまま、わたしは自室で少し休む事に。
何せ完徹明け。
若いとはいえ、流石に疲れた。
寝台に腰掛けバタンと上向きに倒れる。
いろいろありすぎて頭がぐちゃぐちゃになっている。
取り敢えず一眠りしよう。
………………
バタバタバタ バーン
自室の扉がノック無しで開かれる。
「ロージー!ロージー、ごめん。
仕方なかったんだ。
許してください。本当にごめん。
嫌われたら生きていけないーーー!」
デュラン。
眠りかけを起こされてちょっとぼんやりしているのか、叱られた仔犬みたいに垂れ下がる耳と尻尾が見える。
「デュラン?
聞いたんだ。大丈夫だよ。
大好きなのは変わらないから」
「ロージーーーーーーーーーーーーー」
デュランが遠吠えの様に叫ぶ。
やはり犬だ。わんこだ。
スタンリーが大きなわんこで、デュランは人懐こいわんこ、わたしはうるさい仔犬。
わんこ三兄弟じゃない(汗)
「ふふふふふ」
そんなバカな事を考えていたら、ふいに可笑しくなった。
「ろ、ロージー、どうした?」
「ふふふ、わんこ三兄弟」
「わんこ三兄弟?」
デュランは煙に巻かれるのだった。
夕餉には目を覚まし、同じく昼寝から起こされた子どもたちと共に席に着く。
公爵家には幾つかダイニングルームがあるけれど大人用で豪奢な為子どもたちが緊張しそうなので、またまた使用人の休憩室をお借りする。
料理長が腕を振るったようで、沢山のご馳走が並んでいる。
「さぁ、沢山食べて」
子どもたちは歓声を上げて食べ始めた。
ニコニコして子どもたちを眺めていると、アンナが駆け込んで来た。
「ろ、ロージー様、申し訳ないのですが、ちょっと宜しいですか?」
慌てた様子のアンナに頷き、子どもたちに食べていてね、と伝え席を立つ。
「慌ててどうしたの?
何かあった?」
「旦那様と奥様がお帰りになって、ロージー様にすぐ謝りたいと仰せで。
今にもこの休憩室へいらっしゃる勢いでしたので」
それは流石に拙い。
子どもたちや使用人の前で公爵様と公爵夫人が平謝りなど、そんな真似はさせられない。
「すぐ伺うわ。
おふたりはどちらに?」
「いつもの団欒用の居間に御座います」
アンナに促され小走りで居間へ向かう。
扉を開けると既にジェンキンスのおばさまは号泣していた。
「おばさま!」
迷わずおばさまに抱きつく。
「ロージー、ロージー、ごめんなさい。
黙っていて、ごめんなさい」
わたしは頭を振る。
「謝らないでください。
おじさまもおばさまもわたしを思っての事だとわかっています」
おじさままで目が赤い。
「愛してくださってありがとうございます」
おばさまの号泣は更に酷くなった。
おばさまを宥め、休憩室に戻れたのは、かなり時が経ってからだった。
子どもたちは部屋に戻ったようで、ロイくんだけがちょこんと椅子に座っていた。
「ロージーさま」
キラキラしたキレイな瞳で見上げてくる。
うっ!
何て可愛い。
もともとキレイな顔立ちだと思っていたけど
お風呂に入り、公爵家で用意したエリオットの幼い頃の洋服がやたら似合って、さながら貴公子だ。
「ロージーさま」
「は、はい?」
「ロージーさま。
おれをロージーさまのきしにしてください。
おねがいします!」
「は、ハイ」
思わず返事をしてしまった。
「やったー!」
ロイは飛び上がって喜び、わたしに抱きついてくる。
そっと頭を撫でるとお腹に顔を埋めた。
かわいい。
年下の男の子の知り合いはいないので、新鮮な気分だ。
「あっ。
ごめんなさい、ロージーさま、ごはんまだだった。たべてください」
おお、小さいうちから、こんな気遣いが出来るなんてポイント高い。
ロイくんに促され席に着くと、何故かロイくんがわたしの膝に座る。
「えへっ。
とくとうせき」
ニコッと笑うロイくん。
あざとかわいい!
抵抗出来ない。
「何をしている!」
生温かい雰囲気をぶち壊したのは、氷点下を遥かに下回る吹雪の様なエリオットの声だった。
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