36.5人目
「ルー!」
昼近くに公爵邸に帰り着くと、門までロイが迎えに出ていた。
「ロイ!」
ロイに気付いたルーちゃんを馬車を停めて降ろす。
パタパタと駆け寄り抱き合うロイとルー。
「良かった」
再会の余韻が冷めぬまま、ロイとルーを馬車に乗せて母屋まで走る。
ロイはちらっとわたしを見てから、パッと目を逸らす。
「?」
首を傾げ見ていると、おずおずとまたわたしを見た。
「あ、あの、ロージーさま。
うたがってごめんなさい。
それと、ルーをたすけてくれてありがとうございます。
エリオットさまも」
わたしを犯人扱いした事を反省している模様。
「大丈夫。気にしてないから。
皆んな無事で良かったね」
「ハイ!」
ロイは矢鱈キラキラと瞳を輝かせて頷く。
ん?
「オレ、いっしょうロージーさまについていきます!」
へ?
途端に隣のエリオットから得体の知れない冷気が発せられ。
「ロイ、ロージーの面倒は私が見るから、君の助けは不要だ」
ええ?エリオット、何、子どもの戯言に真面に返してるの?
「いえ、オレはきめました!
ロージーさまのきしになる!
くにいちばんのまほうきしに!」
バチバチバチ!!
睨み合うエリオットとロイの視線がぶつかり、大きな静電気の様な音が?
「ロージー、また無意識にたらしこんだな」
エリオットが何やら小声で囁くがよく聞こえない。
「ロ、ロイくんは魔法が得意なの?」
声をかけられて満面の笑みでロイが答える。
「ハイ!まほうはだれよりとくいです!」
確かに小さいのに結構なオーラを感じる。
「ロイはすごいんだよ!
ルーのなんばいもすごいまほう、つかえるの」
「そ、そうなんだ。
凄いね?」
語彙力のないわたし。
でもそれなら何故ロイが狙われなかったのだろう?
何故女性しか狙わない?
深まる疑問の解決を見ないまま、馬車は母屋前の馬車止まりに着いた。
デュランは護送馬車を率いて王宮の地下牢へ向かった。
王太子殿下への報告も兼ねているので、少し時間がかかりそうだ。
因みに不祥事のあった王宮憲兵団は再編成され、今は王宮騎士団の副団長のお一人が、憲兵団長を兼務されているらしい。
わたしたちは、疲れ果てている女の子たちをメイド達に湯浴みさせ、昼寝させる事にした。
わたしも疲れたので少し横になろうと自室へ戻ろうとしたところ、居間へスタンリーが駆け込んで来た。
「ロージー、ごめん」
スタンリーの真っ直ぐな思いを受け止める。
エリオットから事件の経緯と、わたしの記憶が戻った事を聞いたのだろう。
「うん」
スタンリーがそっとわたしを優しく抱きしめると、双眸から涙が溢れる。
「ごめん」
「大丈夫だよ、散々エリオットに八つ当たりしたから」
スタンリーは複雑そうな顔をして後から入って来たエリオットとわたしを交互に見た。
「俺にも八つ当たりしてくれていいんだよ」
「ふふっ、スタンリーはいつも優しいから八つ当たり出来ないよ」
そう言うと、今度はエリオットが複雑そう。
「……いいな」
其処へポツリと呟かれる子どもの声。
「ろ、ロイくん!
お昼寝していたんじゃないの?」
いつの間にか、ロイくんが居間に来ていた。
「ねむくないから。
オレ、ロージーさまとおはなししたい」
エリオットのこめかみが、ピクリとする。
「どうした?ロイ。
ロージーは優しくて素晴らしい女性だとわかったかい?」
スタンリーがニコニコして話しかけている。
「うん、だからオレ、ロージーさまのきしになるんだ。ルーをたすけてくれたから、こんどはオレがロージーさまをまもる!」
可愛い騎士様爆誕。
ふふふと笑ってスタンリーを見ると、スタンリーのこめかみもピクリとした。
何故?
「ロイくん、大変有り難いが、ロージーには既にもう4人の騎士が忠誠を誓っている」
エリオットが暗にもう満員御礼です、みたいな雰囲気を醸し出す。
いや、待て待て。
わたしに忠誠を誓った騎士が4人?
誰よ、それは。
今護衛をしてくれているジョンさんとブラッドさん?
忠誠誓われた覚えなし。
「じゃあ、ごにんめの騎士になる」
ロイくんは強かった。
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